ずっと昔から仲良しですわっわたくしは生まれてからずっと、みすずお姉様を敬愛しております
瑠璃子は、みすずとの仲を悪く言われてちょっと怒っている
みすずが、サッと声を掛ける
一々、操さんたちの質問に答える必要はありませんそれが、この人たちの手です
うんこちらを感情的にさせて、色々と内情を喋らせようと言うのだろう
そもそもこの方たちは、形だけ謝ったからというだけで、寧さんのお気持ちを確認しないまま全ては水に流したことにしてしまおうとなさる様な方々です
そういや、そうだ
こいつらは、もう全部終わったことみたいにしているけれど
こっちの気持ちなんて、少しも気にしていない
寧様この方たちをお許しになられるおつもりは、ございますか
これっぽっちも無いよっこの子たち、女を馬鹿にしすぎていると思う
改めて謝罪させますか
それもいい頭だけ下げても、心の中で笑っているの判っているものこういう男たちって、あたし大っ嫌い
寧さんは、はっきりそう言った
そういうことですから、あなたたちはあたしたちに構わないで下さい
すみません、父の容態が急に悪くなったので
これから病院に連れて行きます
途中で済みません
※そのまま緊急手術となりました
8時間半という大手術で私が帰宅したのは、翌日の午後になりました
続きは、余裕があれば帰宅後に書きます
266.笑う女たち
いいでしょうみすず様が、その様なお考えでしたら我々も無理強いは致しません
香月操は、ジッとみすずを見る
しかし現状についての、ご説明だけはしていただきたいと思います私は分家であっても香月家の一員ですし私の味方は、香月グループの未来を担う有能な人材の集まりです当然我々にも、知る権利はあると存じますが
相変わらず、香月操は余裕のある表情を崩さない
自分の言っていることが正当であり、みすずは彼の希望に応えて説明する責任があると心の底から思っているようだ
何をお知りになりたいんです
探るような眼でみすずは、答えた
今日の紺碧流の発表会で、あなたが起こした政治的なパフォーマンスそこに居る正体不明の男を、あなたは舞台に引き上げられた
いやオレが、自分の意志で舞台に上がったんだ
しかし、香月操はみすずを自分たち同様、香月家に対して野心のある策略家だと考えているらしい
だからオレたちの恋愛を政治的と皮肉る
その後の司馬貴彦の反応また、我々がこのホテルに移動した後、司馬貴彦だけが閣下に呼ばれたという事実嘉田お前は、どう考える
香月操は、チーム・プレーに徹する
自分1人でみすずに対するより、グループ全体で圧力を掛けた方が効果的だと考えているのだろう
はいまず、間違いなく閣下が極秘裏に指名なさっていたみすず様の婚約者は、司馬貴彦だったのだろうと推察されます
嘉田は、恭しくボスに頭を下げてそう答えた
そして司馬貴彦は、閣下のお呼びから我々の待機している部屋に戻ってきた時、大変狼狽しておりました何か、精神的にショックなことがあったとしか思えません
ああ確かに、そうだった慌てふためくとしか言い様の無い状態だったな我々とは、一切接触せず我々のグループの人間に表情を見透かされるのを嫌ったのだろう弟の司馬アキラくんにだけ、何か呟いて気分が悪いからと1人だけ帰宅して行ったが
香月操は、司馬貴彦を嘲笑うようにニヤッと笑う
そうか婚約者の地位を剥奪された司馬貴彦は
敵対グループであるプリンス派の連中に、事情を探られるのが嫌で
1人だけ逃げ帰ったんだ
まああのギャーギャー喚いただけのエリートさんらしい行動だ
まさしく尾羽打ち枯らすといった風情でしたなっハッハッハ
プリンス派の夏木惇が、豪快に笑う
釣られて、香月仁、虎田知徳、谷楽進、角田文和、大張遼 と言った連中も笑う
面白いから笑っているのでは無い
あくまでも部屋の入り口の方に固まっている新興グループの連中、特に司馬アキラの心を傷付けるための笑い
意図的な悪意だ
アキラくんお兄様は君に、あの時何と言っていたんだね
これまた報告するのが当然だろうという態度で、夏木が尋ねる
もっとも、それを押し通せるだけの貫禄が夏木にはある
わざと軽薄かつ失礼な態度で、相手を誘発するのが角田なら
夏木は、偉そうな雰囲気で相手の心に迫って来る
家族の中での会話です皆様にお知らせすべきことではありません
司馬アキラは、穏やかに答えた
そう言わないで、アキラくん同じ私塾の仲間じゃないかっ
今度は明るく最年少者の香月昴が、話し掛ける
もし、みんなには言えないことなら後で、こっそり僕にだけ話してくれよっ僕たちは私塾の中では一番年少の仲間じゃないか何でも、相談に乗るよっ
うわぁ男性アイドルの様な薄っぺらい笑顔で、香月昴は微笑んでいる
剛の次は柔手取り足取り、次から次へとよくやる
昴無理を言うなアキラくんにも事情があるんだそこは推して察してあげるというのが、本当の友情というものだぞ
はい操お兄様アキラくん、ごめんね、君の気持ちも考えないで僕、ちょっと余計なことを言っちゃったみたいだねでも、本当に僕は君のことが心配なんだそのことだけは判って欲しいなっ
ああうぜぇ
何て、うざい笑顔なんだ
さてさりとて、我々は手持ちの状況から、現状を推察せねばならん嘉田、お前の推論を述べてみろ
ハッ、操様所見を申し上げますこれは、あくまで私の勝手な推論であり実際の状況とは違っているかもしれませんが
嘉田はあくまでも自分の推論を話すのだと、先に弁解する
つまり今から話すことはプリンス派の公式見解では無いし
個人の推論だから、多少失礼な見方になってしまっていても仕方ないという言い訳をしたのだ
閣下の指名なさっていたみすず様の婚約者が、司馬貴彦氏であったということは閣下はお二人のお孫様、瑠璃子様とみすず様の結婚相手を、我々の内部の二つのグループから輩出することによって、将来の融和を図っておられたのではないかと考えます
嘉田さんよぉ、オレにも判るようにもう少し判りやすく言ってくれないか
プリンス派の虎田が、大きな声で言う
はい、すなわちおそらく閣下は瑠璃子様の婚約者と致しましては、永年に渡り香月家の屋台骨を支えてきた臣下の子息である我々の中から指名なさるおつもりだったのだと思います瑠璃子様は、真の正当な香月家の継承者であらせられます新参の臣下の子を婿に迎えるというわけにはいかないとお考えだったのでしょう
そうか、その代わり瑠璃子様の次に高貴な血筋である、みすず様には、司馬貴彦を妻合わせようというお考えか