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そんなことは覚悟しております

お前は恥ずかしく無いのか

そういう思いをしろというのがお祖父様のご命令では

私はお前のそんな破廉恥な姿を、世間のやつらにに見せたいわけではないその男が服を買ってくるまでならこの部屋で待てばいいではないか

嫌なんです、あたし

みすずが冷たい眼で、祖父を見上げる

何がだ

これ以上、お祖父様と同じ空気を吸っていることがですわっお祖父様の様な心の冷たい方とは、言葉を交わすのももう嫌です

絶句する香月老人

渚がオレの背中をトントンと叩く

このままでいいのかしら

オレの耳にそう囁いた

閣下のお言葉に甘えようみすず

廊下のトイレよりここで待っていてくれる方が安全だ

藤宮さんは美智から手を出さない限りは、動かないと約束してくれている

関さんも閣下を守りながら、美智に攻撃してくることは無いだろう

むしろ、美智と関さんが牽制し合っている緊張感が続く限り

みすずや渚や真緒ちゃんの安全は保証されるはずだ

オレは、すぐに戻って来るだから

そうね、このままこの部屋で待たせて貰いましょうみすず

渚が、みすずにそう言ってくれた

あなたは嫌だろうけれどあたしと真緒にとっては、廊下のトイレよりもここに居る方が安全だから

閣下のことだから廊下の外に、香月セキュリティ・サービスの警備員を固めているかもしれないわ

この部屋を出た途端オレたち全員を拘束するかもしれない

どうでしょう閣下お言葉通りみすずとあたしたちは、ここで彼を待ちますですから彼が1階まで行って、みすずのために買い物してくることに邪魔はしないでいただけますか

渚がニコニコと閣下にそう言った

判った私も、おかしな真似はしないよ

お誓い下さいます

誓うよ約束する

その言葉に渚がみすずに

どうする閣下はこうおっしゃっているけれど

判りましたあたしは、ここで旦那様のお戻りをお待ちしています

行って来るよ、みすず

オレは一人で部屋を飛び出した

廊下を走ってエレベーターの前へと急ぐ

とにかくみすずに、いつまでもあんな格好をさせておくわけにはいかない

エレベーターまで行ってハッと気付く

そうだこの階から、乗り込むのはマズイ

オレは階段へ飛び込み4フロアほど、駆け下りる

その階でエレベーターに乗って1階へ

もう、1階には香月セキュリティ・サービスの制服組と工藤父の配下の人しか居ない

それでもお店は何とか営業していた

洋服を売ってそうな店を探す

あ、近くに2軒ある

ちゃんとした洋服店と

お土産物の店

オレは迷わずに土産物の店に飛び込む

Tシャツのコーナーで黒地にTOKYOの文字と浅草の大提灯の描かれているシャツをゲットする

腰がゴムになっている、フリーサイズの短パンみたいなのも見つけた

ビニール製のスポーツサンダルも

急いでレジに持って行く

これ下さいっ大至急

店員さんは本当は、香月セキュリティ・サービスの人なんだろうけれどこんな状況の中で買い物客が来たことに驚いていた

がとにかく売ってくれた

3点で合計7850円

高いんだか、安いんだかオレには、よく判らない

まあ、高級ホテルの中のお店なんだから市価よりは、高いんだろうけど

店員さんがありがとうございましたと言う前に、オレが礼を言って商品を受け取る

すぐに店から飛び出すまたエレベーターへ

あらどうしたの

廊下で、ネコさんにばったり出会った

ごめんなさい、今、急いでいるんで

オレは、それだけ言って廊下を全速力で走る

よく判んないけれど頑張ってねっ

背中にネコさんの声援を受ける

はいっネコさんもご無事でっ

オレは、それだけを叫んだ

エレベータ前に着く

早く来い早く

到着したエレベーターに飛び乗る

さあどうする

このまんま、さっきと乗ったのと同じ階へ行くか

それとも実際に閣下のいる階よりも上の階へ行って、階段で降りるか

どういうのが、一番良いカモフラージュになるのかオレには、判らない

最初に、山岡部長に連れ行かれた時は、どういう方式だったっけ

確か3回に分けてエレベーターに乗ったな

各階でわざわざ、少し離れた場所の違うエレベーターに乗り換えて

オレはまず10階まで、エレベーターで行く

そこから、階段で2フロアほど、駆け上がって

違うエレベーターで、28階へ

そして、5フロアほどまた駆け下りる

これでカモフラージュになるのかよく判らないけれど

とにかく、オレのできるベストを尽くす

元の部屋のドアをノックする

帰って来たぞ開けてくれ

オレは全身汗だくだ

額から汗が、たらたら垂れてくる

お帰りなさい

ドアを開けてくれたのはやっぱり渚だった

部屋の中へ飛び込む

さらにみんなの居る奥の部屋へ

みすず買って来たぞ

オレが部屋の中に入ると

お帰りなさいませっ旦那様

みすずが、嬉しそうにオレを出迎えた

部屋の中は薄暗くなっていた

元々、大手の企業用の会議室として作られている部屋だ

スクリーンに映像が映し出されていた

そこにオレの顔がアップで映っている

画面の中には小さく、廊下や1階のお店の映像も映っていた

ホテル内の監視カメラで今までのオレの行動を全部、この部屋で観察していたってことか

渚は笑っている

こういうことだってのは、判っていたんだな

オレにしがみついたまま祖父をジッと見つめている

気にしないで閣下もみすずも、意地の張り合いをしているだけなんだから

本当にどこまでも性格が似ているんだから

似ているみすずと閣下が

そう言えば確かに、そっくりな眼で、お互いを睨んでいる

11分36秒です

関さんが閣下に言った

それは予想よりも早いのかね、遅いのかね

閣下が、関さんに尋ねる

目的物を購入するまでは、予想よりも遥かに早いですが、その後はこの部屋に戻るのに、あそこまで周到な行動をするとは思っていませんでしたから

うむそうだな

何か、よく判らないが

みすず、とにかくこれを着ろ

オレは買い物のビニール袋をみすずに手渡す

そんな格好でいつまでもいると、風邪を引くぞ

これがただの試練だったとしても

今更、閣下に脱げと言われて脱いだ服は着て欲しくない

もう、凄い汗ね

渚がハンカチを出して、オレの汗を拭ってくれた

ごめんなさいねあなたに内緒にしていて

いいんだ渚にも考えがあったんだろありがとう

オレは渚に礼を言う

みすずが、オレにまた背中を向ける