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吉田くんも、これからは人の靴に注目してみなさいすぐに判るわ

とりあえず美智の靴を、改めて見てみる

これ靴底が

普通の革靴みたいに平らじゃない

はいわたくしの靴は、戦闘用ですから革でなく、ラバー製のソールになっていますしかも、わたくしの戦闘は都市部に限定されていますから軍用のソールでは無く、特殊な靴底パターンをオーダーメイドしています

あたしたちのも、そうだよっ

寧さんが、靴底を見せてくれる

見た目は、きちんとした革靴なのに靴底は、ジョギング・シューズの様になっていた

アスファルトやコンクリートの床面ならいいけれど滑りやすいリノリウムや、ワックスを塗った木の床なんかの上でもグリップしてくれないと困るからね靴底のゴム自体、特別製のを使っているよその分、減りも早いんだけれどね

今、工藤さんが履いている靴底は、あたしが前に使っていたのと同じ種類の材質だと思うなこっちのゴム底も試してみたら何なら、あたしが使っている職人さんを紹介してあげるよ

護衛の専門家は靴のことに、こんなに考えているんだ

さあ、そろそろ行きましょう

ミナホ姉さんが、みんなに声を掛ける

オレたちは駐車場棟から、劇場へと向かった

劇場の入り口にも、香月セキュリティ・サービスの警備員が立ち番していたけれど何も言わずに、オレたちを通してくれた

もうオレたちの来場情報は、警備員全体に知らされているらしい

旦那様ぁっ

広い劇場ロビーで、みすずが出迎えてくれた

みすずは、稽古用の浴衣姿だ

お待ちしていましたぁっ

みすずは、スッとオレに寄って来る

弓槻様も皆様も、本日はありがとうございます

みんなに頭を下げるみすず

少し、早く着きすぎてしまったわごめんなさいね

ミナホ姉さんは、そう言うが

皆様は、わたくしの家族ですからどうぞ、お気になさらないで下さい

つまりオレたちは、みすずのお供として正式に登録された

これで開場前の劇場に居ることは、全く問題なくなる

ロビーを見渡すとあちこちで、浴衣姿の少女が自主練習していた

それぞれの子の周囲にはお付きの人や、護衛が居る

みすずは、家から誰か来ているの

お祖父様や両親は、開場時間に合わせていらっしゃいますが

いや、そうじゃなくって護衛の人とか

みすずは、ククッと笑う

あたしにとっては、香月セキュリティ・サービスの方全員が身内ですから

確かに、香月セキュリティ・サービスは今日の発表会の護衛を担当しているけれど

そもそもは、香月家の人間の護衛が最優先なわけで

山岡警備部長まで来ているのなら、他の人は必要無いんだ

それに美智が戻って来てくれましたし

美智が、みすずの前にスッと立つ

みすず様の護衛に戻ります

頼みます美智

みすず専用の護衛が、任務に復帰する

じゃあ、あたしたちは山岡部長さんとお喋りしてくるわ

香月セキュリティ・サービスとの情報交換

しかし山岡部長は、こちらの知りたいような情報は持っていないと考えているんだろう

ミナホ姉さんは、お喋りと言っているのだから

克子とマルゴは一緒に来て

寧は吉田くんたちと一緒に居なさい

寧さんが、おどけてミナホ姉さんに敬礼する

遠目には、ミナホ姉さんがみすずのお付きの人で寧さんは、その部下に見えるだろう

判っていると思うけれど窓には近付かないで望遠レンズで、見ているやつがいるかもしれないから

マルゴさんが、心配そうにそう言った

大丈夫だよっちゃんと判ってるから

じゃあ吉田くん、頼むね

ミナホ姉さんら年長組3人はそのまま、警備本部へと向かって行った

みすずさぁーん

ロビーの入り口から、台車で荷物を運んで来た少女がみすずを呼ぶ

どうしました、加奈子さん

お手すきだったら、お手伝いしていただけませんお稽古場から今日、お客様にお配りするパンフレットが届いたんですけど、二つに折らないといけないんです

そういうのも、お弟子さんの仕事なんだな

舞台稽古の合間に、そういう準備もするんだ

あの、みすずさん

メグが、みすずに声を掛ける

そのお手伝いあたしたちにも、させて下さいませんか

マナもニコッと笑う

だって、あたしたちみすずさんの身内じゃないですか

みすずとメグが、眼を合わせてそして、笑い合う

では、お願いします

あ、あたしもやるからねっ

寧さんも、そう言ってくれた

雪乃さんも、お手伝いするんだからねっ

マナが、姉に意地悪くそう言った

雪乃は、ずっと黙り込んだままだ

さあ、参りましょう

美智が、スッと雪乃の背後に立って強制的に前方へ進ませる

オレたちは、全員で台車の少女の方へ向かった

初めまして、わたくし洞口加奈子と申します

とても大人っぽくて上品な少女が、オレたちに頭を下げた

この人も多分良家のお嬢さんなんだろう

みなさんみすずさんのお身内の方ですか

ニッコリ笑って、はっきりとそう答えた

こんにちわ、吉田マナです

マナが、大きな声で挨拶する

よ、吉田恵美です初めまして

マナに対抗してメグも、吉田を名乗った

あたし、吉田寧よろしくねっ

いや、いいのか

シザーリオ・ヴァイオラの件があるんだから無闇に、本名を名乗るべきではない

みなさん、ご姉妹なんですの

加奈子さんが、驚いてそう尋ねる

そうでーすっ

寧さんが、楽しそうに嘘を吐くが

あ、この人だけは違いまぁーす

マナが実の姉を指差す

ここで白坂の名前が出るとマズイんだろうな

さすがに昨日からの騒ぎだから、白坂家の人間がやって来ることは無いだろうけれど

こんなセレブばかりの場所じゃ白坂を名乗ったら、誰だってあの白坂家の血縁だと思うだろうし

と、オレが躊躇していると

この人は、黃縞黒子さん

美智がそう言った

って美智

見た目のまんまじゃねぇか

き、黄縞です

雪乃が、加奈子さんに挨拶する

じゃあ、しょうがない

雪乃はここでは、黄縞黒子だ

黄縞さんはちょっと変わっているけれど、気にしないでねっ海外での生活が長かっただけだからっ

寧さんがワルノリする

帰国子女なんですの

加奈子さんに質問に、寧さんは

そうそう去年まで、10年間、バル・ベルデ共和国で暮らしていたんだよねっ

それどこにあるんですか

それからこの人は、黒森公之助さん

美智が、オレを指してそう言った

な、何で

しかしここで否定するのは変だし

美智って、冗談とか言いそうに見えない子だから

ええい、仕方ない

黒森です