Выбрать главу

警備本部に、そう連絡してみるんだね黒い森が来たって

黒い森って何だよ

こんな係員が黒い森のことなんて、知っているはずがないか

いいから、確認して御覧よあたしたちは、香月さんの客だよ

マルゴさんがサングラスを外し、冷たい眼で係の男を見た

お前たちが招待者リストには、載っていないぞ

係の男は、なおも強く出た

だから、警備本部に聞いて見ろって言っているんだよ何で、あたしたちが香月セキュリティ・サービスの警護課の連中と一緒に居ると思う

お前らも、警護課の下請けなんじゃないのか

バカじゃないの、あんたあたしたちは、香月閣下が、わざわざあんたの会社の警護課に送迎させるような特別な客なんだけど

いやまさか、そんな

いいからさっさと黒森御名穂って名前で、警備本部に問い合わせてみなよ

い、今、確認する

検問係が、トランシーバーで本部と交信する

いいんですか黒い森を名乗っちゃって

いいんだよこういう場面では、権威の力を見せつけた方がいい

マルゴさんが、ククッと笑った

昔、そう教わったんだよ恭子さんに

ああ変な感じたね自分の師匠から教わったことを、人に話すのは何か、くすぐったい感じがするよ

すぐに係の男が、血相を変えて戻って来た

し、失礼致しましたっお通り下さい

すっかり態度が一変している

香月閣下かみすずか判らないけれど警備本部には、オレたちが来ることはちゃんと伝えてくれていたらしい

あたしたちはいいよあたしたちは、あんたと同じセレブなご主人様の警護役だからね

マルゴさんは、サングラスを掛け直して笑いながらそう言った

だけどうちのご主人様に対して、そんな態度を取ったらあんたの首なんて、簡単に飛ぶからね

検問係は、真っ青になる

あのどの方が黒森御名穂様なんでございますか

3台目の白いバンに乗っている、黄色と黒のドレスを着たお嬢さんだよ

それは雪乃

え、2台目のベンツじゃないんですか

マルゴさんは、クククと笑って

うちのご主人様は、ちょっと変わり者なんだよ

そう言うとマセラッティを国立劇場の駐車場に入れた

すぐに車を停めて、後続を待つ

2号車のベンツは、すぐに通して貰えた

ドレス姿のメグ・マナに、黒いパンツスーツの寧さんが乗っているし美智の制服も効いている

でも、運転しているのが黒森御名穂だとは気付いていないだろうな

3台目のバンの番になると検問係は、車内の雪乃にペコペコしていた

雪乃は地味化された顔に工事現場カラーのドレスで、バンの中の鋼管パイプに手錠で繋がれているんだけど

マルゴさんのちょっと変わり者発言で、全部スルーされているようだ

克子姉が、いつもの愛想の良さでニコニコと応対しているし

とりあえず、黒い森の3台は、無事にゲートを通過する

続いてタイタンボーイも

まあ、トニーさんは香月セキュリティ・サービスの正社員だし

オレのどこが怪しいってんだよっ

そりゃあ、黒のスーツに赤いカラーシャツで

ベスパに乗って、やってくる中年男性は怪しいでしょう

いいんだ、そいつは

劇場の方からやって来た男性が検問係に声を掛けた

いいんですか、部長

そうだその男は

香月セキュリティ・サービス総合警備部の山岡部長だ

美智の母親と、不倫関係にある

覚えておけそいつが、警護課の名物課長、工藤優作だよ

小馬鹿にした口調で山岡部長はそう言った

検問係が大きく頷く

何だよ、そのああってのはよっ

工藤父は、すっかりおかんむりだ

山岡部長は、コンコンとベンツの運転席の窓を叩いた

ミナホ姉さんが、パワーウインドゥを開く

何か

車を置いたら、ちょっと話をするお時間がいただきたいのですが

ええ判っています

山岡部長は、香月セキュリティ・サービスの警備部門のトップだ

ミナホ姉さんも、対シザーリオ・ヴァイオラに関して打ち合わせしないといけないことがあるのだろう

警備本部は、どちらに

1階のロビーの奥に設置しています

では後ほど、お伺い致しますわ

ミナホ姉さんは、窓を閉める

さとにかく、車を置きに行こう

マルゴさんが、マセラッティを駐車場に向けると他の車もオレたちに続いた

最近、国立劇場に行って無いので、嘘ホント半々でいきます

国立劇場が、スケジュールの空いている日に、日舞の大きな流派の発表会などに会場を貸しているのは本当です

私は観に行ったことがあります

検問のこと

昔、岡山県のサーキットでF1が開催された時に(日本グランプリの他にパシフィック・グランプリというのが2年だけありました)、警備員のアルバイトに行きました

そこでは、やっぱりゲート前で検問していまして

国際イベントなので、みんな各種のクレデンシャル(ID)カードを首から提げていて、それの区分けによって入れる場所が決まっています

で検問していると

オレは、F1レーサーだ、中に入れろ

と、何も持たないで現れたオッサンが入り口で捕まってました

チケットも無いのに、ついやって来た家出少年も居ましたし

ゲートには、色々とドラマがある様です

ちなみに、それはアイルトン・セナが亡くなる直前のグランプリで

当日の朝、私がたまたま正面ゲートの警備を担当していたら、

小さなルノーの大衆車に(その時は、ウイリアムズ・ルノーに所属していたため)、友達を二人乗せて

セナは、自分で運転して走って来ました

ゲート前のコーナーを曲がる時、レースの時みたいに頭をククッと傾けて

この人は、本当に運転が好きなんだなあと思いました

ちなみに、シューマッハは毎日ヘリコプターでサーキット入りしていたはずです

215.劇場の中

今更なんですけれどいいんですか

国立劇場の立体駐車場に停止したマセラッティの中でオレは、マルゴさんに尋ねた

何のこと

マルゴさんが、車のエンジンを切りながら尋ねる

いや、あのまだ、4時前ですよね

ミナホ姉さんから貰った腕時計を見る

みすずの出る紺碧流の家元の教室の発表会は、夜の開催のはずだ

開場前の劇場って、関係者以外は入れないんじゃ

こんなに早くに来ちゃってマズくないですか

マルゴさんは、ニコッと微笑んで

まあ、その辺は気にしないでみすずさんも、もう来ているはずだしね

みすずも、もう会場に来ている

香月セキュリティ・サービスのタイムテーブルだと、出演者は午後1時に全員集合1時30分から順番に舞台稽古ロビーとかでも、それぞれお稽古しているはずだよ

発表会は、夜なのに

午後1時集合って、ちょっと早くないか