他の方々も同様です臣下になられた以上は、皆様はあたしたちの身内です皆さんは、常に香月の家名を背負っているとお考え下さいあたしも瑠璃子さんも、もう、あなたたちを見捨てようとは思いませんしかしあなた方が、香月の家名に傷を付ける様なことがあれば、厳しい処分をしなくてはならないのだということはご理解下さい
厳しい処分て、何ですか
香月昴が、尋ねる
死んでいただきます
みすずではなく麗華が言った
えとなる私塾の連中
そのための香月セキュリティ・サービスですから
あ、あんたたちは、オレたちを守るために居るんじゃないのか
香月仁が、麗華に叫ぶ
わたくしたちは香月の家を守ることを最優先にしております香月家の血族、代々の家臣のお子様であろうと、お家のためにならないお方は消えていただきます
麗華は、ニコッと微笑む
そういうことですから仁さん、女性とは分別のあるご交際をなさって下さいね
操さん監督してあげて下さいよろしくお願い致しますよ
みすずは、主として香月操に命じた
操ももう、臣下であることを認めるしかない
判りました私のグループの人間が粗相をしないよう、私が監督致します
もちろん普通の恋愛ならば、ご自由になさって下さいしかし、遊びで女性を弄び、傷付けたり何かしらの不名誉なスキャンダルの火種になられるようなことをなさった場合は判っていらっしゃいますね
その時は、香月家からの追放ぐらいでは許さない
殺すと、みすずは言っている
みすず、ようやく判ったようだな当主は、血族と臣下を決して見捨ててはならない不心得者を家から追い出したところで世間からすれば、そいつは香月の家名を背負ったままだ血族ならば当然代々の家臣の子も、不行跡は主家である香月家の責任となるどうやっても矯正できない者は、自らの意志で抹殺してやるのも主の勤めだ泣いて馬謖を斬るの例え通り私も何人もの血族、臣下を処分してきた
諸君できることならば、みすずや瑠璃子には、そういう辛さは体験させたくない身を律して、家名を守って欲しい
かしこまりました、閣下
ご命令に従います
プリンス派でも、忠誠心の強い大張遼、谷楽進、虎田知徳が真っ先に返答した
家を守るためには、それぐらいの犠牲はやむえないのでしょうな
参謀役の嘉田奉孝も承諾する
判りました仁さんと角田の監視は、私が致しましょう
夏木惇が、そう言った
角田が、げっという顔をする
お前たちが、不良学生たちのパーティに入り浸っていることは知っているぞあれの主催者は、ヤクザと通じている知っているよな
でも、オレたちはただの客ですし
角田は、弁解しようとするが
パーティの資金の一部を、お前たちが提供しているのだろ
夏木惇は言った
それは本当なのか、仁、角田
香月操が二人を責める
いや、それはそのなあ、角田
主催になった方が女のウケがいいって言われて
色々と便宜も計ってもらってますし
しどろもどろになる二人
そうやって取り囲んでいくんだよああいう手合いはな
パーティを隠れ蓑にして、裏では違法薬物の売買や売春などの違法行為を行っていくつもりなのではありませんか
嘉田が、そう予測する
そんなそんな酷いやつらじゃないですよ
だって、もしそんなことになったらオレたちだって、捕まっちゃうわけですし
あ、馬鹿だこいつら
自分は幸運な身の上で、特別な人間だと思っているから
悪い奴らに利用されそうになっていることに気付かない
いずれにせよ、香月家の人間がそんないかがわしいパーティに参加ましてや主催など、決して認められることではない
香月操の発想は、徹底して保守だ
家名に傷をつけそうな行為は、何一つ見過ごせない
でもあの操さん
あのホント、マジでヤバイんすよ
あいつら普通じゃないんですから
何だ、香月仁も角田も相手の危険性は、認識しているんじゃないか
すでにハマッちゃっているんだな
いや、悪い奴らにハメられたというべきか
藤宮くん
ジッちゃんが、言った
はい、お任せ下さい
麗華が答えた
特別事業部の方へ、連絡しておきます
そういう部署があるんだ
お友達が数人、遠いところへ旅立たれることになると思いますがお二人の方から、連絡をなさってはいけませんよ
冷たい眼で、麗華は仁と角田を見た
特別事業部が動く前にターゲットに連絡を取った場合はお二人も内通者として、遠いところへ行っていただくことになりますから
麗華ちゃん、遠いところって
真緒ちゃんが、ニコニコして尋ねる
お花がいっぱい咲いていて、とっても温かい場所ですよ
うわぁ、天国みたいだねっ
ゾッとする仁と角田
そこまでして家を守っているのですね
司馬アキラが、呟いた
当たり前だ長く続いた名家となれば、分家筋も増える家臣も多いとなれば悪い連中と付き合ったり、自ら犯罪組織の構成員となる者も出る徹底した防衛システムを持ってなければ、食い物にされるよ
香月家は日本有数の名家なのだからね白坂家の様な成り上がりではない
そうだ白坂家は
家の中から、白坂創介の様な悪人が出ることを許してしまった
それどころか、白坂創介の悪行が世間にバレた後でも
当主・白坂守次は白坂創介を庇おうとして、テレビ会見を行った
それが上手く行かなければ、今度は犯罪組織に依頼して抹殺しようとしている
永年、名家をまとめあげてきたジッちゃんからすれば全然、防衛体制がなっていないとしか思えないのだろう
香月家は内部の汚点の抹殺ために、香月セキュリティ・サービスの中に専門部署を設けている
外部の裏組織に依頼すれば相手に脅される材料を、自ら与えることになるからだろう
綺麗事では、済まないのだよ家を守るということは君たちが企業を興すとしたら、やはり同じだ企業は家だ君たちは、従業員という家族を背負う
ジッちゃんは、今度は新興グループの連中に話す
君たちの事業が成功すればいや、成功しなくても、少しでも君たちの企業から金をせしめられると思えば悪党どもは近寄ってくるよ彼らは金の匂いに敏感だからね常に注意深く周囲を監視し、いつでも対抗手段を執れるようにしておかないと一気に喰われるぞ
シンとなる新興グループのメンバーたち
今までは企業経営の表側しか教えてこなかったがこれからは、裏も教えてやろう力には、力でしか対抗できない政治家や警察関係者と繋がっている犯罪組織も多いならば、こちらはやつら以上の影響力を政府に対して持っていなくてはならないフェアな闘いなんて無いのだよ私たちは、常にサバイバルしているのだからね