うわっそりゃ、大変だ
あ、そんなことより
ところでさ美智
美智は、気が読めるんだろそしたらさ、さっきのシザーリオ・ヴァイオラの部隊指揮の様子とか、判るんじゃないのか
ヴァイオラの部隊の指揮系統は謎ばかりになっている
戦闘員の指揮は、幹部のジュリアーノ・ジェンカが取り仕切っている
そのジュリアーノともう1人の幹部、ロミオ・モンタギューへの指示はヴァイオラのマネージャーと言われているロレンザッチョ・バンディーニが行っている
そして部隊の中に、シザーリオ・ヴァイオラ本人がいることも確認された
全てのボスであるシザーリオ・ヴァイオラがロレンザッチョ・バンディーニに指示を出している様子はまったく見られない
これではロレンザッチョ・バンディーニが部隊のトップで
シザーリオ・ヴァイオラは、数人の護衛を従えているだけで指揮権を持っていないように思える
実は、何らかの方法でヴァイオラがロレンザッチョ・バンディーニに指示を出しているとかそういうのは、気の流れで判らないのかい
オレの問いに美智は
残念ですが影像からでは、気は読めません同じ空間の中で肌で感じませんと
美智の気読みにはそういう弱点があるのか
いずれにしても、その問題は調査しないといけないよねシザーリオ・ヴァイオラと彼の組織の根幹に関わる問題だから
最初はあたしたちの前に、事前に偽物のロレンザッチョ・バンディーニを出して、バンディーニは組織の中では小者だと思わせていたなのに、今度はボスであるシザーリオ・ヴァイオラよりも大物であるかの様に振る舞っている女の白いヴァイオラたちの存在も含めて彼らの組織には、まだ謎が多いよね
全員、打ち倒してしまえばいいんですよ
全員打ち倒して壊滅させればそんな疑問は、後から調べればいいんです
そういう風にはいかないよ麗華お姉さん
マルゴさんが、麗華に微笑む
誰が組織の中枢なのかで状況が変わってしまうもの今、見えている状況が正しいのなら、ロレンザッチョ・バンディーニとジュリアーノ・ジェンカさえ倒してしまえば敵集団は壊滅する指揮系統が失われるんだから指揮官を失って烏合の衆になった戦闘員たちを、刈り取るのは簡単だよでも、もしも今、見えている状況がフェイクなら
全員の眼が、マルゴさんに集中する
あたしたちの攻撃をロレンザッチョ・バンディーニとジュリアーノ・ジェンカに集中させるための策だとしたら
なぜ、全隊のボスであるシザーリオ・ヴァイオラが指揮を執らないのかその理由が判らない
あたしたちはなるべく危険を犯したくは無いよねできる限り、こちらにダメージが無いように、あいつらを仕留めたいそれなら合理的に敵部隊を壊滅させるための手順を考えるべきだよ先に倒すべきは、シザーリオ・ヴァイオラなのか、ロレンザッチョ・バンディーニなのかこれは大きな問題だよ
うん無理して、ロレンザッチョ・バンディーニを先に倒しても
シザーリオ・ヴァイオラが、指揮官になって敵部隊が普通に機能するのなら、無理した意味が無い
かといってシザーリオ・ヴァイオラを先に倒そうとすれば、現在の強固な指揮系統がオレたちの攻撃を阻んでくるだろう
でも、敵の本隊はダダドムゥさんの活躍で、20人前後に減りましたこの数なら、一気に攻めれば
麗華は力押しの策を上申する
敵本隊14階で停止しました
ノーマさんが監視カメラの映像を、モニターに映し出す
同じルートで先行している2部隊を後退させています14階での合流を狙っているようです
それはまずい
合流しようとしている部隊の人数は
谷沢チーフが、ノーマさんに尋ねる
最先端の部隊は、各階で何度も工藤さんの配下のチームと交戦していますから元の30名から、今は15名前後に減っていますその後ろの部隊は、30名丸まる無傷です
先行している2部隊が合流すればヴァイオラの本隊は、15+30+20の65名になってしまう
別ルートで侵攻させている部隊も全て、下の階へ下降始めました一度、1階まで撤退させて、本隊と合流させるつもりの様です
ホテル内は、防火壁やシャッターで区切って幾つもの別のルートでないと上階へは上がれないようになっている
だから、ヴァイオラたちは部隊を分けて、個別のルートで侵攻を開始した
工藤父たちは、分かれた部隊のどれがシザーリオ・ヴァイオラの本隊か判らなかったから侵攻してくる全ての部隊を各階で迎撃して、少しずつ敵兵の数を削りながら情報を集めていた
しかし今、寧さんのアナウンスと、ダダドムゥおじ様の強行偵察で、ヴァイオラの本隊が判明した
ならば、ヴァイオラの本隊残り20名だけを殲滅すれば、この闘いは終わる
そのことにヴァイオラたちも脅威を感じているから急いで、部隊の再集結することにしたのだろう
工藤、聞こえるか
谷沢チーフが無線機に向かう
オレたちが地下の緊急避難室から持って来たのと同じタイプのものだ
ホテル内の回戦を使用しているため盗聴される危険性が少ない
状況はこちらでも確認しています
スピーカーから、工藤父の声がする
敵を集結させるな転進した敵部隊を背後から叩け
了解です近場に居る者から、順次、攻撃させます
谷沢チーフの表情は険しい
攻撃チームの送り込みが、間に合えばいいんだが
各階で待ち伏せして、迎撃するっていうシステムになっていたから反転した敵を追っ掛けるのも大変なのよ
不思議そうな顔をしたオレに関さんが説明してくれた
ただでさえ、このホテルの中は今、迷路みたいになっているでしょ迎撃予定ポイントからの移動は大変なのよ
一度、防火壁を開放して、迎撃チームが真っ直ぐに敵に向かえるようにしたらどうですか
香月健思がにやけた顔で、そう言った
開放するのは、最短距離の防火壁だけにすれば敵の動きを制御したまま、こちらの部隊だけ移動させられると思いますが
香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだけなら、その手も使えるんでしょうけれどね
関さんは、苦笑する
あたしたちは、このホテルの内部構造も熟知しているし迷路化した状態のパターンも幾つか頭の中に入っているから、どのパターンになっているのか伝えて貰えば一部の防火扉を開放しても、何とか行動できるわでも工藤さんのチームの方たちは、そうでは無いでしょ
緊急事態が起きたときホテル内部が迷路化するのは、香月セキュリティ・サービスの中でもトップ・シークレットだったはずだ
どこがどう迷路化するのか、どこが開放されれば、どこへ通じるのか関さんたちなら、ある程度は判るんだろうけれど
工藤父の配下のフリーの警護人たちが、知っているわけがない