マナは、オレへ自分のセクシーさをアピールしているつもりらしい
マナ今、ご飯食べているんだからオレの眼の前で、乳首をチラつかせるな
もうご飯と一緒に、マナも食べてよっ
そんなことよりお前、早く服を着ないと大変なことになるぞ
えっ、何で
並んでいる食事の量を見てみろよオレたち用にしては多すぎるだろ
マナが、テーブルの方を見る
そう言えばそうかも
これから、他の人たちも食いに来るらしいぞ
他の人って
ほら、劇場でジッちゃんの後ろにズラッと並んでいた高そうなスーツを着ていた
えっ、あのお兄さんたちここへ来るの
驚く、マナ
そうだなそろそろ、あいつらも呼んでやらんといけないな
ジッちゃんが、とぼけた感じでそう言った
えー、うっそ
本当だよだから、急いで着て来い
慌てて自分の脱いだドレスのところに走っていくマナ
ふむ、面白い子だな
ちょっとあいつは、品の無いところがあるから瑠璃子、真似しちゃダメだぞ
裸でうろつくとかダメだからな
はい瑠璃子は、お兄様にしかお見せ致しませんっ
瑠璃子は品はあるんだが少し固すぎるんだよな
まあ、それが瑠璃子らしさなんだからいいけれど
もうっヨシくんのバカっバカっオチンチンっ
メグどうした
そんなに赤い顔をして
そんなにその子がいいのっいいわよっどうせ、あたしはお嬢様じゃないもんっあたしは、他の子よりも綺麗じゃないんだからっ
誰ですかメグにお酒を飲ませたのは
あ後ろで、寧さんがワインのボトルを持って立っている
オレの方に向かって、ごめんと頭をペコペコ下げている
寧さんか
これ相当、飲んでいるよな
もう、あたしのことなんて、嫌いになっちゃったんでしょっ
半べそでメグは叫んだ
えー、前に付き合っていた彼女が酒乱でした
一番酷い時は、飲み屋の他の客にケンカを売ってました
謝るのが大変でした
酔っている時の記憶が無いから、私の苦労はあんまり判って貰えませんでした
私はそんなに酒に強くないので、そもそも記憶を無くすほど飲めません
基本的に、みんなから会計してお店に払って、おつりを返す係でしたし
あの子今は、どこで飲んだくれているのでしょうね
結局、夏休み期間は何もしないまま終わってしまいました
明日から、仕事再開です
ずっと宿題になっている、最新の登場人物リストも終わってないし
263.家族の時間・4 (恵美とみすず)
酔っ払っているメグは、いつもとは全然様子が違う
もおっ、ヨシくんのバカバカ、バカ、バカうわぁぁーん
メグは、大きな声で泣き出した
その場にうずくまる
ちょっと大丈夫か
オレもしゃがんで、泣いているメグを覗き込む
近寄らないでよ、バカァ
嘘、嘘もっと、こっちに来てぇギュッとしてぇヨシくん
今度はオレに抱きついて来る
チューしよ、チューチューしたいのぉぉ
メグの唇がオレの唇を塞ぐ
メグの息は、ワインの香りがする
オレの口に入れられた舌も、ワインの味がした
どれだけ飲んだんだ
好き好き好きなのぉぉメグが一番、ヨシくんのこと好きなんだからぁぁ
とろんとした眼で、オレに言う
メグねヨシくんのこと、監禁したいロープで縛って、どこにも行かれなくするのご飯もおトイレも、メグがお世話するの夜はメグが、抱き締めてあげるからヨシくん、メグの抱き枕なんだよ
この酔っ払いは、どこまで暴走するんだ
もう、離さないんだからっ誰にもあげないのヨシくんは、メグのなんだからメグだけ見ていてよ
またオレの口に、メグの熱いキスが
ぷはっメグ、ヨシくんとチューするの大好きずっとしていたいよぉぉ
どれだけ溜め込んでいるんだよ、メグ
内面に澱んでいた感情が、一気に放出されている
あそっか
実際には、メグはそんなに飲んでいないな
こんな短時間で泥酔するのは無理だし
そもそも、そんな大量のワインを寧さんが開けているはずがない
実際には、3、4杯がいいとこだろう
ただ、メグは
酔っているという名目を求めていた
酔ってしまったから、オレに甘えてしまっていると自分に言い訳できるから
それで数杯のワインをあおっただけで、泥酔した気分になっているんだ
なぁによぉ
可愛いな、メグは
もぉぉ、みんなにそう言ってるんでしょメグは、可愛くないわよっ他の子の方が、もっともっと可愛いんだから
メグのコンプレックスは、根深い
単純な容姿の問題じゃないもんな
メグは山峰家という、庶民の家で育った
家は古かったし、決して裕福な家じゃない
その上、白坂家という金持ちの親族からずっとイジメられてきた
良家に対してはコンプレックスがある
何よ、みすずさんとか瑠璃子さんにデレデレしちゃってさいいのよあたしは、あんなお姫様じゃないものヨシくんは、お姫様のところへ行っちゃえばいいのよっ
さらに瑠璃子たちの家族参加で、色々と事情が変わった
これまでの黒い森はミナホ姉さんたち、元々からお屋敷にいる人たちに、オレやみすずやメグやマナが付け加えられただけだった
みすずとマナは、オレの女になったということで黒い森に特別に加えてもらっていたような感じだったけれど
メグはお屋敷生まれだから最初から、ミナホ姉さんたちに近い立場だった
ところが、瑠璃子たちの参加で今、この場に居る女たちに三つの系統が生まれてしまった
1.元からの黒い森のメンバー ミナホ姉さん、克子姉、渚、マルゴさん、寧さん
2.白坂家絡みの人間 メグ、マナ、そして家族じゃないけれど雪乃
3.香月家の関係者 みすず、瑠璃子、美智、麗華そして、まだ家族じゃない、関さんと美子さん
かつては、オレの女の1人、あるいは渚の系列でしかなかったみすずが香月家の人々を連れて来て、一気に大派閥の長になってしまった
みすずには、そういうつもりは無いんだろうけれどメグには、そう見えるのだろう
しかも、ジッちゃんまで家族入りしたから
香月家派閥が、黒い森の中で大勢力になったことは間違いない
メグとしては自分の立場が急激に低下しているような気がするんだろう
メグだって、お姫様だよオレにとっては
嘘よあたし、可愛くないもんっ
可愛いよメグ
オレは、メグの背中を擦ってやる
子供をあやすみたいに言わないであたし、美智さんじゃないんだからっ
メグは難しいな
ごめんな
何がよ
年下の子や、年上の人だとどうしたら良いのか、何となく判ってきたんだけど
オレはメグの眼を見る
同い年の同級生だとどうしたらいいのか、判らなくなる時があるんだ