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メグは暗い顔のままだ

さっきだってみすずさんは、わざわざあたしを慰めるようなことを言ってくれてみすずさんには、あんなに余裕があってあたしのことまで、気遣ってくれてあたし、負けてる全然、負けちゃっているんです

そうかしまった

さっき、みすずが落ち込んでいるメグを慰めてくれて

それでメグが泣いていたから

オレは、てっきりあれでメグの気持ちは収まったと思っていたけれど

逆なんだ

メグは心の中で、みすずに強いコンプレックスを感じていて

オレを取り合うライバルみたいに思っていて

そんなライバルであるみすずに優しくされたことが情けなくて泣いたんだ コンプレックスを強化してしまったんだ

負けているのが、嫌なの

寧さんがメグに尋ねる

嫌です

じゃあ、どうするつもり

判らないですあたしはみすずさんみたいな素敵な女性じゃないしみすずさんみたいに、人に優しくできないし勇気も、強さもない

メグは、ブルッと身体を震わせる

メグちゃん君は大きな勘違いをしているよ

みぃちゃんだってメグちゃんが思っているほど、余裕は無いよ

でもみすずさんは強いですあたしより

だったらヨッちゃんは、みぃちゃんにお任せして、メグちゃんは身を引く

ハッと顔を上げるメグ

そんなことはできません

クスッと微笑む、寧さん

だったら必死で食らいついていくしかないよねっ

食らいついていく

あたしもさっ昔は、思ってた愛している人に、必要とされたいってケイちゃんが生きていた頃あたしは、ずっとケイちゃんに縋って、助けて貰っていたから

寧さんが過去を振り返る

でもあたしには、ケイちゃんにしてあげられることなんて何もなくて姉としても、女としても何もできなかった本当にケイちゃんの足手まといでさ

寧さんの殺されてしまった双子の弟さん

寧さんを守るためにシザーリオ・ヴァイオラに犯され続け

最後は、ヴァイオラの妹と相打ちになった

でもさ最近、思うんだよね生きていてくれさえしたら、それだけで良かったって何かしてあげたいとか、必要とされたいとかってさ結局は、自分の欲求でしか無いじゃんそういう思いを全部フッ飛ばしてさあたしのこと、好きでいてくれなくてもいいから、憎んでいたり嫌っていたりしてくれてもいいから生きていて欲しかったなあたし

寧さんは寂しく笑う

ケイちゃんは、クリスチャンだったんだけど話したっけ

寧さんが、オレを見る

はいヴァイオラに監禁されていた時、夜に寧さんとお祈りしたって話を聞きました

寧さんはその時自分の肉体を弟に捧げようとした

だけど、クリスチャンである弟はセックスを拒んで

二人で神にお祈りをして夜を明かした

あたしはさ、どれだけお祈りしても助けてくれない神様を憎んでいたけれどケイちゃんは、神様はいつも、ボクたちに寄り添っていて下さるって言ってたうん寄り添うだけ助けてはくれないんだよ

メグとマナは、真剣に寧さんの話を聞いている

アメリカのキリスト教の教会にはねよく壁にGOD IS LOVE.って書いてあるんだよね日本語にすると神は愛なりってことなんだけれどその言葉が、最近よく頭に浮かぶんだ

神は愛

人間に寄り添っているだけで、助けてはくれない神様が愛なら愛っていうのは、寄り添うだけの行為なんじゃないかってさ相手に必要とされるとか、助けてあげるとかそういうのは、無くてもいいんじゃないかなってただ、側に居る存在している生きていてくれるだけで、充分なんだと思うんだよ

ケイさんは、もういない

寧さん、オレずっと寧さんの側にいますから

オレはケイさんの代わりに、寧さんの弟になると約束した

判ってるってあたしも、ヨッちゃんとずっと一緒だよっ

寧さんは、微笑んでくれる

メグお姉ちゃんは、考えすぎなんだよ気持ちは判るけれど

マナなんてさお兄ちゃんに迷惑掛けっぱなしだよマナこそ、お兄ちゃんのお荷物だよいつ、お兄ちゃんに嫌われて捨てられても文句が言えないもん

マナが、オレに身体を寄せる

頭をオレの胸に当てて

マナが生きていく場所は、もうお兄ちゃんの側しか無いのに

だから、お兄ちゃんの赤ちゃんを産んだらずっと側に居てもいいって、パスポートが貰えるような気がしたんだよ

こいつの心の傷も、根深いな

恵美お姉様も、マナ妹《イモウト》も気にしすぎです

ずっと黙って二人の話を聞いていた美智が口を開いた

恵美お姉様はともかくマナ妹ってのは何だ

ご主人様は、大きな木のようなお方ですわたくしたちは、ただご主人様の木陰に入って、休ませていただければそれだけ良いのです

あたしもそう思うヨッちゃんは、側に居るだけであたしたちを癒やしてくれるからそれだけでいいんだよ

いや、だってオレこそ、何もできていないじゃないですか

実際の話オレは、みんなの役に立っている自信は無い

何でヨッちゃんは、いつもあたしたちの話を真剣に聞いてくれるじゃん一生懸命、一緒に考えてくれるしあたしのこと、好きだって言ってくれたよねっ

あたしもヨッちゃんのこと、大好きだよっそれでヨッちゃんは、メグちゃんや、マナちゃんに、ミッちゃん克っつんや、渚さんや、みぃちゃん、ルリちゃん、麗華さん先生やマルちゃん、シゲお祖父ちゃんに、関さんと美子さんみんな好きでしょ

はい好きです

うんヨッちゃんて、心の中が何もかも顔に出るし嘘吐かない子だもんね本当に好きだと思った人に対しては優しいし嫌いな相手には、徹底的に壁を作るしね

そうだよヨッちゃん、あっちのエリート軍団、嫌いでしょ

それはまあ

嫌いというか苦手というか

あっちの人たちも、ヨッちゃんのことを基本的に拒絶しているけどさヨッちゃんも、ヨッちゃんで心をシャット・アウトしているよホント判りやすいよね

寧さんが、オレに微笑む

というわけだからさヨッちゃんが、あたしたちを拒絶していないのならあたしたちは、ヨッちゃんの側に居ていいんだよヨッちゃんという大樹の木陰で、あたしたちは、のうのうとしていいんだよそんで、もしいつか、ヨッちゃんがあたしたちのことを受け入れきれなくなったらそういうのは、ヨッちゃんの顔を見ていれば絶対に判るからそしたら、あたしたちはヨッちゃんから離れて行けばいいんだよ

メグとマナに寧さんは、言う

でもあたしはあたしは、ヨシくんの役に立ちたいんです

メグは、苦しそうに言った

そんならささっきも言ったよね死に物狂いで食らいついていくしかないだろうね一生懸けてさ