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そっちへ行くつもりは無い話があるなら、そこからすればいいじゃないか

オレは、強く突っぱねた

何だと生意気だぞ、貴様っ

香月仁が、オレを罵る

まあ、いい特に許す

操様

高圧的な態度では、建設的な会話はできないそうだろう、仁

はっ、操様

おい、貴様操様の寛大なお心に感謝するんだなっ

ああ、さすがは操様だ

また、そういう展開かよ

香月操の器をでかく見せようとする演出なんだろうけれど

こう何度もやられたら、小者っぽさの方がよっぽど強調される

とにかく、アホなんだなこいつら

1人1人は頭が良くってエリートなんだろうけれど

自分たちが選ばれた人間だと思い込んだ時から馬鹿の集団になってしまっている

でオレに何が言いたいんです

喋りながら退路を確認しておく

包囲されたら、逃げるのが大変になる

まさか、いきなりオレを攻撃してくることはないと思うが

いや警戒を怠ってはいけない

オレが死ねばみすずは再び、フリーな存在になる

香月操の思い通りの状況を作るため

一か八か、オレを殺そうとするやつもいるかもしれない

それぐらいの想定をし続けなければ

これからのオレは、生きていけない

ああ、ブン殴り棒があればなあ

シザーリオ・ヴァイオラ相手なら、下手に武装している方が危険だということでオレのブン殴り棒は、学校に残して来たんだっけ

では単刀直入に言おう

香月操が、オレに告げた

貴様我々の同士となれ

特別の恩情を持って、操様は貴様を我々の一派に入れてやろうとおっしゃっているのだ

夏木惇が、大きな声でそう言う

その代わり、今後は操様に忠誠を誓ってもらうぞ我々の盟主は操様だいいなっ

何、このドヤ顔で、オレを見下している人たちは

お前ら全員、脳みそ腐っているんじゃないか

我々の仲間になるということは、香月の次の世代を動かす中枢の人間になるということだ貴様にとっても、悪い話ではあるまい

一番貫禄のある夏木惇が、オレにそう言う

みすず様は、貴様を香月グループの企業に入れるつもりは無いとおっしゃったがお前も本心では、野心があるのだろういや、答えなくても良い私には判っている

嘉田が、もったいぶった態度でそんなことを言い出す

あのオレ、パン屋になるんですけれど

パン香月ゼネラル・フーズ社を狙っているのか

そう叫んだのは、大張だ

いや、違います普通のパン屋です街でパンを売っている

まさかフランチャイズ事業を

嘉田パンを主製品とした飲食店チェーンは、香月グループの中に幾つあるんだ

18社、26ブランドあります

おい、お前ら

人の話は、ちゃんと聞け

操様、いいんじゃないですかオレたちみんな、香月グループの中でも金融やマスコミ企業志望ですからこいつが食品関係がやりたいって言うんなら、任しちまったって問題は無いでしょう

角田が、また軽薄そうに言う

そうだな我々の興味の無い業種は、どうせ司馬貴彦たちに押しつけるつもりだったしいいだろう食品関係は好きにやらせてやるから、お前はオレの下になれ

香月操は、平然とそう言った

あダメだ、こいつら

こんなやつらが親の後を継いで香月グループの重役になったら

香月グループは、潰れる

ごめん、悪いんだけどオレはあなたたちの仲間になる気はないですから

なぜだこんな好条件を、なぜ断る

そうだ、幸運の女神には後ろ髪が無いぞ捕らえるなら、今だ

あのさ操様がせっかくチャンスを下さっているのに、乗っからないなんて馬鹿だぜ

うーんと

そうなんですよオレ、馬鹿なんですすみません

オレは、スッとその場から離れようとする

マルゴさん、寧さん、麗華の3人で必要な食べ物と飲み物は運び出したみたいだし

こんな馬鹿の群れの中に、いつまでもいられるか

オレは、みすずたちの方へ戻ろうとする

おい、ちょっと待て話は終わっていないぞ

夏木惇、大張遼、谷楽進らが、オレを捕まえようと動き出す

やばい、こいつらは動きが速い

このままだと囲まれるぞ

オレを助けに、美智が飛び込んで来る

そいつを近づけるな

香月操がそう命じる

そいつは、工藤の娘ですぞ

工藤閣下のお飼いになっておられる警護人の

その娘も父親と同じ奇妙な技を使うはずです

知っているのか、嘉田

はい私の妹の同級生でございますっ

はあ嘉田の妹も、あそこのお嬢様校か

そんな話をしているうちに美智は、あっという間にオレの前に到着する

ご主人様、お手を

オレは美智と手を繋ぐ

参りますっわたくしに付いて来て下さいっ

美智ケガはさせるなよっ

承知

オレと美智は手を繋いだままプリンス派の包囲をすり抜ける

な、何だこいつら動きが変だぞ

工藤流古武術の奥義は、敵の気を反らすことにある

相手の予想の裏をかきオレたちは、みすずたちの方へ戻った

ストップそれ以上、こちらに近寄ることを禁じます

みすずが男たちを制する

それ以上は、実力行使で制するよ

マルゴさんと麗華がみすずの脇に控えている

長身の2人の美女が並び立つ姿は凄みがあった

さてどうなさいます

撲殺ステッキをくるんと廻す麗華に香月操は

この場は引け

苦々しい顔で、そう命じた

一触即発にはならなかった

まあ、もし乱闘になったら

マルゴさんと麗華と美智で、あんなやつらは徹底的にノしてしまうんだろうけれど

怪我人が出なくて良かった

あれ仁さん、あの女

角田がオレたちの方を見て、何かに気付いた

どうした、角田

香月仁が、角田に寄って来る

やっぱり、そうだ間違いねぇっすよ

だから、何がだ

あの女白坂雪乃ですよっ

角田が雪乃に気付いた

何だとお

いや、絶対そうです変装していますが、オレの眼は誤魔化されません前に吉永家のパーティで見たことがありますからっほら、仁さんも一緒に行ったじゃないですか

パーティの席で雪乃と会っている

あっ、そうだこいつ、間違いねぇや白坂雪乃だぜ

香月仁が、喚き出す

はい、今、問題になっている白坂創介の娘です

マスコミは、行方不明だって言ってなかったか

だから、ここに居たんだよっ

プリンス派のやつらが、次々に口を開く

え、ちょっと待って下さいよ皆さん

一番年下の香月昴が、角田や香月仁を制して、そう言った

その人が、本当に白坂雪乃さんだとして

男たちの視線が、雪乃に集まっていく

遠くにいる司馬アキラたち新興グループの男たちも、興味深そうにこっちを見ていた