雪乃がジロッとオレを睨む
いや何か、久しぶりに雪乃らしい雪乃に出遭った様な気がしたから
雪乃はお笑い芸人みたいな黄色と黒の縞々ドレスを脱いで、セーラー服に着替えていた
どこの学校の制服なのかは判らないけれど白地に濃紺の普通のセーラー服だ
髪型も普段通りだし、変なメイクも落としている
うん雪乃は、やっぱり美人なんだな
オレは、正直に感想を述べる
な、何よあんた、あたしをバカにしているわけっ
涙を流しながら雪乃がオレに怒りをぶつける
ああいつもの雪乃との会話だ
オレと雪乃の間には深くてでっかい溝がある
オレたちは、絶対に判り合えないし恋人にも、友人にもなれない
どれだけセックスを重ねても心と心は平行線のままだろう
この距離感が遠い距離から眺めているしかない心の隔たりが
とても、愛おしく感じる
ほーら、あなたたちがゴリ押しで彼をイジメている間に彼の方は、雪乃さんと一緒に居る方が気が楽になっちゃったみたいね
ミナホ姉さんの言葉に画面の中の全裸の3人は、ブルルッと震え上がる
判る今のまんまのあなたたちじゃ彼の負担が増えるだけなのよあなたたちと居ると、彼はずっとあなたたちを気遣うばかりで、心が安まらないんだもの
いや、別にいいんだよ、ミナホ姉さんオレは、みんなに頼りにされるのが嬉しいし、みんなのためになりたいんだから
オレは、そう言うが
でも、今のままではあなたの心と身体が参ってしまうわよこの子たちは、身勝手で我が儘だからよく、こんな子ばかり3人も相手にしているわね
画面の中の3人は小さく震えている
あなたたちの処遇は、彼と話し合って決めますあなたたちも、そちらの部屋で3人で話し合いなさい
そう言ってミナホ姉さんは、音声回線のスイッチを切った
あちらの部屋の画面には審議中の文字が浮かぶ
こちらから、向こうの部屋はモニターできるが
あちらからは、こちらの部屋の様子は見られないらしい
あみすずが中心になって、3人で相談を始めている
あっちの部屋にはマルゴがいるし3人での話し合いが、変にシリアスな方向へ行ったら修正してくれると思うわ
画面を見ながらミナホ姉さんが、言った
先生あたしも、あっちに行こうか
寧さんが、そう言うと
ダメよ寧や、渚や克子だとあの子たちは甘えてしまうからマルゴなら、優しさと厳しさと両方兼ね備えて、あの子たちと接することができるし
うんマルゴさんは、家族だけどオレの女じゃないから
あの3人とは、一線を画して対応することができる
寧さんや渚や克子姉だと妹に優しすぎるんだよな
それにしても美智さんは、成長したわね
ミナホ姉さんは、画面の奥の美智を見ている
美智はマルゴさんと素知らぬ顔で、上階へ行く打ち合わせを続けている
前の美智さんだったらみすずさんに付き合って、一緒に全裸土下座の輪に加わっていたでしょう
美智にとって、みすずは絶対的な主人だし
でも、今回のこれは自分が関わらない方が良いってことを理解して、後ろに引いてくれているわ
そうだこの全裸土下座に美智が加わるとややこしくなる
メグはみすずにコンプレックスを感じていたし
みすずは、自分が年少組のボスになろうとしていた
マナは、何かある度にオレに擦り寄り続けていたし
ここに、みすずの臣下である美智が加わると3人のバランスが崩れる
3人が正直に話し合いをするためには美智はいない方がいい
あなたとの処女喪失での同調で自信がついたみたいねあなたとの間に、はっきりと絆を感じているんだと思うわ
あっちの3人より今は、あなたと心が通じているって感じているのねだから、何の心配もしないでいられるのよ
渚もそう言う
まあたしたちが、とっくの昔に通った道だけどねっ
結局さ自分がどう思っているかってことが全部なんだよヨッちゃんの心がどうであろうと、自分は死んでもヨッちゃんを裏切らない自分で自分の心をそう決めたら、それだけでもう何の心配もいらなくなるんだよね
そうよ相手の心は、自分ではどうすることもできないものあの子たちは、あなたの心を自分の思い通りにしたいって思うからおかしな方向に行っちゃってるのよあなたの心はあなたのもので尊重しなければいけない大切にしてあげなきゃならないってことが判ればそれだけで楽になれるのにね
あたしや渚は娼婦だったから自分の心を抑え込んで、好きじゃない人の相手をすることも多かったし何よりもまず、自分の心を決めることが大切だってことが、よく判っているのよ相手の心に、変な工作活動をする前にね
そうね、克子
あたしは、あなたが好きあなたが、あたし以外の女の子とどれだけセックスしてもあたしは平気よあなたにいつ捨てられても構わないだって、あたしがあなたのことを好きなんだからあたしは何でも受け入れるしあなたが、幸せになるためだったら何でもするわ
あたしもそうよ渚と同じ
あたしだってそうだよっヨッちゃんは、あたしの弟だもんっヨッちゃんが幸せになってくれればそれでいいんだよっ
寧さんはシザーリオ・ヴァイオラによって、何年も監禁されていた
克子姉、渚、寧さんみんな自由を奪われ、悲惨な状況に耐えた時期がある
だから自分の欲求を抑えて、相手の幸福を第一に考える強さがある
ヨッちゃんだってあたしたちと同じでしょだから、いつも自分の心を抑えて、みぃちゃんや、メグちゃんや、マナちゃんの要求に応えてきたんでしょ
オレは単に、あの子たちに嫌われたくなかっただけです見捨てられるのが怖かっただけです
ミナホ姉さんがオレの手を握りしめて、言った
いいえそれだけじゃないわ判っているわよ、あたしたちは
そして画面の中の3人に視線を戻す
3人は真剣な顔で何かを話している
時々、マルゴさんが助言しているようだ
でも、あの子たちもそろそろ自立しないとね
自立
このままちょっとした心の不安まで、あなたに縋って解決する様になっちゃうと成長できない人間になっちゃうから
成長できない人間
雪乃さんみたいにね
ミナホ姉さんの言葉に、雪乃がギロッと強い眼でこっちを見る
そんな眼で見たってダメよホントどうしようも無いのね、あなた
本当ならあなたが一番の被害者なのよお父さんへの復讐に巻き込まれてレイプされて、誘拐されて、妊娠までさせられるんだからあなたは全然悪くないのに
そうよ、あたしは何も悪くないわよっなのにっ
また雪乃の眼に涙が溜まる
ほら、また泣く本当に雪乃さんて、よく泣くし、よく喚くわよねだから、あなたに同情する人が1人もいないのよ判る