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白坂さんがオレを見ている

バレたかバレていたのか

ね、吉田くん

えあほえ、え、え、な、何でしょう

オレはあっち見ていましたー空を見ていましたー空飛ぶ小鳥を見ていましたーだから見ていませんー見ていませんーあなたのお尻なんか見ていませんー信じて、信じて、白坂さぁんッ

必死で目で訴えるオレ

そしたら、白坂さんは

吉田くん、掃除、手伝ってくれないかな

ほえ掃除

うん嫌

いいいい嫌じゃあーりません

良かった

ニコッとオレに微笑んでくれる白坂さん

ええいやりますよやってやりますよ

屋上のお掃除、お手伝いさせていただきますよよよよよんっ

だいたい一時間くらい、白坂さんと二人で屋上を掃除した

幸せだった

ものすごくオレは幸せだった

集めたゴミは、大きなゴミ袋で2つ分ほどにもなった

後は、これを捨てに行けばおしまいねっ

そそうですね

もう終わりか幸福な時間の過ぎ去るのは早い

あたし一つ持つから、吉田君、もう一袋頼める

頼めるって

嫌ねゴミ捨て場まで、運ばないといけないでしょ

あああ

いいかな

ニッと笑う白坂さん

ああこの顔をずっと眺めていたい

りょ、了解でありますッ、イエッサー

あ思わず白坂さんに敬礼してしまったぁぁ

白坂さんはくすくすと笑って、

吉田くんて、ホント面白い人なのねあたし、全然知らなかったわ

いや、あれ、何だ、これ

オレもしかして白坂さんに誉められている

好感触なのか

だ、だけど、こういう時どんな顔したらよいのか判らないオレ

あ、ごめんなさい、もしかして怒った

ええ何ぃ

いや、あの、その、怒ってませんーッオレは、別に怒ってなんかいませんのココロなりぃーですはいーッ

白坂さん、そんなオレを見てまたけらけらと笑い出す

ごめんねだって面白いんだもの、吉田くんて、ホント

笑っている白坂さん四月の陽光を浴びて、つるつるのおでこにうっすら汗をかいている

間近で見る笑顔の白坂さんやっぱり可愛い~

二人で仲良くゴミ袋を一つずつ抱えて、階段をぱたぱたと下りていく

白坂さんが前で、オレが後

ゴミ袋は大きいから、白坂さんはゆっくりと会談を降りていく

そんな白坂さんの背後から、オレはこっそり彼女の髪の匂いを嗅ぐ

くんくんんー、い~い香り

こ、これが乙女のシャンプーの香りかあ

うわっ、白坂さんの首筋の産毛まで見える

拝んどこう拝んどこう

こんなのめったに見られないんだから

なんまいだぶなんまいだぶ

やっぱ近くで見ると全然違う

遠くから眺めている時と違って、存在感っていうか、生きてる白坂さんのオーラを感じる

なんか後ろ歩いているだけで、もうドキドキしてくる

胸のところがキュンとする

判ってくれよ、この感覚

おっ、よく見ると白坂さんの首筋の汗が小さな玉になっている

うっ、舐めてみたいッあの汗の玉をペロッとうううー

流石にそれは無理なので、視線を下の方に

うわぁっ、白坂さん、ウエスト、ホントに細っいなあ~抱き締めたらポキンって折れちゃいそう

そしてお尻から脚にかけてのラインたまりませんなあ

このお尻と太もも、むにゅむにゅっと揉んでみたい~それからこのお尻の割れ目の間に手を差し入れて、もにもにもにっと

なあんて、ついつい至近距離から視姦&妄想しまくっていたら、邪念を察したのか、白坂さんがくるりと振り向いたッ

ヤバッ

吉田くん

な、何でございましょう

そっちのゴミの袋、そんなに重い

何かさっきから、ハァハァ息が荒いから

ええああー最近、ちょっと運動不足だから、か、階段の、しょ、しょ、しょ、しょうこう、しょうこう、昇降運動が、そ、その、ちょっと上手くないだけで、そ、それだけですはいーッ

そう、そんならいいんだけど気をつけてね

白坂さんがオレににっこり微笑む

あ~、オレ、溶けちゃいますぅぅ

靴を下履きに履き替えて、オレらは校舎を出て、裏庭のゴミ捨て場へ

何か世間話でもした方がいいのかな、とも思うんだけど白坂さんと会話しようとすると、頭がショートしそうなのでどうしても話し掛けられない

しょうがないので、時々、斜め後ろから白坂さんの横顔を覗き見たりするその美しさあー、やっぱ美人はどの角度から見ても美人なんだよなぁ

オレは今、白坂さんと同じ目的(ゴミ捨て)を持って、同じ道を歩いている

同じ時間を共有するオレたち

オレの人生、今がクライマックスぅぅッ

ずっとずっとこの時間が続けばいいのに

このまま時間よ止まれ止まってくれ

心から、ホント、そう祈っている

祈っていたのに

非情にも、至福の時間は、唐突に打ち破られて

雪乃ッ

運動部の部室棟の方から大きく響く男の駄声ッ

オレの白坂さんを、雪乃と呼び捨てにする、お前は誰

現れたオトコヤツの名は遠藤ケンジ

遠藤ケンジが、野球部の練習着のままオレたちの方に走って来て

あ、ケンジじゃなくって、え、遠藤くん

白坂さん、一瞬下の名前で遠藤に呼び掛けるけど、オレが一緒にいるから速攻で言い直す

お互いを下の名前で呼び合うカンケイ、それはつまり

そうだよな他には考えられないもんな

すなわち二人はカップル付き合っている男と女

今日はもう練習、終わりなの

ああ、今日はもう上がっていいってセンパイがそっちは

あたしも、このゴミ袋捨てたら終わり

じゃ、一緒に帰れるな

うん

と、オレのことは全く無視して、二人の会話が一通り駆けめぐる

それから今まで見えなかったモノを突然見つけたかのように、遠藤はオレを見て言った

お前、誰

お前ってオレは一応、あんたと同じクラスの人間なんですが

吉田くんだようちのクラスの

いたっけ、こんなヤツ

いたよ、いたよ、いましたよクラスの後ろの方の壁際の隅の奥の方に

もー、失礼ねごめんなさい吉田くんあのね、吉田くんに屋上のお掃除を手伝って貰ったのそれだけよ

えあの

それだけって

白坂さん、それだけって何ですか

あっそ、じゃ、お前もういいや後はオレと雪乃でやっておくから、お前はそこにゴミ袋置いて帰っていいよ

なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ、こいつ、何様ぁっ

カチン、コチン、キチンとくらぁ

と不穏な空気を察して、白坂さんが間に入ってくれる

いいから、ケンジは着替えて来なさいよゴミ捨て場、すぐそこなんだから

でもよ

一緒に帰るんでしょ時間がもったいないじゃない

白坂さん結構、尻に敷くタイプらしい