カウンター攻撃ですね
そうだロミオ・モンタギューでも、ジュリアーノ・ジェンカでも、どちらでもいいここで始末しておけば夜の闘いが楽になる
もっともこれは、一つの想定でしか無い
工藤父は、さらっと言った
シザーリオ・ヴァイオラは、オレたちが考えている以上にバカかもしれないこの段階で全勢力でバンザイ・アタックを仕掛けてくるような男だったら目も当てられないそれに
もしヴァイオラが、アメリカから連れて来た部下が他にもいたらどうする
そうかその可能性もある
オレらは、ヴァイオラの部下の来日を5人確認しているけれど
もし、他の便ですでに来日しているメンバーが居たら
この想定は、根本から覆されることになる
だから別働隊が攻撃してくるっていう可能性も、やっぱり考慮しておかなきゃならねぇんだよ
1パーセントでも可能性が残っているのなら、対応策は考えておかないと
ゲームじゃねぇんだミスったら、誰かが死ぬ自分が死ぬのは諦めが付くが自分の判断の甘さで、誰かが命を落とすってのは気分が悪いだろ少年
工藤父が、オレに言った
ロミオ・モンタギュークラスの熟練犯罪者が、もう5人も居たらこっちは対応し切れないぞ香月さんが、昨日の今日でホテル決戦を決めたのも、やつらにこれ以上の増員をさせないためだしな
決戦までの期日を延ばせばヴァイオラは、確実に香月さんを殺せるだけの戦力をアメリカから日本に呼ぶだろう
そうなる前に今夜という日付で設定したんだ
さすがに、アメリカは遠いからな
でも、お父様ロサンゼルスでしたら、十二時間でこちらに辿り着けます
ミッチィが言った
香月閣下がホテル決戦を明言したのは昨夜の深夜だ
今日の夜までは十二時間以上ある
ロサンゼルスから、増援部隊を呼ぶことは物理的には不可能では無い
バカ言え、時差ってもんがあるだろこっちへ送る部隊を編成するんだって、あっちが夜中じゃ何もできねぇよ犯罪者ってのは、軍隊じゃないんだ希望の人数を言えば、すぐにパッケージされて送られて来るってわけにはいかないさその上能力があって使えるやつほど、プライドも高いからな今すぐ荷物をまとめて日本へ行けっ命令したって、そういう奴らがその日のうちに飛行機に飛び乗るわけが無い
うん早くても一晩寝て、翌朝の出発だな
というのもあくまでも、こっちの勝手な想定だ
工藤父は、あっさりと前言を翻す
もしかしたら、すでにヴァイオラの手下が200人くらい成田に向かって飛び立っているかもしれないそういう可能性も、一応は考えておかないといけない
決めつけてはダメってことか
どんなことでも全部、考えておくんだそうじゃないと強気の時は自分たちに有利な想定しかしねぇし、弱気の時にはついつい不利な想定ばかり考え込んじまう人間てのは、そういう生き物だからな
工藤父は、ニヤッと笑った
だからとりあえず、あの不良外国人たちはオレとミッチィくんで対処するいいな
敵は、銃器を持っていることを想定して闘え工藤流レベル3のGだ
オレはどうしたらいいでしょうか
工藤父が、オレを見た
このタイタンボーイは、完全防弾仕様だこの中で待っていろ
トニーとノーマは、先に食事にしてくれオレの分ちゃんと残しておくんだぞ
トニーさんが、そう言ってオレたちの持って来た昼食を拡げる
さ、ノーマさん食べよう
あら、お素麺ちゃんと氷で冷やしてあるのねっ
ボス氷が溶けないうちに、帰って来て下さいよ
と道の向こうから、明らかに怪しい車が三台、こっちに向かって爆走してくる
行くぞ、ミッチィくん
二人がタイタンボーイの外へ飛び出していく
ちょっちょっと待てよ
トニーくん、ポチッとな
アラホラサッサー
トニーさんが、何かのスイッチを入れた
ズババババーンッ
暴走してくる車の前の地面が、轟音と共に吹っ飛ぶ
三台の車が、急停止した
先手必勝ナリィィィッ
工藤父が手にした鉄パイプで、戦闘の車のフロントガラスを砕く
中に乗っていた不良外人たちが、何やらわけの判らない言語で喚きながら下りてくる
青竜刀を持った男が、威嚇しようと刀を振り上げた瞬間工藤父の鉄パイプの餌食になる
ふはははっ必殺・砂塵風車ぁぁッッ
工藤父は、鉄パイプをブンブン振り回しながら、敵をブッ飛ばしていく
うちのボスは特別な武器は使わないんですよ
素麺を食べながらトニーさんが言った
工藤探偵事務所の看板も背負ってますしいつも派手な格好しているでしょ毎日の様に、警察に職務質問されるわけです車の中の物も、チェックされたりね
だから、あんな風にどこにでもある物で闘うことにしているみたいですよ
ノーマさんも、ちゅるちゅると素麺を食べながらそう言った
もっともあれも外見が普通の鉄パイプみたいなだけで、材質の強度も軽さも戦闘用に厳選したもんなんですよね
一見ふざけているようで、根が真面目なのが工藤父という人間らしい
でも、鉄パイプの穴を工夫して振り回すとビュンビュン音が鳴るようにしてあるんでしょ
そうそう、いい感じで音が鳴るように色々工夫したらしいよ
変なことには人一倍こだわるのよね
あの鉄パイプも名前があるんだよな
確かダグラス・キューとかって呼んでたと思う
工藤父が、連続技で二人の敵をブッ飛ばす
秘技、ダブルヘッド・スネーク
二人の部下は、素麺をすすりながらボスを見つめて
ああいう名前は、どこから思い付くんだろうねぇ
一方、娘のミッチィの方は
レッド・ビュート
ミッチィは、マルゴさんから貰った赤いムチを使う
すっかり、慣れたらしい
敵の接近を許さず叩きのめしていく
しっかし工藤流ってのは
うん、いつ見てもデパートの屋上のヒーロー・ショーっぽいよね
トニーさんノーマさん
あなたたちが、それを言うんだ
あれなら遠目に見ると遊んでるようにしか見えないからね
そういう意味では、あんなんで正解なんだろうけれど
でもちょっとバカっぽくない
まあねボスの上のお嬢さんが工藤流を受け入れられないのはよく判るよ
下のお嬢さんは楽しそうだけど
美智さんはお父さん子だからね
ミッチィの赤いムチが踊る様に敵を蹴散らしていく
ハイハイハイハイッイヤアハッ
技が決まった後に、スッとポーズを決めるあたりが実に工藤流らしい
ホント見た目は可愛らしいのにね
戦闘民族だよな