それは確か、黒森様と契って、黒森様の子供を産むというのが条件でしたね
はいあたしたちの旦那様の女になるというのが決まりです生涯、他の男性は愛さないと約束していただきます
しかしわたくしだけでなく、黒森様のお気持ちもお聞きになさるべきでは黒森様は、わたくしの様な暴力女はお好きでは無いでしょう
そんなことはありませんあたしたちの旦那様は、藤宮さんの様な真っ直ぐな性格の方はお好きですから
そうですわよね旦那様
あ、あのオレは、藤宮さんはとっても綺麗なお姉さんだって思っています暴力女とか、思ってません
しょうがないから、正直に答える
こんなこと嘘は言いません
藤宮さんがオレを見る
少し考え込んでそして、言った
いいでしょう黒森様の女になりましょうみなさんの家族になります
藤宮さんは真顔でそう答えた
ちょっちょと、藤宮さん
関さんが呆然としている
人生には、ターニング・ポイントというものがあります今がわたくしの人生を賭けるポイントなのでしょうみなさんの家族になる方がこのまま警護人をやっていくよりも楽しそうですから
でもこの子にヤられちゃうのよっこんな子の赤ちゃんを産むのあなた
あたふたしている関さん
関さん何も判っていらっしゃらないですね
藤宮さんは、ククっと嘲笑う
この家族が香月グループの次の王族になるんですよ
そうだオレたちの家族には、閣下も二人の後継者候補の孫娘たちも入っている
わたくしの産む子はみすず様、瑠璃子様のお子様の兄弟姉妹になるんですよ
オレたちは黒森の家族であり香月ではない
しかしみすずや瑠璃子が、オレの子供を見捨てるはずがない
みすず様のお誘い臣下ではなく、仲間仲間を越えて家族それが、どれほど光栄なお申し出なのか、関さんの頭では理解できないのですか
あなたの女になりますわたくしの純潔を捧げますよろしいですね主様
藤宮さんは、オレを主様と呼んだ
彼女の眼に迷いは無い
元々、さっぱりとした性格の人だ
一度約束したことはこの人は生涯守る
あなたを受け入れます、藤宮さん
オレは彼女の眼を見て、そう誓った
麗華とお呼び下さい
うん麗華か
うん、よろしく頼むよ、麗華
オレはみんなに振り向く
瑠璃子、美智、真緒ちゃんこれからは麗華お姉ちゃんだからな
麗華お姉様
綺麗ですお姉様
麗華お姉ちゃんっうっふっふー
妹たちは喜んでいる
あたしは麗華さんとお呼びしていいですか
はい、構いませんわたくしも、公式な場では今まで通り、みすず様、瑠璃子様とお呼びさせていただきます
普段はどうするんだ
普段はどういたしましょう
麗華は兄弟はいないだろう
はい、わたくしは一人っ子です両親を早く亡くしましたから子供の頃から、祖父と二人きりで育ちました
うん兄弟がいたら、こういう人にはならない
堅い性格は、お祖父さんと二人暮らしだったからか
この人も家族というものをよく知らないで成長した人なんだな
じゃあ、普段はみすずちゃん、瑠璃子ちゃんと呼ぶんだ
ちゃんですか
驚く麗華
それから美智ちゃんと真緒ちゃんだみんな、麗華の妹なんだからな
麗華は、戸惑っている
みんな家族なんだからそれが当たり前だろ
あー、あたしも麗華ちゃんて呼ぼうっ
そう言えば、麗華ちゃんて幾つ
22歳です
えー、あたしよりもお姉さんじゃないじゃあ、あたしもやっぱり麗華お姉ちゃんにするわ
そんな麗華と呼び捨てで構いませんから
渚の言葉に麗華は照れている
いーえ、そうはいかないわよっ麗華お姉ちゃん
渚も嬉しそうだ
ずっと克子姉と家族の姉役をやってきたから
年上の姉の加入は嬉しいんだろう
うむ私も家族の一員だからなお祖父ちゃんと呼んで貰おう
閣下が強面で麗華に迫る
お祖父様ではないぞお祖父ちゃんだ
そんな香月様、それは
さすがに、麗華もあたふたする
麗華家族だから
呼んであげるんだ
麗華が閣下を見る
お、お祖父ちゃん
顔を真っ赤にして麗華は言った
うわっ何これ
あの男装の麗人が何だ、この可愛らしさは
どういうことだか閣下まで顔を赤くしている
成人の美女にお祖父ちゃんて呼ばれるのは照れるよな
これでみんな家族ですよ
みすずが麗華に言う
はいとても良いものですね、家族ってみすず様
麗華が返事する
みすずちゃんでしょ
渚が、クスッと笑ってそう言った
あ、はいみすずちゃんわたくし何だかとても、楽しいですわ
新しい家族得たことで藤宮さんの中で、何かが変わろうとしている
さあところで
渚が関さんを見る
あなたはどうするのかな
思ったよりもスッキリと藤宮さんが家族入りしました
やっぱ性格が真っ直ぐな人は、楽ですね
それに比べて、関さんは
私事ですが、父が急に入院・手術することになりました
明日入院で、月曜日手術です
コミケとか行ってる余裕なくなりました
せっかくの夏休み期間も吹っ飛びそうです
ちょっと、付き添いとかに行かないといけないので
ここ数日は、枚数が減るかもしれません
更新は続けるつもりです
258.恋愛の才能
わたくしは少し、考えさせて下さい
関さんは答えた
というかここまで、香月家の秘密を知ってしまった以上、わたくし、もう抜け出せませんよねぇ
関さんが、上目遣いで閣下を見る
当たり前だ私が情報漏洩を見逃す様な人間だと思うかね
香月家の現当主が、厳しい眼で彼女を睨む
やっぱりそうですよねぇ
関さんは、トホホという顔をする
でどうなさいます関さん
みすずが、穏やかに尋ねた
いや、あのとにかく、皆様の仲間にはなりますもちろん、これが良いお話で、香月様やみすず様、瑠璃子様にお味方するべきだということは、わたくしにも良く判っておりますから
力なく、彼女は答える
ああ、良かった関さんが、それさえも判らないようなトンチンカンな方だったらどうしようかと心配しておりました
先に、一気に家族入りしてしまった麗華が、ニヤリと笑う
関さんは、そんな麗華を睨み返し
でも、わたくしは藤宮さんの様に簡単に人生を決めてしまいたくはないんですっあの家族になるというのは、大変なことですし
うむ、君の気持ちはよく判る
麗華みたいに、即決する方が変わっている
まあ、麗華は竹を割ったような異常に思いきりの良い性格だから、こうなったんだけど
普通の女性ならやっぱり、相当悩むことだろう
関さんは、チラッとオレを見る