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私は、お二人を主と認めます

そして、自分の仲間新興グループに振り向く

君たちはどうする

顔を見合わす青年たち

私も恭順致します

次に跪いたのも新興グループの河藤晃司だった

香月の次のトップが、こんなにもご聡明で強い意志をお持ちであることを私は、嬉しく感じております

わ、私も

僕も

次々に新興グループのメンバーが、みすずと瑠璃子の臣下となる

司馬アキラを残して

ぼ、僕はなりませんっ

司馬アキラは言った

僕は誰の臣下にもならない僕は僕の道を行きます父も、僕の思いをきっと判ってくれると思います

アキラくん今は形だけでも、臣下の礼を取っておきたまえきっと後悔するぞ

香月健思の言葉に、アキラは

後悔したって構いませんっ嫌なものは嫌なんだっ

そうですかでは、お一人で頑張って下さいね

さようなら、アキラさん

瑠璃子も無表情で、そう言った

あなたたちは、どうなさるおつもりですか

みすずは香月操らプリンス派を見る

わ、我々はその

香月操は、言葉を濁す

香月操は分家の中で一番本家に近い血筋という、訳の判らない理屈でイバッている男だ

ここでみすずと瑠璃子に屈すると立場を失う

プリンス派という派閥自体が、存在意義をなくしてしまう

自分も香月家の尊い血筋なのだという思いがあるからプリンスなのだ

自分が臣下だと認めてしまえばプリンスでも何でもない

みすずと瑠璃子を怒らせて、香月家から追放となれば

それこそ、何も残らなくなる

どうします、操様

香月操を旗頭にして徒党を組んでいるメンバーたちが、操の意志を問う

わ私は

そこまでだ一気に片を付けるべきではないぞ、みすず、瑠璃子

スピーカーから、ジッちゃんの声が聞こえてくる

父の容態ですが、まだ意識は戻っていません

集中治療室で、面会時間も制限されたままです

しかし、前日までは機械で無理矢理呼吸をしていたのが

昨日は、自分の力で普通に息をしていました

ですから眠っている父の姿は、いつもの睡眠状態の様で

まだ予断を許さない状態ですが

今日も、何とか書けました

感想欄の方に、ヴァイオラの襲撃はどうなったんだという質問がありましたが

現在のヴァイオラは、白坂本家より、閣下との交渉に応じた白坂家の裏切り者を抹殺する仕事も受けています

なので、全ての関係者がホテルに到着するまでは動きません

そろそろ動き始めるとは思いますが

次話より、交渉編に入る予定です

269.ジッちゃんの採点

香月の様な旧家を核とした企業は、成り上がりの新興企業よりも遥かに強いなぜか判るかね

スピーカーから流れるジッちゃんの声が問う

長く続いている名家は、特別な存在だからだ名家同士の繋がりで、信用もある力もある百年以上に渡って、香月は日本という国家の進展に寄与してきた表でも裏でも日本政府はおろか、アメリカ政府でも、香月家を潰すことは、もはやできない香月家が担ってきた政治的、経済的な活動が公表されれば国の方が転覆してしまうからな決して、何者でも侵すことの出来ない家それが、香月家だ香月家と取引をしている企業だというだけで、財界では絶対的な信頼を得ることができるのだよ

それが名家

さて私は、そういう家、香月グループの舵取りを永年に渡って行ってきた香月家の活動は、幅が広い

みすずと瑠璃子も香月操らプリンス派も司馬アキラと香月健思たち新興グループたちもジッちゃんの声に、真剣に耳を傾けている

それには家を守るということと、家を発展させるということ大きく分けて、二つの流れがある

守ること発展させること

守るという意志がなければ、時代の流れの中で旧家としての伝統や誇りは失われる新興勢力に何もかも踏みにじられるしかし守り続けるだけでは、弱体化は否めない現状維持とは、家が時の流れに晒されて疲弊損耗していくということだ成長を止めた瞬間に、全ては死に向かう人も家も企業もだ

ジッちゃんの言葉には、重みがあった

だからこそ守らなければならないものを保有しながら、私たちは常に時代に合わせて、家を成長・変化させていかねばならないこれは、本来、相矛盾する事柄だしかし、両立させることはできるいや、両立させなければ家は滅ぶ

スピーカーの声が、ククッと笑った

では、どうするか簡単だよ私は、グループ内の企業を2つに分けている守り続けることに重きを置く会社と発展させることに主眼を置く企業にね

みすずが、ハッとして私塾の連中を見る

プリンス派と新興グループ

みすず、瑠璃子今のお前たちの眼から見れば、私の私塾の教え子たちは、いがみ合っているだけの愚か者に見えるのだろうがね十代の頃からの知り合いお互いの性質を知り尽くしている相手がいるというのは、良いことだよ今は二つのグループに分かれているがもうしばらくすれば混交する反目している者ほど、仲良くなったりするものだよ

ジッちゃんは長期的な視野で私塾を運営している

まずは香月操

ジッちゃんに名を呼ばれ香月操は、緊張しながら返事をした

お前は守ることの方に向いているな

わ、私がですか

ああ、こういっちゃ何だがお前は、金融や財務には向いておらんよ次々と新しく起こった状況に対して、俊敏に判断して対応するような感性は、お前には無い

しかしすでに今あるものを、守り、次の世代に伝えていくということには向いているようだな

ジッちゃんはそう言った

お前には、香月家のトップに立つ才覚は無いしかし、上位5人になれる可能性はあるそれが、お前の限界だ

ジッちゃんに、はっきりと言われて香月操は、ショックを受けている

いやお前は、お前のグループをよくまとめ上げているその力は認めているよおそらく20年、30年経っても、お前たちのグループの結束は変わらないそれは香月グループの重要な基盤となるだろう

確かにこいつら、チームワークだけはいいものな

しかし、お前らの結束は内向き過ぎる少しも、外部の人間を受け入れようとしていない今のままのお前たちには、守る側の仕事しか任せられんな

ジッちゃんの眼は、香月操から他のプリンス派に移っていく

香月仁、夏木惇お前たちは、なぜ操を旗頭にしたなぜ、自分が率先してリーダーになろうとはしない

操様の才覚に私たちは懸けたのです

口籠もるだけの香月仁に対して、夏木惇ははっきりと答えた

それは嘘だろうお前たちは、楽がしたかったのだろうリーダーになって重圧にさらされるよりは、ナンバー2、ナンバー3になった方が気が楽だからな

そんなことはございません操様は、私よりも血筋が優れていらっしゃいますので