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一時の個人的な感情を満足させるためだけに行動するのは、愚人のすることです人に好かれることは良いことですが相手に過度の期待を持たせるべきではありませんむしろ、人に恐れられていた方が、調整者としては有効な行動ができます

だから、ジッちゃんはわざと人を脅し、威圧する

そして、無理矢理自分の言うことをきかせるように見せて

実際は、相手にとって最良の解決策を提示している

本当は、ジッちゃんにとっては損なことも多いのだろう

しかし、人に憎まれ、嫌われることも厭わずにジッちゃんは調整する

古来調整は、高貴な人間の勤めです香月家は何百年にも渡って、日本の調整者として働いてきました私たちが持っている、財産も権力も全ては調整のためです世の中には、国や法では調整できない問題も多いのですから

それが香月家が、日本有数の名家として続いてきた理由なのか

書類です

あっという間に、克子姉は書類を作成しプリントアウトして持って来る

ありがとうでは、この覚え書きにサインをしてくれたまえ

ジッちゃんはまず、自分がサインをする

克子姉が、その紙を白坂博光に手渡し

順番に、サインしていく3人

その覚え書きは、私の方で管理する本来なら、君たちにも同じ書類にサインをして渡して、互いに持ち合うべきなんだろうがな状況が状況だ機密文書は、1枚限りにしておこう

ジッちゃんは3人の側に証拠書類が渡らないようにする

逆に3人の中の誰かが裏切ったら、ジッちゃんはこの書類を有効に活用するだろう

サインの終わった書類は、克子姉によって回収され

再び、ジッちゃんの元へ

ジッちゃんは、3人のサインを確認して

これで君たちは、後戻りできなくなったな

ニヤリと微笑むジッちゃん

私たちは運命共同体だこれからの行動は、全て私から指示するいいね

ジッちゃんの貫禄に3人は、うんうんと頷くだけだ

ところで君たち知っているかな

ジッちゃんが、次の切り札を切る

白坂守次氏は裏切り者である君たちに対し、すでに刺客を雇っている

し、しかく

白坂信子には意味が判らないらしい

殺し屋を雇ったんだよ白坂守次氏は

ハッとする3人

ジッちゃんは、後ろにずらっと控えている自分の臣下たちに振り向いた

お前たちにも、聞きたいのだが

ジッちゃんの眼がギラッと光る

シザーリオ・ヴァイオラという名前に心当たりのある者はいないかね

臣下たちは誰も反応しない

うむそうか知らないのなら良い

再び、白坂家の反主流派の3人に、ジッちゃんは顔を向ける

アメリカの犯罪組織の人間だ白坂守次は、こいつらを雇って君たちを亡き者にしようと企んでいるらしい

ま、まさかそんな

驚く、山田副社長

いや、そのまさかなのだよ

ジッちゃんは、笑う

このホテルはすでに、私の私設警護部隊によって厳戒態勢を取らせている君たちは、今夜、このホテルで私に会うことを誰かに喋ったかね

はい、秘書とそれから、同志である地方の会社の代表には、話してあります

白坂博光は答えた

私も家内とそれから、直属の部下には相談しました後、顧問弁護士にも

山田副社長も、そう言った

では君たちの行動は、すでに殺し屋たちに筒抜けになっていると考えるべきだね

ジッちゃんは、そう答えた

白坂信子くん君は、どうなのだね

白坂信子は

わ、わたくしも個人秘書と、母と、姉とそれから、うちのお手伝いさんとえっと、それから

喋りすぎだろおい

それから富久志ちゃんにも

ハッとする、白坂信子

そうだわ富久志ちゃん、どうしちゃったのかしら

今夜このホテルに来るはずだった、白坂富久志はまだ到着していない

ここに来る途中に、何らかのアクシデントに巻き込まれているのではありませんか

山田副社長が、白坂信子に言う

いえ、そんなことはうちはうちで、ちゃんと富久志ちゃんに警護を付けていますから何かあったら連絡があるはずです今、ちょっと電話してみますわね

携帯電話を取り出す信子

と、ジッちゃんの机の上のインターフォンがビーと鳴る

ジッちゃんは、スイッチを押し

私だ

インターフォンから、声が聞こえてくる

1階警備の山岡です白坂富久志氏の車が到着致しました

まあ、富久志ちゃん無事に着いたのね

克子くん

ジッちゃんの指示で克子姉が、スクリーンに1階正面玄関の映像を出す

黒塗りの大きな車に挟まれてオレンジ色のスポーツカーが停まっていた

前後の黒塗りの車には、警護員が乗っているんだろう

何だよ、TVRタスカンかよ

香月仁が呟いた

へえ、あの車そんな名前なのか

新聞記者が乗る車じゃねえよな

確かに芸能人とか、IT企業の社長とか、焼き肉チェーン店のオーナーに似合いそうな派手な車だった

これってやっぱり親に買って貰ったんだろうか

あ、間違いありません富久志ちゃんの車です

白坂信子が、オレンジの車を見てそう断言した

すぐにそちらにお連れ致します

インターフォンから、山岡部長の声が流れた

ホテルマンの衣装を着た、香月セキュリティ・サービスの警備員が3台の車に向かう

待て、山岡警備員を下がらせろ

ジッちゃんが、そう叫んだ瞬間

オレンジの車の窓が開き

中からマシンガンの銃身が飛び出すッッ

ズダダダダダダダダダッ

ホテルの入り口に向かって、オレンジの車の中からマシンガンが連射される

香月セキュリティ・サービスの警備員たちは、身を伏せる

待避だぁ、待避ッッ

山岡部長の怒号が響く

前後の黒塗りの車から完全武装の兵士が、わらわらと降りて来た

ビジネス小説は、書いてて辛いのでそろそろアクション物に

理屈で攻めないといけないので

アクションやエッチだと、流れで書けるんですけれど

ああ、そろそろエッチな場面も書きたいんですねえ

なのに、襲撃が始まってしまいました

さあ、どうしよう

それでは仕事へ行きます

276.開戦

黒マスクに黒い戦闘服の一団が、ピストルを片手に車から降りてくる

オレンジのスポーツカーの窓からは、ホテルに向かってマシンガンの銃撃が続く

大丈夫ですわこのホテルの1階は全て防弾ガラスを使用していますから

中継されている映像を見ながら麗華が、笑って言った

このホテルは、香月グループが各国の要人との会合に使うために建設したものですテロ対策は、設計時から徹底的に行われています

でも、入り口のドア開きっぱなしですよ

確かに、ホテルの内部に通じる2重のガラスの自動ドアが開いたままになっている