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ルヴェが真っ先にそう答える。

ならば、クゥシェ様を。お世継ぎであり次代党首であるルヴェお嬢様を失うわけにはいかん。そうなれば俺は自刃するだろう

次にテールがそう答え。

自分の領民を守るのが壁族の務めです。テールだけは助けてあげてください。それが許されないのであれば、わたしはこの命を持ってあなたの企みを防ぎます

最後にクゥシェがそう答えた。つまり三人とも、別々の相手を指定したことになる。しかも指定しなかった方を殺せば、自分も死ぬという脅し付きだ。

ルヴェが妹であるクゥシェを。

テールが主君であるルヴェを。

クゥシェが従者たるテールを。

それぞれ守ろうとしている図だ。

誰か一人でも殺せば、連鎖的に全員死ぬと言っているわけだなるほど、面白い

もしこれが、全員が誰か一人でも殺せば自分も死ぬと言っているのであれば、簡単だ。それぞれ引き離し、情報を制限した上で離反させればいい。

だがこの三人は、誰か一人が死ぬこと自体はそれぞれ許容しているのだ。そちらが言った通り選んだのだと言われれば説得もしづらい。

どうせ満場一致でテールをあるいはクゥシェを犠牲にするという結果になると思ってたんだろう、とルヴェは内心でOlをせせら笑う。とにかく、時間を稼ぐ必要があった。

たとえ母なる壁の中にあったとしても、この状況を何とかする方法はあるはずだ。そしてあの悪辣な祖母なら必ずそれに辿り着く。その信頼が、三人にはあった。

馬鹿馬鹿しい駆け引きはこれで懲りたでしょ。さっさと道理に従ってあたしたちを解放しなさいよ

道理?

ルヴェは更に時間を稼ぐために、Olを挑発する。

あんたみたいな雑魚は、あたしたちみたいな強者に従うのが本来の道理ってものでしょうが

それを言うのならば、戦闘で負けたそちらが従うのがそれこそ道理ではないのか?

食いついた!

ルヴェは内心拳を握りしめつつ、素知らぬ表情で続ける。

ふん。あんな卑怯な戦い方、勝ち負けのうちに入るわけないじゃない。それにあんただって、テール一人だったら負けてたって言ってたでしょ

交わしたのはほんの僅かな会話だが、ルヴェは既にOlの性格をおおよそ見抜いていた。プライドが高く、相手を屈服させることにこだわるタイプ。なら乗ってこいと心の中で祈るようにつぶやく。

ならばお前はどうしたら負けを認めるというのだ?

そうね。対等な条件でもう一度勝負して、それでも負けたら認めてもいいわ

来た。笑みを浮かべそうになる表情筋を制御しつつ、あくまで優雅にルヴェはそう告げる。無論、本当に対等な勝負などするつもりはない。

何を持って対等とする?スキルなしで殴り合いでもするか?

そんな野蛮なことするわけないでしょ。あたしが提案するのはもっと洗練された、正々堂々とした一対一のぶつかり合い。つまり

持ち込むのはルヴェが絶対的な自信を持つ勝負方法。それでいて、相手が引き受けざるを得ない内容。すなわち

セックスよ!

第11話繰り返し念入りにわからせましょう-1

五回目。

おお姉様、何を?

ルヴェの突然の発言に戸惑いを隠せず、クゥシェが問いかける。

大丈夫よ、クゥ。全部このあたしに任せておきなさい

だがそれを不安と見なしたのか、ルヴェは自信満々にそう答えた。

(今更なんですけどOl、これっていったい何をしたんですか?)

フローロから念話が飛んでくる。いつの間にやらそんな魔術も習得したか、と感心しつつ、Olはそれに答える。

(何、弱めに狂戦士の術をかけたまでのことだ)

それは本来であれば、恐怖を消し去り思考力を減らし、死ぬまで戦う戦士を作り出す術だ。ルヴェにかけたのはそれを調節し、論理的な思考力はギリギリ残しつつも恐怖心や羞恥心といった感情的な判断能力を奪い去ったものだった。

その結果、ルヴェは戦闘以外で最も得意なことつまり、性行為での勝負という発想に至ったのだろう。

(へー魔術ってそんなこともできるんですね)

ピントのズレた反応をするフローロをさておき、Olはルヴェに答える。

では、先に相手を絶頂させた方が勝ち、ということで構わぬか?

もちろんよ。あんたのよわよわチンポなんてすぐにイカせちゃうんだから

よほど自信があるのだろう。ルヴェはOlを鼻で笑いつつ首肯する。

ルヴェお嬢様、そのような!

あんたは黙ってなさい!ほら、さっさとコレ戻しなさいよ。それとも石相手に腰を振るのが好きなの?

異議を唱えようとするテールを一喝し、ルヴェはOlを挑発した。Olとしてもこれ以上口を挟まれても困るのでクゥシェとテールに沈黙をかけつつ、ルヴェに石化解除をかけてやる。

ルヴェが自由を取り戻すと、途端に雷撃が飛んできた。

それは効かんということくらい、わかっておらんのか?

フン。わかってるわよ。これはただの挨拶

Olとフローロは当然、事前に耐雷耐凍の術をかけてはいる。が

(Ol、痛いです。普通に効いてます)

(流石に威力全てを消すまではできん。耐えろ。全く効かないという顔をしていろ)

雷撃ほど強力なスキルの効果をゼロにするには、今のOlが持つ魔力は少なすぎた。アレオスのローブを着込んだOlはともかく、フローロにはそれなりのダメージがあった。

ほら、さっさとあんたのざこざこチンポ出しなさいよ。ま、そんな貧弱な体格じゃどうせ大したことないでしょうけど

ベッドの端に座り、シーツをパンパンと叩いてルヴェはOlを急かす。だがOlがローブを脱ぎ捨て隆々と屹立した一物を取り出すと、その声は尻すぼみに小さくなっていった。

なっなにこれ!?

男の性器だ。見たことがないのか?

小柄なルヴェの頭と同じくらいの長さに勃起した剛直を突き付けるように見せながら、Olは生真面目な口調で問う。

なんでこんな大きいのよ!

ルヴェが知る男性器とは、つまりはテールのものだ。だがOlのそれは、明らかにテールのものよりも倍以上は大きかった。長さだけではなく、太さも、先端の亀頭の膨らみも、全くの別物だ。

男は興奮すると大きくなることくらい知らぬのか?

ふ、ふーん。じゃああたしで興奮してるんだ。まだ服も脱いでないのに

虚勢を張りつつも、ルヴェの視線は男根から離すことができなかった。これを入れるのは流石に無理ではないか。まだ効果の続く狂戦士の術によって恐怖心はなかったが、それでもそんな疑念は生まれるほどの威容がOlの性器にはあった。

は!?なんでそんな事しなきゃいけないの!?

ずい、と鼻先に突き付けられる肉の槍に、ルヴェは顔をしかめる。