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戦闘班のリーダーであるマルゴさんが、オレに尋ねた

でもこの部屋に一人、警護役を残した方がいいんですよね

それはまあ、そうなんだけれどでも、麗華お姉さんは、切り込み隊長のタイプだからね本当のところ、守備向きの人ではないよね

確かにこの部屋に麗華を残して置いても、宝の持ち腐れかもしれない

麗華お姉さんの敵に対する打撃力は、魅力的だしね

だけどそうなると、誰をここに残す

リーダーであるマルゴさんは、外せない

通信機でここから指令を出して貰うっていう手もあるけれど

やっぱり、実際に現場に居て貰って、直接指揮して貰う方が良いに決まっている

ジッちゃんを連れて行かない以上重役たちや香月セキュリティ・サービスと渡り合うには、ジッちゃんの専任警護人である関さんの存在が必要だ

ということは美智を置いていくしか無いのか

麗華お姉様、わたくしを見て下さい

不意に美智が麗華に声を掛ける

麗華が美智を見た瞬間

美智は、招き猫の手をして空中をツイッと引き寄せるッ

麗華の身体が一歩前にズリッと釣り出される

まるで、美智に見えない糸で引っ張られたかのように

な、何なのこれ

工藤流古武術奥義心月の応用です眼の合った相手の心を捕らえて、身体のバランスを崩すことができますもっとも、いまはまだ、一歩前に踏み出させるか、逆に動きを止めるかぐらいしかできませんし、達人レベルの武道家には効かないかもしれません

美智は落ち着いて説明していく

しかし、この技上階での闘いでは、きっと役に立つものになると思います

美智は本当に変わったな

小さな身体に自信が満ちあふれている

前は戦闘力はあったけれど、心の弱い子だった

今は違う強い子になった

ヴァイオラの中核部隊と出遭った時は美智さんのその技があると助かるかもしれないね

マルゴさんは、オレを見る

美智まで連れて行くとなるとこの部屋には、警護役が残せなくなる

構いませんわ、旦那様美智も連れて行って下さい

旦那様のご無事が一番です

そうだよ、お兄ちゃんあたしたちは、ここでジッとしているから

そうね、美智さんが居てくれた方がヨシくんは安全でしょうし

オレの女たちは、そう言ってくれるけれど

でも、警護役が誰もいないっていうのは心配だろ瑠璃子

お兄様お祖父様にお尋ねしてみたらいかがですか

ジッちゃんに

この緊急避難室はわたくしたちが思っている以上に、安全が保たれているのだと思いますそうでなければお祖父様が、谷沢さんや大徳さんたちの居ない場所にいらっしゃるはずがありません

ジッちゃんにとっては

香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフや、専任警護人の大徳さん張本さんの居ない場所は自分を防御する人員が居ないってことなんだ

関さんや麗華のことは、谷沢チーフたちほどは信頼していないみたいだし

ここが安全な場所だっていう認識が無ければジッちゃんは、ここには居ない

ジッちゃんこの部屋は、本当に安全なのかい警護役を全員、上に連れて行ってしまってもこの部屋に残ったみんなは平気だと思う

ジッちゃんは、苦笑して

大丈夫だ敵は絶体にこの部屋を見つけることはできんだろうしこの部屋に入ることもできん朝までなら、ここに居れば安全だやつらには手出しはできんよ

朝まで

朝になれば、政府機関が動き出すシザーリオ・ヴァイオラの手勢が好き勝手に動き回れるのは夜明けまでだ

何だかよく判らないけれど

ジッちゃんは、オレの知らない計画を幾つも同時進行で進めているらしい

じゃあみんなは、警護役抜きでここに居ても平気なんだね

それはお前たちが、自己責任で判断することだよ

ジッちゃんは、オレに微笑む

ここから外に出る脱出ルートは、表からは絶対に開かないんだよね

前に説明したとおりだ内側からしか外には出られないようになっているまた外部への出口は、外からは判らないようにカモフラージュしてある

となれば

よし麗華も連れて行くこの部屋には、警護役は残さないそれでいいねミナホ姉さん

ええ構わないわ

克子姉と渚も、うんと頷く

みんな覚悟してくれたらしい

ありがとうございます主様皆様

黄色いジャージの麗華が、みんなに頭を下げた

ついでだから聞くけれどジッちゃん

重役の中に居る裏切り者って誰だか判っているの

幾つか可能性は感じているが断定はできんよただし

ただし

他の重役や私塾の中に居る自分の子供まで巻き込んで敵を招き入れるなんていう真似は、普通の人間にはできんよ

重役というのも、様々なタイプがいる私塾はその縮小モデルだお前は私塾の連中を見て来て、どう思った

私塾の連中は

えっと、派閥があってボスが居て子分になっているやつもいれば、調整役を引き受けようとする人も居て

派閥でも何でも、ボスになる素質のある人間は自分の手は汚さんよ人を使うのが上手いから、ボスになるんだから

そうかそういう人間は、自分が危険を犯して敵を呼び寄せるようなことはしない

安全なところから見ているだけだろう

てことは香月操と香月昴の父親は、白ってことか

そういうことだ重役たちと私塾の子供たちはよく似ている子を見れば、親がどんな人間かよく判るだろうそうやって、誰が裏切り者なのかじっくりと調べていくんだな

短めで済みません

次話から、上階へ行きます

麗華にも、全裸土下座というプランはあったのですがまたの機会にします

それでは病院に寄って、仕事にいきます

297.エレベーターの中

私は、大学は京都に行ったんだがね

ああ京都にある大学へ行ったんだ

もう60年も前のことだ当時の京都は、なかなか自立心に富んだ大学でね戦争から、まだそんなに経ってもいなかったから、学内でことある度に上級生が威張っていてね

懐かしそうな眼で、ジッちゃんは昔話をする

あそこだけは、香月という家名も関係無い私は、ずっと家のしきたりの中で育ってきたからねそういうのも面白がっていたが

家の影響力に関係無く学年だけで上下関係がある大学生活は、ジッちゃんには刺激的だったらしい

一年生の学祭の時だったかな我々、一年生は上級生の指示で講堂の仕込み作業をやらされてねみんな、上級生の奴隷の様にあれをしろ、それを持って来いと使われていたよそして、1人の上級生が私に命じたんだ寮に忘れ物をしたから、大至急取ってこいとね私は、走って講堂の裏口から飛び出したそしたらだ

講堂の裏口で、1人の1年生が作業をサボっていたんだよタバコなんか吸ってね他の一年が作業を命じられている間に、スッと逃げたんだなで、作業終了の時間まで隠れていようと思ったんだろうなかなか、要領の良いやつだった