操様オレ、オレ
ポロポロと涙を零す
そんな角田の背中を、遊び仲間の香月仁がポンと叩く
うんお前はお前だ
角田父が、香月操に振り返り
申し訳ありません息子を、よろしくお願い致します
スっと頭を下げる
それこそ、お前の心配することではない気にするな
香月操は、角田父にそう言った
谷沢くんこの子は一体、何者なのかね君の部下か関くんや藤宮くんと一緒に居るが
香月操の父が、オレたちを見て尋ねる
まさか私は高校生は雇用致しませんよ
では、何者なんだ
部屋中の眼が、オレたちに集まる
黒森だヨッ
寧さんが、ニッと笑って言った
黒森ってあの黒森か
えっ父上、ご存じなのですか
父親に香月操が尋ねるが
まさか、黒森の娼館ことを息子に話すわけにはいかない
いや、それはお前には、まだ早い
何を仰っているのです、父上
ああ、さすがに香月グループの重役たちは、黒い森のことは知っているらしい
実際に、お屋敷の娼婦を買ったことのある人は何人もいないだろうけれど
しかし、黒森家がなぜ
売春婦の元締めが、こんな場に現れて美智が暴れたり、みんなで推理大会とかしているんだ
香月操の父親の疑問も判る
まあそれは閣下にお尋ね下さい
マルゴさんは、面倒ごとを全てジッちゃんに押しつける
とにかく、急いで避難を高木さんと角田さんの携帯電話から、この部屋の位置情報は、敵に特定されていると思うべきでしょう
関さんが、重役たちを急かす
さあ、こちらに居る者たちの指示に従って移動を始めて下さい後藤、鹿島田、頼むぞ
谷沢チーフの命令で、トップ・エリートの男たちが重役と私塾の青年たちの誘導を始める
やっぱり、白坂雪乃じゃねえか
香月仁が角田を連れて、雪乃の前にやって来る
だから、何よ
ウザッたそうに、雪乃は答えた
今度デートしようぜ良い店を知っているんだ
香月仁は、雪乃を誘うが
嫌よ、あんたたちみたいのタイプじゃないから
雪乃は冷たく、突っぱねる
そうかよところで、お前は判っているんだろうな
香月仁が、オレを見る
お前には、きっちりオトシマエを付けてもらうからな
な、何のことだ
判らないのバカなのあんた、この人たちのお姫様を墜としちゃった色男なのよ何かしら、オトシマエを付けないと許さないって言っているのよ
雪乃が、そう解説してくれた
ヨッちゃんの主催で、パーティでもやってあげればいいのよっ
寧さんが、横からそう言ってくれた
食べ放題で、飲み放題そういうんでいいんでしょ
香月仁は、にやけた顔で
もちろん、お姉さんも来てくれるんだろバニーガールとかの格好でさ
あたしはやんないわよっよっちゃんのオトシマエだものっ
ニヒヒと笑う、寧さん
ヨッちゃんがバニーガールの格好すれば
いや、オレは嫌ですよ
オレらだって、そんなのは見たくねえーよ
じゃあ、男同士の親睦パーティにするのねぇ
男だけのパーティかよ
まあ、いいやとにかく、オトシマエは付けろよ、いいなっ
そう言うと、香月仁は角田を連れて退避の列に並んで行った
でもオレ、パーティ開くような金はありませんよ
あいつら高級な店じゃないと、納得しそうにないし
先生か克っつんにお金を借りてでもやりなさいミィちゃんのためだからねっ
ヨッちゃんが太っ腹なところを見せないと、ミィちゃんが恥ずかしい思いをするってこと
みすずが、香月家の当主を目指すのなら
私塾の連中とは、これからも嫌でも付き合っていかないといけないんだよな
むしろ、私塾の連中には良い臣下になって貰わないといけない
オレのことで、あいつらにわだかまりを残すわけにはいかないんだ
ミィちゃんやルリちゃんにも相談してねっもちろん、あたしたちも相談に乗るけどさっ
あいつらが納得する様な格のお店はみすずたちでないと判らないものな
いや、あいつらの想像以上のもてなしをしないとオレだけでなく、みすずまでが小馬鹿にされてしまう
金なんて問題じゃないな
香月の後継者としての、やらなきゃいけないことだ
重役たちと私塾の連中たちが部屋から出て行くと
谷沢チーフは、オレたちの方へやって来る
大徳さんと張本さんの姿が見えない理由が判りました
関さんが、チーフに言う
ほう二人はどこに居ると思う
瑠璃子様とみすず様のご両親の警護に向かわれたのでしょう
そういうことだ
谷沢チーフは、認めた
香月昇がクーデータを起こしたということはホテルへの攻撃と同時に、瑠璃子様、みすず様のご家族への攻撃も行われるということだからな
後継者候補を全員皆殺しにするためには、同じタイミングで刺客を送り込まないといけない
劇場で、大徳や張本が閣下の警護する姿を見せ付けて置いて敵を油断させたのですね
劇場からそれぞれ秘密裏に、みすずたちの家族の警護に移ったんだな
だから、大徳さんたちの姿は見えなかった
閣下の警護は、君と藤宮くんを付けておけば大丈夫だと思っていたんだがね
谷沢チーフは、二人を見る
わたくしたちが外に出て来たのは、閣下の勅命です
麗華が、恐縮して上司に言う
それは判っている閣下からもご通知いただいたところで
チーフは、ジロッと麗華を見る
藤宮くんは何でそんな格好をしているんだね
麗華は、いつもの英国紳士の男装姿では無く
黄色のジャージの上下を着ている
顔もノーメイクだ
色々と思うところがありまして
麗華は、上司に頭を下げる
わたくしこれまでの自分に反省しております
反省
これまでの私は自分の美学に酔っているばかりの嫌な女でございました
ですから偽りの鎧は脱ぎ捨てて、このような姿からやり直そうと決めたのです
やっと秋っぽい感じになってきたのに
東京では、まだ蝉が鳴いています
なんじゃこりゃ
303.シザーリオ・ヴァイオラに告ぐ
一応聞いておくが男装はやめて、今後はそのジャージ姿で通すっていうんじゃないだろうな
谷沢チーフは、麗華に尋ねる
こ、これは着替えがこれしか無かったからですジャージに拘りがあるわけではございません
それを聞いて安心したよ藤宮くんの男装姿は凛々しくて、特定の顧客には人気があるんだがあのまんまじゃ、VIPの警護は任せられなかったからな
やっぱり英国紳士の男装では、警護できる顧客が限られていたんだ
VIPの警護はチームでなければできないが一人だけ突飛な格好じゃ、チームは組めん藤宮くんは、能力はあるがその能力は、誰かのサポートがあって活きる能力だしかし、今までの藤宮くんは誰かの下に付くという性格でも無かったしな