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え、ちょっと待って下さいとなると新聞社の株を買い漁っていた投資家たちはどうなるんです

嘉田が、みすずに尋ねる

お祖父様は、過半数を抑えればそれ以上の株式は必要ではありません白坂家と競い合って、高い額で買い占められた投資家のみなさんは大変な損をなさるでしょうね

みすずは、笑った

しかし汚いやり方ですね銀行に仲介させるなんて、フェアではありません

理想主義の司馬アキラが、そう言った

そう思われるのなら、アキラさんはビジネスの世界に進まれるべきではありませんね

みすずは、きっぱりとそう言う

銀行を仲介させたらいけないなんてルールは、どこにもありませんよ

しかし、こんな不毛な殺し合いは

あのさ

香月さんがやっているのは殺し合いじゃないんだよこれは何としてでも生き残るための頭脳ゲームだけれど別に、相手を殺そうとしてやっていることじゃないんだ

どういうことです僕には理解できません

司馬アキラは、キッとした眼でオレを睨む

それはお祖父様が、この後、どう行動なさるかを見れば判りますわ

オレたちは、再び映像の中のジッちゃんたちに注目した

さていくら悩んだところで、君たちの方では結論が出まい私は忙しいんだ、さっさと帰ってくれないか

ジッちゃんに、お前たちに協力がなくとも、私は独力で白坂家の新聞社を乗っ取ることができると断言された3人は小さくなっていた

香月様あの、私は

白坂博光が口を開く

私は地方の会社の代表ですこのまま、帰るわけにはいきませんこのままでは白坂家のスキャンダルに巻き込まれて、全ての関連会社がダメージを負います

わ、わたくしもですわ

白坂信子も

わたくしが香月様にお会いしたことはもう、当主の守次氏には伝わっていると思いますこのままでは、わたくしと富久志は、白坂家から追放されてしまいます富久志は、新聞社も退職させられてしまうかもしれません

私もですこのまま帰社すれば、私の席は無くなるでしょう私も、香月様のお力を信じて新聞社の従業員たちを代表して、こちらへ参上したのですから

山田副社長も、ぐったりとしていた

全員ジッちゃんの助けがなければ、当主・白坂守次の勢力に潰される

どうか、お助け下さい

申し訳ございませんでした

3人は、ジッちゃんに頭を下げる

どうして、最初からそういう殊勝な態度が取れなかったのだね

ジッちゃんは、迷惑そうな顔でそう答えた

本当にそうだよなあいつら、何でもっと閣下にペコペコしなかったんだろ

香月仁が、そう言う

そんなの香月さんが、どうしても白坂家の新聞社を欲しがっていると思ってたからさ

そして自分たちの協力を、香月さんが強く望んでいると思い込んでいたからあんな強気の態度で来たんだ

はそういうことかバカな連中だ

角田が、にやけてそう言った

そうじゃないよ香月さんは、あの3人がそういう態度になるようにわざと仕向けたんだ

え、何でだよっ

角田はオレを睨む

角田さんあたしの旦那様に失礼な態度を取ることは許しませんよ

みすずが、角田を牽制する

旦那様角田さんに教えて差し上げて下さい

みすずが笑顔で、オレを促す

最初に少し無礼な態度を取ってしまったという気持ちがあるから今、あの3人は、あんなに神妙なんだよ

画面の中の3人は、みんな青い顔でジッちゃんに平伏している

今なら、あの人たち香月さんの提案は、何でも受け入れるだろうね

交渉を有利にするために、わざと相手がつけ上がるような隙を見せたということですか

司馬アキラが、驚いてオレに尋ねる

そんなの当たり前だろ

黒い森では、いつもそういう交渉術が使われている

さて映像画面に集中しよう

ジッちゃんは、3人に言った

もう一度君たちの気持ちを確認したいのだが

ジッちゃんは、ニヤリと笑う

白坂博光くん君はつまり、もっと地方の関連会社に独自の決裁権が増えればそれでいいのだろう東京本社からの支配が弱まればいい別に、企業グループからの完全独立までは狙っていないのだろ

は、はあええ、おっしゃる通りです報道各社のネットワークは、このまま維持されるべきだと思います東京本社からのゴリ押しさえ減れば

白坂博光は、答えた

次に白坂信子くん君は息子さんが、白坂家の次の当主になれればそれでいいんだな白坂家の新聞社やテレビ局の支配までは、望んでいないのだろう例えば、名誉職グループ全体の名誉会長とかに奉られるのでも構わんのだろう

は、はい富久志が当主になれるのでしたら正直、わたくしにも富久志にも、企業経営のことなどは判りませんし実権がなくとも、名誉だけいただけるのならわたくしどもは、それで構いません

白坂信子は、卑屈な笑みを浮かべてそう答えた

最後に、山田くん君は結局、新聞本社内から白坂守次氏の影響ひいては白坂家の役員がいなくなってくれればそれで良いんだな地方の会社の独立は、時代の趨勢だいつまでも東京が頭ごなしに地方を管理する時代でもあるまい諦めたまえ

山田副社長が、頭を下げる

では、そういうことにしよういずれにせよ、白坂守次氏は失脚させる次の白坂家の当主は、白坂富久志氏だが今後は、白坂家の当主が新聞社の代表に就くことはない名誉会長として実権は、放棄して貰う東京本社の運営は、白坂家を除いた現役員で行って貰う地方の関連会社には、自由な采配を許すただし、グループからの独立・離脱は許さないそれでいいな

克子くん、今言ったことを書類にまとめてくれ

画面には見えないが克子姉は、パソコンで文章を作っているらしい

では、この条件で君たちは、白坂守次氏失脚のために動いてくれもちろん、私も最大の努力を惜しまない君たちに協力しよう

フフフと笑う、ジッちゃん

なあに、君たちの新聞社はいずれ私のものになる先行投資だと思えば、大したことはない

みすずが司馬アキラに振り向く

いかがです、アキラさんお祖父様は、お三方の希望をお聞きになられてそれぞれが妥協できる所は妥協させて、一番良い形にまとめてしまわれましたこれが、香月重孝の調整です自分の意見を押し通すために、相手を殺すのではなく活かして共存する道を模索する

脅しも威圧も、そのための技術ということですか

結果的に全員が幸せになれれば、それでいいではありませんか