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この子工藤遙花の本質に気付いているんだ

わたくしとみすずさんは決して対立する様な立場に居るわけではないのに遙花さんの頭の中では、ライバルだということになっているみたいなんです

やっぱり工藤遙花の独断専行だったんだ

わたくしが、もっとしっかりしていれば事前にあの人の行動を止めることもできるのでしょうけれどごめんなさいみすずさんに、またご迷惑をお掛けしたのでしょう

瑠璃子さんは、心からみすずを心配している様に見えた

悪い子では無いのだと思う

それこそ、気にしないで従姉妹でしょあたしたちそれに、あたしのことはみんなが助けてくれましたから

みすずが、オレたちを瑠璃子さんに紹介する

そちらから、マルゴさん寧さん恵美さんマナさん

一人一人、瑠璃子さんに一礼する

瑠璃子さんも、一人一人に頭を下げてくれた

雪乃のところで、みすずの言葉が止まる

黃縞黒子さんです

みすずの代わりに、美智が答えた

そうそう、黒子さん

まあ、黄色に黒だなんて、とても素敵なお名前ですね

雪乃は何とも言えない、やるせなさそうな顔をしていたが

それでも、瑠璃子さんに一礼する

瑠璃子さんは、香月閣下の長男の一人娘

名家のお嬢様中のお嬢様であるということは、知っているのだろう

つーか、瑠璃子さんてこうやって近くで話を聞いてみると

超箱入り娘なんだな、きっと

おっとり、ふんわかしていて

全然、邪心が無い

無邪気な笑顔で、雪乃に微笑んでいる

そして

みすずの眼が、オレを見る

黒森公之助です

オレは、そう自己紹介した

瑠璃子さんだけなら、本名を名乗ってもいいけれど

お付きの美子さんが居る

この場では、黒森を名乗っていた方が良いと思った

みすずが、女の子たちの苗字を言わなかったことも気になるし

みなさま、みすずさんのお友達なんですね

瑠璃子さんが、そう言った

身内です

みすずは、一言、そう答える

お身内

はい身内です

みすずは、それ以上は語らずに、パンフレットを拡げる

では作業を致しましょうか

テーブルに並んで座ってみんなで、パンフレットを折る作業を開始する

この人数でやれば、すぐに終わりますわね

美子さんが、おっとりと言った

ちょっと、マルちゃん曲がってるよちゃんと角を合わせて折って

あ、ごめんごめん

こういうのが苦手なところだけは、アメリカ人なんだからっ

寧さんとマルゴさんが、じゃれ合っている

ちょっとちょっと黒子さん、もっとしっかりやって

ホント、ブッ器用なんだからっ

また、マナが実姉を叱責している

物凄いスピードで、作業を続けているしかも、正確で丁寧だ

あ何ヨシくん

なんか、凄い手際がいいんだけれど

ほらっ、あたし昔っから、学級委員長になることが多かったら、こういうの慣れているのそれに集中すると、没頭しちゃうタイプだから

そう言えば、さっきから無言で誰とも会話せずに、黙々とパンフレットを折り続けている

何かこんな単純作業だと、それぞれの人の性格が出て来るんだな

みすずも、メグと同じで作業が早い

でも、作業しながら瑠璃子さんたちに話し掛ける余裕がある

この辺が、性格の違いなんだろう

瑠璃子さんはものすごく丁寧だけれど、ものすごく遅い

他の人が5枚仕上げる時間で1枚、どうにか完成するというスピードだ

ほらほら、瑠璃子様こことここの角を合わせると、スムーズにできますよ

そういう美子さんもものすごく遅いはてしなく丁寧だけど

作業を続けながら、瑠璃子さんが口を開いた

撫子先生が、この数日のみすずさんのご上達を大変褒めていらっしゃいましたわ

あたし上達なんてしていませんよ

みすずが、そう言うが

いいえわたくしが見ていても、みすず様は格段に上達なさっていますわ

美子さんが、そう言う

そうですともそれで、撫子先生がおっしゃっていたのですけれど

みすずさんは恋をなさっているのではないかと

瑠璃子さんの言葉にみすずは、頬を赤らめる

それはたまたま、今日、あたしが踊る踊りが、恋の踊りということで

撫子先生のお話ですと先週までは、みすずさんの踊りは恋に恋する、幼い少女にしか見えなかったのだそうですそれが今では恋に苦しむ、大人の女をしっかりと表現できていると

恋に苦しむ

みすず苦しんでいるのか

それで、わたくし

瑠璃子さんが、チラッとオレを見た

この間、みすずさんがお稽古場に入られる時に、黒森さんと手を繋いでいらっしゃるのを拝見していましたから

紺碧流の稽古場ビルの2階の窓から

瑠璃子さんと工藤遙花がオレとみすずを見下ろしていた

ええ瑠璃子さん

みすずは従妹に隠し事をする気は無いようだった

あたしはこの方を愛しています

ギュッと、オレの手を握りしめる

黙々と作業していたメグの手が止まった

雪乃があんという顔で、こっちを見る

マルゴさんと寧さんは、にっこりと微笑んでいた

マナがスッとメグの肩に触れる

この方の子供を産みたいと思っています

まあやっぱり、そうなんですね

瑠璃子さんは、眼を輝かせてオレたちを見ている

しかしみすず様ご婚約者の方は、どうなさるんですか

美子さんがみすずに尋ねる

そうですわねみすずさんにも、わたくしと同じでお祖父様のお決めになった婚約者がいらっしゃるのでしたね

瑠璃子さんの顔が、暗くなる

お祖父様には、今日、会の後にお話し致しますそれでこの方とのお付き合いをお許しいただきます

みすずは、はっきりとそう言った

まあ、何て素晴らしいわたくしも、応援致しますわみすずさん

15歳の従姉妹は、すっかり感激していた

ところでみすず様のご婚約者は、どなただったんです

美子さんがそんなことを尋ねる

それは今は、言えません

みすずは、そう答えてそれから、オレたちの方を見た

作業を続けながらみなさん、あたしの話を聞いて下さい

あたしと瑠璃子さんは香月重孝の孫です他には、孫はいません現在の香月家は、お祖父様が全てを掌握していますから香月家の跡継ぎは、あたしか瑠璃子さんということになりますですからあたしたちと、結婚して香月の財産を狙っている人間はたくさんいます

みすずか瑠璃子さんと結婚すれば莫大な富と権力を継承することができる

もちろん、香月家の傍系には男子も居ますし香月家と親しい名家の方々政治家や外国の方までご親族をあたしたちに婿入りさせたいとのお申し入れが、数多くあったそうですあたしと瑠璃子さんの産まれたその時から