前は、してくれたじゃん
うん前にお屋敷の風呂場で、真緒ちゃんとキスしたことがある
でも、あの時と今ではオレの中の決意が違う
オレは真緒ちゃんのパパになるんだ
これ以上は、いけない
真緒お口のキスは、もっと大人になってからね
渚が娘にそう言ってくれた
4歳になったらいい
そうね12歳ぐらいかな
そんなの真緒、おばあちゃんになっちゃうよぉぉ
真緒ちゃんは、部屋中の女たちを敵に廻す様なことを言う
可愛いっ可愛いですっ
麗華だけは、ニコニコしてムッとしている真緒ちゃんを抱き締める
そんな顔しないで、麗華お姉ちゃんがキスしてあげますっ
麗華が真緒ちゃんにキスをする
ちょっと麗華お姉さん
慌てる渚
家族ですから
麗華は、澄まし顔でそう言った
突然、部屋のドアがガチャっと開いた
やっぱり、こんなところにいらっしゃった
ゾロゾロと入って来る高級スーツに身を包んだ若い男の一団
ジッちゃんの私塾の連中か
やれやれ見つかったか
ジッちゃんは不機嫌な顔をする
何だ食事があるじゃないですか
これって、オレたちもご相伴させていただいて構わないですよね
何か、すっげぇ綺麗なお姉さんばっかり居るじゃないですか
さっすが閣下のご趣味は素晴らしいですね
許可も得ずに、わらわらと入って来る男たち
何なんだこいつらは
メグも何とか治まりました
こういう作品だと、物分かりの良い女の子ばかりになるんですけれど
手間の掛かる女の子も可愛いんですよね
メグは普通の子なので色々大変です
普通って言うなあ
今日から、通常のお仕事です
はぁ暑そうだなあ
264.私塾のやつら
みすずがオレに寄って来る
今、騒いでいる人たちのことは気にしないで下さい奥の人が、わざとやらせています
オレの耳にそっと囁く
一番奥に居る背の高い人が、香月操さんお祖父様の上の弟の孫です
確かに、落ち着いた様子でオレたちを観察している男がいる
そのお隣が、操さんの弟の昴さんです今、騒いでいる人の真ん中に居るのが香月仁さんこの方は、お祖父様の下の弟さんの血筋になります仁さんの脇にいるのが、夏木惇さんお祖父様の妹の孫ですこの4人が香月家のプリンスたちと呼ばれています
操さんの周りに集まっている方たちが、操さんの派閥の人たちです惇さんのお隣にいるのが角田文和さん操さんの後ろにいらっしゃるのが、虎田知徳さん、谷楽進さん、大張遼さん 、嘉田奉孝さんみなさん、香月グループの昔からの重役の息子さんです
香月家のプリンスたちを中心として派閥を形成している
それと廊下の外にいらっしゃる方たち
うん、部屋の入り口付近に固まっている香月操の一派とは別に
ドアの外に、別の集団がいるのが見える
あちらが最近になって香月グループの中で台頭してきた、新興勢力の人たちの息子さんです司馬アキラさん貴彦さんの弟華岡侘介さん、孔守融さん、河藤晃司さん、香月健思さん健思さんは香月家の分家の出身ですが、操さんを嫌ってこちらの派閥についていらっしゃいますそれから、高木風太さん
ジッちゃんの私塾の15人はプリンス派の9人と新興グループの6人に分かれているのか
親と同じで、子供たちも派閥を作って対立している
誰がここに入っていいと言った
ジッちゃんが強い眼で騒いでいる青年たちを睨み付ける
お、お祖父様それは、その
香月仁が、慌てふためく
お前は、私の弟の孫だろう私の孫ではない
ジッちゃんは、冷たくそう言った
いや僕は、実の祖父の様に閣下を敬愛しておりますので
嫡流でなければ、血族も臣下それが、香月家の定めだ私は、お前みたいな若造ごときに敬愛される程、落ちぶれてはおらんよ
ジッちゃんの言葉に香月仁は、黙り込む
仁、閣下に謝罪しろ
背後から、香月操が言った
わたくしからもお詫び致しますご無礼を致しました
香月操は、スッと頭を下げるが
それはポーズだけで、心の中では何とも思っていないことが態度で判った
こいつ嫌なやつだ
も、申し訳ございません閣下
香月仁も、頭を下げる
いや、仁だけではありません我々も、いささか礼を失した態度でした申し訳ございません猛省致します
そう言ったのは夏木惇か
この人が、一番年長に見えるそれでも20代の前半だろう
夏木惇の謝罪には、心があるように見えた
ちゃんと心から謝罪と反省をしている
お前たちをここに連れてきたのは、誰だね
ジッちゃんが、私塾の若者たちに尋ねた
私でございます
廊下の外から、女の声がする
と、青年たちを掻き分け1人のタイトスカートに銀縁眼鏡の女性が、部屋の中に入って来る
君かね須藤くん
ジッちゃんは、憎々しげにそう言った
はい香月会長の秘書として、私がご案内致しました
どうして私に確認を取らなかった
タイム・スケジュール通りに行動致しましただけでございますが
眼鏡の女性秘書は、ツンとした態度でそう言った
多少の時間のズレなど、どうでもいいことだ
ジッちゃんは、そう言うが
すでに予定時間を20分オーバーしております私の職業倫理では、20分オーバーというのは多少の時間のズレではございません今後のスケジュール進行に、多大な影響を及ぼしかねませんから
この女性は香月家の当主であるジッちゃんの意志より、タイム・スケジュールの方を優先するというのか
一応、聞いておくが君の作った予定表では、今の時間は何になっているのかね
女秘書は、答えた
私塾の方々とのお食事・懇親会ということになっています
ふんだから君は、彼らを連れて来たのかね
はいこの時間は45分に設定しておきましたが、すでに20分オーバーです残り25分でお食事していただかないと、次のスケジュールに響きます
女秘書は、平然とそう言った
ジッちゃんは、みすずを見る
みすず覚えておけ大きな企業の秘書となると、彼女の様な勘違いした人材も現れるもっともこれは、こういう人間に自分のスケジュールを任せきりにして平気でいられる鈍感なジィさんが、重役連中の中に多いからだがな
ムッとする女性秘書
悪感情が、完全に顔に出ている
私の作成したタイム・スケジュールには、会長もご承認下さったはずです
ああ、確かに私は承認しただから、私は自由に予定を変更する権限も持っている
静かにジッちゃんは、言った
須藤くん君は、この4月に私の秘書になったばかりだったね
はい4月1日より、香月会長付けとなりました
君を推薦してきたのは秘書課長の虎田くんだが彼も固すぎる男だからな