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うんこの家族のトップは、ミナホ姉さんだ

では、お嬢様お願いします

えっあたし

ミナホ姉さんは困った顔をして、みんなを見る

ま、いいわこれが、この家族での最初の食事になりますみんな、懇親を深めてね必ず、全員と話をするのよ会話を楽しみなさいね

そしてミナホ姉さんは、オレを見た

乾杯の音頭は、任せたわよ

えオレ

そうよあたしがこの家族の家長なら、あなたは家族の要でしょ

家族たちの視線がオレに集中する

お兄ちゃん、早くぅ

ご主人様、どうぞ

ヨッちゃん、ほらっ

はあ仕方ないか

じゃあ、みんなグラスを持って

スッとみんな、グラスを掲げる

何か気の利いたことを言おうかと思ったけれど、何も思い浮かばなかった

シンプルにいこう

では乾杯

かんぱーいっ

そして家族の立食パーティが始まる

飲んだり食べたり

あ関さんと美子さんは、まだみんなに打ち解けてないな

でも、克子姉やマナが積極的に話し掛けてくれている

逆に麗華はノリノリ過ぎる

こっちは、マルゴさんと寧さんと美智が相手をしてくれている

メグが暗いままなのが心配だけど

しかも、周りに知らない人ばかりな上に、妹に邪険にされているから

雪乃が、暗いメグの後ろに背後霊みたいになって、へばりついているし

大丈夫よ、あたしが行って来るから

渚が、オレの耳に囁く

こういう時は、年上のお姉さんの方が良いと思うの

うんオレがフォローしに行くと、みんなの注目を浴びるし

メグも気にするだろうな

頼むよ渚

はい、頼まれましたっ真緒、行くわよっ

合点だぁぁっ

真緒ちゃんそれ、どこで覚えてきたの

旦那様お祖父様に椅子を

そうだ立食のままだと、老齢の閣下は大変だ

椅子は室内の壁際に幾つか並んでいるだけだ

オレは急いで、その一つを持って来る

はい香月さん

ああ、ありがとう

閣下は、椅子に腰掛けながら、オレを見て

そろそろその香月さんというのは、やめないかね

家族なんだろう公の席ではともかくこういう場では、堅苦しいそれに

お前が、私に堅苦しいままだと他の娘たちも、いつまでも私に対して堅苦しいまんまになる

今だって、実の孫のみすず以外は、みんな閣下に近寄って来ないもんな

じゃああの、ジッちゃんとか呼んでもいいですか

ジッちゃん

オレ母方の本当の祖父が、あんまり良い人じゃなくってもう亡くなっているんですけれどお祖父さんとかだと、その人のことを思い出すから

ふむ

それに、父方のバァちゃんが、とっても大好きだったんです父の方のお祖父さんは、オレ、会ったことが無いんでなら、ジッちゃんが良いかなって

閣下は、ジッとオレを見ている

お前は、本当に馬鹿正直だな私のご機嫌取りをしようという気は無いのか

あ確かに

天下の香月家の当主にジッちゃんはないか

いや、いいそこがいいこれからも馬鹿を貫けそこが、お前の良いところだ

香月のジッちゃんは、ククッと笑ってワインを飲んだ

お祖父様、ワインもっと飲まれます

いや、いいみすず、アイス・ティを持って来てくれそれから、何か食べ物も適当に見繕って来てくれ

はいお祖父様

みすずが、オレたちから離れる

オレ、大丈夫でしょうか

ん何が心配なんだ

あのオレみたいなのが家族の要で、いいんだろうかって

和気藹々と、楽しそうに食事している家族たち

正直オレには、自信が無い

ジッちゃんは、オレの顔を見て

お前1万円札、持っているか

オレは、ポケットをまさぐる

財布から1万円札を取り出す

あるけどどうしたの

貸してみろ

オレはジッちゃんに、お札を手渡した

おいこの1万円札は、本当に1万円の価値があるのか

意味が判らない

実際の話1万円札を一枚刷るのに、10円もかからないただの紙だからな逆に1円玉を作るのには、1円以上掛かるアルミニウムだからな

そう言えばそうだな

このペラペラの紙が、1万円の価値があると決めているのは誰だなぜ、世界中の人間が、これが1万円の価値があると信じているんだ

全てはこのお札を発行している、日本という国家の信用だ日本国が信用されているから、この紙切れに1万円の価値があるということになる金融経済のルールが成立するんだこれがもし、日本国が潰れてみろ紙の上には1万円と書いてあるが、その価値は全て消え失せる

私たちの家族というシステムも結局は、みんながお前を信用しているということで成立している

オレですかミナホ姉さんの力の方が上ですよ

御名穂くんだけなら私は、この集団には加入せんよみすずだって、瑠璃子だって相手がお前だったから、信用しているんだろう

お前の馬鹿正直さは信じられるしかも、お前は馬鹿正直だが、決して馬鹿じゃない悪意のある者は、ちゃんと避けるし場の雰囲気に流されることも無いとりあえず、お前が身内にしても大丈夫だと思った人間は信じられる

そんなそこまでみんな、オレを信用してはいませんよ

ジッちゃんは、判っとらんなと、オレを笑った

私が、お前が要でなければ、この家族に参加しなかったように御名穂くんだって、お前が連れて来なければ私を受け入れなかったよ

私も御名穂くんも徹底的に相手を疑って、ようやく生き延びることができる世界に居るお前の存在が無ければ、私たちが家族になるなんて展開は起こり得なかったんだ

あたしも、そう思いますわ

振り向くとミナホ姉さんが居た

はいお祖父様、お飲み物とお食事です

みすずも、帰って来る

ちょうど良かったでは、少し込み入ったお話を致しましょうか

みすずが、祖父とミナホ姉さんに微笑み掛ける

込み入った話ってみすず

父は、無事に退院致しました

しばらくは自宅療養ですが術後の容態は良いようです

ご心配いただいて、本当にありがとうございます

シゲちゃんこと、閣下は亡くなった昭和の名優のTさんをイメージして書いています

その方は、声も良い方でコマーシャルのナレーションなどでも有名な方でした

声優としても、有名な作品に出ておられます

その方のエピソード

そのTさんが、地方公演に行かれたとき

本番で、セリフを忘れたとか何とかで、俳優のMさん(この方も名優です)とトラブルになったそうです

で、その日の公演の跳ねた後

Mさんは他の役者さんやスタッフと飲みに行かれて、ずっとTさんの悪口を言っていたそうです

その後宿泊先のホテルの部屋で、さらに飲み直そうという話になったのですが

あるスタッフの部屋に入ったら、たまたまTさんがそこで酔っ払って眠っていたのだそうです