Выбрать главу

いや、日本人だって裏の世界で生きている人なら、香月家と敵対するぐらいのことを平然とやってのけるだろう

今は、工藤父の要請に従って、みんなこのホテルのロビーに集合したということになっているが

戦闘になった途端に、敵に寝返ろうとしているやつらが存在してるってことか

そう言われて見ると画面の中に居る奇抜な格好の連中が、みんな敵に見えてくる

お二人は、父の集めた人間の何割が敵だと想定なさいますか

美智がこの道の先達である、マルゴさんと麗華に尋ねた

この場合は人数は関係無いんだよ

マルゴさんは、苦笑して答える

その通りですね相手の戦闘能力のレベルによりますから

麗華も、そう答える

力の弱い雑魚が何人集まってもA級の戦闘能力を持った一人には敵わない

そして困っちゃうことにへそ曲がりな性格の持ち主に限って、割と強かったりするんだよね

はぁそりゃあ、ヤバイな

見て御覧よロビーにいる連中も、そういう事情には気付いているからほら、みんなお互いの様子を牽制し合っているだろ

マルゴさんの指摘通りロビーの裏社会の面々は、それぞれのチームで固まって他のチームとは、少しずつ距離を取っている

たまに、会話を交わしたりはしているがお互いに疑心暗鬼になっているようだ

いつ襲われても、迎撃できる態勢をそれぞれがキープしている

緊張感があっていいけれどあたしは、あの中に居たくはないね心がキリキリして、耐えられないよ

でもあの

オレの中に、疑問が湧く

こういう状況になったってことは工藤さんは、もちろん判ってやっているんですよね

あの何事に対しても徹底的に準備するオッサンが

こういう事態になることを想定してしないはずがない

それは、そうだよもちろん

ホント工藤さんは思い切りがいいよね

わざわざ、こんなキリキリとした空間を作る理由がオレには、判らない

え、ヨッちゃん、判んないの

寧さんが、驚いた顔をする

あ、寧さんマナも判んないです

マナが、笑って告白する

すると、後ろから

舞夏、あんた馬鹿じゃないの敵も味方も一カ所に集めちゃった方が、管理しやすいからに決まっているじゃない

お前、聞いていたの

つーか、お前いつのまにかオレたちの輪の中に入り込んでいるし

みんな、お互いにギリギリして睨み合っているからさこういう緊張感でいっぱいの状態なら、本当は敵の人だって迂闊な行動は取れないでしょ

雪乃は、オレたちに向かってべらべらと喋り出す

それにみんな、一応香月さんの味方になるって約束で、ここまで来ているんだからさ実際に、何かしらのアクションが起きた時には、寝返るタイミングを逸してしまったら、最後まで味方のままで居てくれるかもしれないしさ

物凄いドヤ顔で、オレたちに解説する雪乃

最初っから香月さんの味方になるつもりで来た人は、心に全く迷いが無いでしょうけれどさ敵に寝返ることを考えている人は、この状況ならギリギリまで迷うと思うわよ日和ってやっぱり、香月さんの側のままでいるって思い直す人も、結構多いんじゃないかしらっ

雪乃の推測は鋭い

それは、認める

雪乃は馬鹿じゃない

これで変な格好に、変なメイクをしていなければ格好良くキマったのに

馬鹿じゃないのに

馬鹿みたいに見える

雪乃自身は、現在の自分の姿のことは、すっかり忘れて喋っているし

ご明察雪乃さんの言う通りだよ

マルゴさんが、笑って答えた

敵になる可能性のある人たちを、ホテルの内側に入れるのは、とっても危険なことだけどねでも、これで寝返る人間をギリギリまで減らすことができるホテルの内側は、香月セキュリティ・サービスが完全に固めているからこの状況で寝返るのは、相当な勇気が要ることだろうし

改めて、画面を見ると

ロビーの周りには、異様な集団の四倍ぐらいの制服組が配置されている

この人数差は寝返り予定者にはプレッシャーになるだろう

それに父には、ネコさんやバンバルビー3の皆さんなど、確実に味方だと判っている人たちがいますその方たちを適所に配置しておけば、とっさの寝返りには確実に対処できますし

美智が自信満々に、そう言った

まあ工藤さんなりに、苦渋の選択をした上での作戦なんだろうあの人たちを外に放置していたら、それこそ同時進行で複数箇所から攻め込まれるだろうしヴァイオラの本隊と連携されたら、困るしね

ロビーに閉じ込めている限り寝返り組は、抑え込むことができるか

あ、また誰か来たみたいだね

ホテルの入り口に、黒塗りの高級車が停まる

オレたちが話をしている間にも

交渉に来る白坂家の反主流派のメンバーと

香月家の重役で私塾の連中の父親たちが次々とホテルに来場する

到着した人たちは工藤父の集めた連中の前を通らないように、別ルートでそのまま上階へ通じるエレベーターに乗せられる

スクリーンの画像は、強制的に大きな会議室に切り替わった

白坂さんの方も、私たちの方も予定通りのメンバーが全員揃っていないが、これ以上は待ってられんそろそろ始めよう

テーブルにどっしりと座ったジッちゃんが重い口を開く

ジッちゃんの脇には、ミナホ姉さん

そして、警護役の関さんが立っている

背後の席には、ずらっと香月グループの重役たち

彼らを取り囲むように香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフと、ジッちゃんの専任警護人の大徳さんと張本さんが立っている

本当に申し訳ございませんわっうちの富久志ちゃんたら、一体どうしちゃったのかしらっ

ジッちゃんたちと向き合った反対側のテーブルで、そんなことを言うオバサンは

白坂家の分家の、白坂信子だろう

その横に地方の白坂家の企業を代表する、白坂博光氏と

白坂家の新聞社の東京本社の副社長である、山田ヒサシ氏が並んでいる

遅刻しているのは、信子の息子の白坂富久志らしい

ふん我々の方も、二人ばかり足りておらんな

ジッちゃんは、背後の重役たちを見てそう言った

麗華お姉さん、来ていない重役は誰と誰

マルゴさんが、麗華に尋ねる

麗華は、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだ

香月グループの重役の名前と顔は、完全に記憶している

司馬沖達氏と香月昇氏ですわ

香月昇ってどの人のお父さん

ジッちゃんの私塾には香月家の分家から、香月操と昴の兄弟、香月仁、香月健思の4人が来ている

つまり、父親である香月姓の重役は3人

香月健思さんのお父様です

麗華は答えた

香月家の当主であり、香月グループの総帥であるジッちゃんが緊急招集をかけたというのに来ないというのは