思いません裏切り者が重役の中にいるなら、谷沢チーフや専任警護人のガードの固さは判っているでしょうしそれに
それになんだい
マルゴさんは、楽しそうに笑っていた
今、すぐにトップが死んだら香月グループの屋台骨が崩れます
みすずや瑠璃子さんを狙ってはきたけれど
今まで、ジッちゃんを直接狙った攻撃は一つも無い
だったら裏切り者の狙いは、何
自分以外の後継者候補を全て殺すこと
そんな考えがオレの中に湧いて来る
ジッちゃん以外の重役たちはジッちゃんほど護られていない
重役たちだけなら殺そうと思えば、殺せる
そして、1人だけ生き残ったら
晴れて、ジッちゃんから香月グループのトップの座を引き継げばいい
正当に地位を受け継ぐためにジッちゃんは要る
つまり裏切り者のターゲットは
自分以外の重役とジッちゃんの血を継ぐ、瑠璃子とみすずと2人の両親それから、私塾の中の香月姓の連中
自分以外に、香月グループのトップに付く可能性のある人間は、この際まとめて全部始末してしまいたいと思っているはずだ
さてそういう大それたことをさ、そこに居る高木さんが1人で考えて、何から何まで行動していると思うっ
寧さんの言葉に、オレはハッとする
違和感の原因が判った
この高木風太の父親にはシザーリオ・ヴァイオラと契約してまで、香月家を乗っ取ろうとするような気概が見えない
とにかく小者っぽい
自分の意志で計画し行動するタイプでなく誰かの命令で動くタイプだ
あのさあたし気付いたことがあるんだけれど、言ってもいい
ああ、何でも言ってくれ何でもウェルカムだ
オレの言葉に、雪乃は
あたし、さっきからずっと少し離れて俯瞰して、この人たちを見ていたんだけどさこの人たちって、基本的には子供たちと同じグループ割りなわけじゃない
そうだ、雪乃は
ドアの近くから、ずっと部屋の中の人間の様子を見つめていた
なのにささっきから、時々、そのオジサンがそっちのオジサンに目配せするんだよね変な、アイコンタクトをしているのよ違うグループのくせに
雪乃が指差した2人の人物
1人は、すでに裏切り者であることが発覚している高木父新興グループに属している
そして、もう1人はプリンス派の角田父だった
角田、お前
ち、違います私が、香月家に弓を引く様なことをするはずがないですよねぇ
角田父は、必死で疑いを誤魔化そうとする
角田さんあなたの携帯を貸して下さい
通信履歴とアドレスを見ます今、高木さんがメールを送信しようとしたミスターという人物と同じものは無いかどうか確認します
ギョッとする角田
あるんだな
同じ送信先が
というかミスターという人物を知っている
ってことは
オレの中で幾つもの線が、繋がる
角田だって人に使われる方の人間だ
全ての支配者になろうとするような強い意志は無い
裏切り者のボスは、別に居る
オレの中で、一つの結論が閃く
ジッちゃん、言ってたっけ組織の上に立とうとする様な人間は、自分で手を汚さないって
オレの顔を関さんが見て、尋ねる
裏切り者のボスはわざわざ、ここに来たりはしないってことですよ何もかも、手下にやらせて、自分は安全な場所にいようとする
すなわち
高木父と角田にこの場を任せて自分は欠席している人物
裏切り者のボスは香月昇です
しかし、白坂創介といい、シザーリオ・ヴァイオラといい、香月昇といい中ボスが、姿を現さない不思議な作品になっています
白坂創介なんて、今はどこにいるのやら
えっといつの間にか300話を越えました
最初の数話は同じ日に投降しているので
300日経ったわけでは無いのですが
ほぼ300日、禁酒しているんですね私
この作品が完結したら、飲んだくれる予定なんですけれど
いつになることやら
最初の予定では、一月ぐらいの連載のつもりだったんですけどねぇ
どうなることやら
いや、とにかく絶対に完結はさせます
302.裏の裏
どうして、香月昇が裏切り者のボスだって思うんだい
オレは重役たちを見廻す
やはり香月家みたいな歴史と伝統のある名家を乗っ取ろうとするのは、それなりに覚悟のある人間じゃないと無理だと思うんです
誰かの臣下であることに満足している人間は主家を乗っ取ったりはしない
主の威を借りてナンバー2とか、ナンバー3であることの方が、組織内での生き方としては楽なんだろうから
だからプリンス派の人たちは、基本的に当主を裏切ったりはしません今すでに、香月家の威光を受けて、自分の地位を得ているんですから
そうだプリンス派のリーダーである香月操の父親そのものが、ジッちゃんと血縁があるということだけで威張っている
彼らの栄光は、ジッちゃんなくしてはあり得ない
つまり自分から、トップになる気は全然無い
でもそういうことなら、もう一人の欠席者、司馬沖達氏の方が怪しいんじゃないかな彼なら、トップに成り上がろうという強い意志があると思うけれど
マルゴさんは、そう言うけれど
それは息子さんの司馬アキラさんを見て、違うと思いました
司馬アキラさんには、いつでも香月グループを出て自立するという気概がありましたこれは、お父さんの影響だと思いますつまり、お父さんの司馬沖達さんも香月グループ、そのものに拘りは持っていない犯罪的な行為に手を染めて、無理をしてまで香月グループのトップになろうとは考えないと思います
うんジッちゃんと意見が合わなくなったら、さっさと独立する
別に香月グループを自分の物にしたいとは考えていない
だって香月グループには、香月家の様々な澱みが染みついていますから香月家意外の人間が乗っ取って、上手くいくはずがないんですしがらみだらけの大組織を手にするより小さくても、自分の意志がすんなり通る組織を作った方が良い司馬さんは、そう思っているはずです
つまり香月グループのトップを狙うのは、香月家の人間だけなんです香月の家名がなければ、やっぱりこの大組織を手中におさめることはできないはずです
オレはさっき出会った大阪の白坂博光氏を思い出す
白坂博光氏は、白坂家の新聞社の系列の大阪のテレビ局の代表にまで昇り詰めている
博光氏自身は自分は白坂家の傍系で、父親の代から大阪に住んでいたから、白坂家の影響は無いと言っていたけれど
それでも傍系でも何でも白坂家の一族であったことが、彼の出世の後押しをしていることは間違いない
家名血の繋がりは、やっぱり大きな意味があるんだ
そもそも香月昇氏が、香月家の人間なのにも関わらず新興グループの方に属していたことが、彼の野心を示していると思います