Выбрать главу

瑠璃子様美子を置いていかないで下さいませ

美子さんは、すっかり泣き顔になっていた

美子わたくしは別に、あなたを見捨てるつもりはありませんよ

瑠璃子が急いで、年上のお付きに近寄る

美子さんの手を握って

美子にはまだ、しばらくはわたくしの側に居てもらいます

しばらくは

驚く美子さん

美子は、もう高校3年生18歳ですそろそろ、わたくしと離れてお嫁入りの支度を始めるべきです

瑠璃子はオレの家族になったことで決心が付いたらしい

美子さんを解放してあげることに

わたくしは嫌ですどこかの家に嫁になんて行きたくはありませんわたくしはずっと死ぬまで、瑠璃子様にお仕えしたいのです

美子さんは、必死で嘆願する

美子の言葉は、本当に嬉しいですでもあなたは、わたくしとは立場の違う人間ですこれからのわたくしは、みすずお姉様と香月の家の中で闘っていかねばなりませんその争いに、香月の血筋では無い美子を巻き込みたくないのです

うん瑠璃子がオレたちの家族になったのには

香月家の中での後継者争いの問題が大きく関係している

みすずや瑠璃子は閣下の後釜を狙う一族や重役たちに狙われている

みんな自分の息子や血縁を、みすずたちと結婚させようとしている

だからそいつらの思惑を躱すために、みすずと瑠璃子は結託し黒森の家族になることとなった

しかし美子さんは、香月の血縁者では無い

瑠璃子さんとのコネを狙うやつはいるだろうが

自由意志で好きな相手と結婚し、幸せな家庭を築くことは許されている

そんなことをおっしゃらないで下さい美子は、美子は

美子さんは、捨てられた子犬の様に泣く

お祖父様お尋ねしたいことがございます

何だね

美子さんのご出生についてです

美子さんにはかねてより、お祖父様の隠し子では無いかという噂がございます

そんな噂もあるんだっけ

どうか、あたしたちに真実をお話下さい

美子さんも、香月の血筋の娘となれば話は別だ

みすず、瑠璃子そして、美子

香月老人は三人の少女たちを見る

本当のことを教えようその噂は、間違っている美子は、私の子供ではない

がっくりとうな垂れる美子さん

美子は私の死んだ長男、重春が秘書に産ませた娘だ

じゃあ、美子さんはみすずと瑠璃子の従姉

さっきも話した通り重春は、アメリカで家族共々謀殺された美子は、その時まで母親の胎内に居た重春が自分の若い女秘書に手を付けたんだ重春が生きていればあいつは、堕胎を命じていたかもしれんしかし、私は重春が残した最後の子供を何としてもこの世に残してやりたかっただから美子の母親を、信頼できる部下である小森雄三に引き取らせ、その家の娘として戸籍に登録させたんだ

ではわたくしの本当のお母様は

美子が乳母だと思っている人が実の母親だよ

浩美さんがわたくしのお母様

そうだ美子間違いなく、お前も私の孫娘だお前が産まれた後に、DNA鑑定も行っている重春の娘であることは証明されている

瑠璃子が美子さんの肩を抱く

美子もあたくしのお姉様なのですね

みすずも、真実に喜んでいる

しかし3人目の後継者候補が現れるのは、香月の家を混乱させることになるしかも、美子は故人の隠し子だ真実が明るみになれば、世間からどう評価されるか判らない

苦しげに、閣下は言った

隠し子というのは、そんなに立場が弱いのか

守ってくれる存在の父親が、すでにこの世にいないのでは香月家の中でのパワー・ゲームでグシャグシャにされる可能性は高いだろう

幸い美子の養父である小森は、忠節な男だ誰がどれだけ詳しく調べようと、美子が小森の娘であることが、動かしようのない事実になる様徹底して、工作してくれただから、美子は香月の家に縛られてはいない

香月重春の隠し子というのが真実だとしても世間にそのことが知られていない以上

美子さんは、今後の人生を自分で自由に決めることができる

お前は好きに生きていいのだぞ金なら、私が幾らでも出してやるしたい勉強があるのなら、留学でも何でもさせてやる気に入った男がいるのなら、持参金付きで妻合わせてやってもいい

香月老人は、3人目の孫娘にそう言った

わたくしはこのまま、ずっとこのままがいいのです

美子さんは、そう答えた

瑠璃子様のお付きとして一生涯、お仕えしたいんですそれが、わたくしの定められた運命なのでございますから

美子さんあんまり、思い込んじゃいけないよ

美子さんがオレを見る

絶対にこうだとかそうでないといけないとかそういう定めなんだとかそういうのって、単なる思い込みだから

あなたに何が判るというのですっ

美子さんが、オレに怒りをぶつける

判るよオレもつい最近、自分の人生観が引っ繰り返ったばかりだから

オレは、真剣な眼で美子さんを見る

オレはほんの一週間前まで、オレの人生はもうダメで、オレにはもう何も無いって思い込んでいたんだから

誰も帰ってこない、あの暗くて冷たい家で

一人ぼっちのソファで、毎晩、朝になるのを待っていた

だから、落ち着いて冷静になって、ゆっくり考えた方がいいよ

オレは、みすずと瑠璃子を見る

二人もまずは、美子さんに一人で考える時間をあげてくれ自分たちの意見を、美子さんに押しつけるようなことはしないで美子さんのためを思ってしたことでも、そういうのは美子さんを苦しめるだけだから

お兄様のおっしゃる通りに致します

二人は、即決で了承してくれた

香月さんも今はそれ以上は、お話にならないで下さい合理的な提案も、今すぐでは美子さんを混乱させるだけです

閣下も納得してくれた

美子さんどんな未来を選ぶのも、美子さんの自由ですから、ゆっくりと穏やかな心で考えてみて下さい大丈夫です美子さんがどんな結論を出したしても、瑠璃子が美子さんを見捨てることはありません瑠璃子と美子さんの絆は、今まで通りですそれは、オレが約束します

美子さんが少し落ち着いて、オレを見る

オレは美子さんから瑠璃子を取るつもりはありません瑠璃子も、美子さんを捨ててオレのところに飛び込んできたわけでもありませんオレと瑠璃子の関係と、瑠璃子と美子さんの関係は全然別のことですから安心して下さいね

はい取り乱しまして、申し訳ございません

美子さんが、一同に頭を下げる

では、この件はしばらく保留ということにしよう

閣下が話をまとめる

しかし、お前見た目は普通の子供なのに、調整者としては完璧な判断をするのだな

香月老人が、オレに言う

毎日、鍛えられていますから

オレは笑って、答えた

閣下もニヤッと微笑む