しかし皆さん、携帯などの電子機器はお持ちでしょうそちらにルートマップを提示すれば
香月健思は、さらにそう進言するが
その提示したルートマップを敵に知られたら、どうするの
関さんが呆れた口調で答える
そうだフリーの警護人が、逆に敵に倒されることにでもなったら、各階の迷路図の載った電子機器が敵に渡ってしまう
とにかく最先行していた部隊の15人だけは、確実に倒した方がいいね2チーム目の30人は諦めるしかないと思うよ
壁の大型モニターに映る敵部隊の様子を見ながらマルゴさんは、言った
それと他のルートから侵攻していた部隊は、下の方の階に降りて来たところで閉じ込めたりはできないのもう、ヴァイオラの本隊ではないただの不良ロシア人たちの隊だって判ったんだから一々、撃滅する必要は無いよね
マルゴさんの言葉に、谷沢チーフは
そうだな2、3階まで降りて来たら、全ての通路を遮断しよう
うんそれで、他の隊の合流は妨げられる
こうなったら少しでも、戦力が必要だ関くんと藤宮くんも、工藤くんのチームに合流して、敵部隊の迎撃に当たってくれ
谷沢チーフが、2人に命じる
2人は、顔を見合わせて
麗華が関さんに頷く
関さんは、微笑で麗華に応えた
チーフその命令は、お受けできません
なぜだね、関くん
わたくしたちはこの方たちの警護を命じられております
関さんと麗華はオレや寧さんを見る
それは、マルゴお嬢ちゃんや、工藤のお嬢ちゃんに任せればいいだろうそれに、ここは本部だぞオレだって居るし、他にもトップ・エリートの警護人がガードしている
チーフは、厳しい眼で2人に言う
しかし勅命でございますから
関さんは突っぱねた
藤宮くんも同じ考えかね
申し訳ございませんが
麗華も、オレたちの側から離れることを拒む
どうしてもか
麗華はオレを見て
はい何があっても、この方たちを護るとお約束して参りましたので
いや、でも谷沢さんのおっしゃっている通り、今、人手不足ならオレたちは別にマルゴさんや美智もいるし
え雪乃
今、このチームを壊したらダメよ
そうですかね僕はむしろ、このチームは解体した方が、みんな軽快に動けると思いますが
香月健思が、笑ってそう言う
違うわ今はダメだって
この部屋に来てから、ずっと黙り込んでいた雪乃が言う
この人たち、信用できないもの
雪乃の眼は谷沢チーフや、ノーマさんたちを見ていた
そんな信用できないって
寧さんがスッとマルゴさんを見て言う
マルちゃんあたし、どっかの部屋で休みたいな
マルゴさんも、寧さんの眼を見て
そうだねいつまでも、この部屋に居るのはお邪魔だろうしね
谷沢チーフに、マルゴさんは言う
谷沢さんどこか休める部屋を貸して下さいませんかご存じの様に、寧はシザーリオ・ヴァイオラの標的の1人ですさっきの放送で、精神的に疲れているようですし休ませたいのですが
谷沢チーフはノーマさんを見る
ノーマさんは、幾つかのキーを叩いて
2505号室を開けます
そしてカードキーを取り出す
この部屋ごと25階へ行きます2505号室は、ドアを出てすぐ向かい側になりますから
この部屋は、丸ごとエレベーターになっている
スッと部屋が、上昇するのを感じた
まあ確かに、お前らは少し休んだ方がいいな敵との戦闘は、オレたちに任せておけ
谷沢チーフは、笑顔でそう言った
谷沢さんもちろん、2505号室でも、戦況が判るように館内の情報は転送して下さいますよね
マルゴさんも、笑顔でそう言う
状況が判らないとあたしたち、怖くてやっていられませんから
もちろんだノーマくん、端末を一つ貸してやれ2505号室でも回線が通じる様に
よろしいんですか、チーフ
ノーマさんが、谷沢チーフに聞き返す
ノーマさんは、こういう時の小芝居ができない人だった
ああ、もちろんだよ
谷沢チーフの笑顔は、強ばっている
あ、端末用のコンピューターは、こっちにありますからどれでも、使いやすそうなのを持って行って下さい
ノーマさんより、さらに場の空気の読めないトニーさんがマルゴさんに、そう言う
端末なんて、どれだって同じだろ
谷沢チーフは、そう言うが
いえ、やっぱり機器は、自分に合ったのを使うのが一番ですから
トニーさんは、カラッと言う
この人は工藤父の部下として、ここしばらく黒い森と行動しているから
オレたちのことは、完全に身内だと思い込んでいるのだろう
君の推薦の機器はどれ一番、情報の引き出しに使えそうなのは
マルゴさんが、トニーさんに尋ねる
オレならこれですね
じゃあ、それを借りていくよいいですね、谷沢さん
ああ持って行け
谷沢チーフは無表情で答えた
回線は、ライティングデスクの所に接続端子がありますから
うん、頼むよちゃんと、あたしたちにも情報を届けてね
判っていますよ
トニーさんは、笑顔で答える
では、谷沢さん失礼します
マルゴさんが、礼をする
オレや寧さんや美智も、一緒に頭を下げた
あたしたちも彼らの警護を続けます
関さんと麗華も一礼する
ああ気を付けろよ
谷沢チーフはそれだけ答えた
で何であんたもこっちに来るのよ
2505号室に移った途端に、雪乃が香月健思に言った
この部屋は通常の客室だ
ベッドが二つある
しかし、オレに寧さんにマルゴさんに美智、関さんと麗華、雪乃と香月健思
8人が入るにはいささか狭い
あんたはあのまま、あっちの部屋に居れば良かったじゃない
だってあなたたちと一緒に居る方が面白そうですから
香月健思は、平然とそう言う
雪乃、さっきのあれはどういうことなんだ
オレは、早速雪乃に尋ねた
さっきのって
谷沢さんたちが信用できないってことだよ
だっておかしいじゃない
だから、何が
どうして、あの人あたしたちを本部まで入れてくれたわけ何もかも、あたしたちに明け透けに見せすぎでしょだいたい、あたしたちって、あの人にあそこまで信用されるような存在
オレたちは黒い森は、売春を主な収益とする犯罪組織だ
それは関さんや麗華が一緒に居たからじゃないのかマルゴさんだって、谷沢さんには信用されていると思うし
そんなことは判っているわよでもさあたしやあんたまで、普通は入れてくれないわよあたしたちのことなんて、あの人は知らないはずなんだから
オレや雪乃は谷沢チーフにとって信用以前の存在だろう