それが全部は来ていないわもちろん、敵と交戦しているフロアの画像データなんかは届いているんだけれどホテル全館のデータは送られていないし完全に隠されているフロアもあるわ
マルゴさんは、さっき本部から借りてきたコンピューター端末を見ながら言った
こっちも同じだよ谷沢チーフ、あたしたちに見せてもいいデータしかアクセスさせてくれない気だね
どうしても、あたしたちには見せたくないものがあるってことなんだろうね
マルゴさんは、クッと苦笑する
谷沢チーフは、ジッちゃんの指示でオレたちアクセス制限をしていることは間違いない
何を隠そうとしているんだ
でも、こちらの機材はホテル外のネットに接続しているわ
書き込みはできないけれど外の情報は自由に見られるわ
現在のこのホテルの状況について報道で取り上げられているかどうか確認できる
待っていいえ、どこのニュース・サイトでも出ていないわ
マルゴさんの質問に、克子姉は答えた
報道管制されているなら香月さんが、やらせているってことなんだろうね
白坂家では自分の家の系列の報道機関しか抑えられない
ましてや、アメリカの犯罪者であるシザーリオ・ヴァイオラに、日本のマスコミを制御する力があるとは思えない
今、判っていることは香月さんは何かしらの企てがあって、シザーリオ・ヴァイオラをこのホテルに呼び寄せたってことしかも、自分の重役陣と私塾の連中も一緒に
あたしたちだって、そうでしょ
そうだオレたちも、ジッちゃんにここに呼び寄せられた
あたしたちはそうだけれど雪乃さんは違うよ
あたしたちが雪乃さんを連れてきたことは想定外のばずだよ普通なら、学校の監禁室にでも入れておくだろうからね
嫌よ、あんな狭い部屋
前に閉じ込められた校長室の地下の監禁室を思い出して、雪乃が不平を言う
とにかく、全ての人間をここに集めたのは、香月さんだそして、わざわざ集めて置いてあたしたちは、改めて安全な部屋に隔離している
安全な部屋
警護人を残さない上に、自分まで脱出しちゃったんだ地下の緊急避難室の防御には相当の自信があるんだよ、香月さんはそうじゃなければ、大事な孫娘を2人とも残して来たりはしないよね
うんあの地下の部屋は、完全に防御されているんだろう
そして、あたしたちもこの部屋に隔離されたんだよ寧ちょっとドアを確認してみて
判った、マルちゃん
寧さんが、部屋のドアノブに触れる
ガチャガチャ
開かない鍵が掛かっているよ
内側から鍵は掛けてないですよね
オレは一応尋ねてみる
もちろん何もしていないよ
ていうかこの部屋は、ホテルの通常の客室でオート・ロックだからさ部屋の内側からノブを回せば、ドアは開くはずだよね
ドアを閉めたら、外側からは開かないように自動的にロックされるが
ホテル内で火災などが発生した時に、すぐに避難できるように
内側からノブを回せば、ドアは開くはずだ
なのにこの部屋のドアには、鍵が掛かっている
これって、やっぱりジッちゃんが
香月さんていうより、谷沢さんだよさっきの本部から操作して、電子ロックを掛けているんだと思う
つまりオレたちは、閉じ込められた
さっき谷沢さんは、21階に絶対防衛ラインを引くって言っていたよねここは25階このフロアに居れば、あたしたちは絶対に護れるって考えたんだと思うよ
そう言えば、さっき谷沢さん、関さんと麗華お姉さんをあたしたちから引き離そうとしていたよねっ
うんこの部屋には、あたしたちだけを避難いや、監禁するつもりだったんだと思うよさっき、部屋に入る時に気付いたんだけれどこの部屋のドア、普通のホテルの客室ではありえない様な頑丈な造りになっていたから元々、敵の拘束を想定して造られている部屋なんだと思うよ、ここあたしや美智ちゃんが、本気で蹴飛ばしてもビクともしないんじゃないかなドアだけじゃなくて、壁や窓も、普通より強化されているんだと思う
でもさっ関さんや麗華お姉さんが居ればさっ
寧さんが、ニヤッと笑った
関さんはピストルを持っているからさっドアの電子ロックの回路を撃ち壊してしまうことだってできるだろうし、麗華お姉さんはつ
そうだ麗華の撲殺ステッキの力があれば、こんなドア簡単に打ち破れる
打ち壊しますか
麗華が、オレとマルゴさんを見る
待って今すぐ外に出たって、その後の行動の手掛かりが無いよもうちょっと、ここで情報の収集をしよう
マルゴさんは、通信機に向かって
克子さんそっちのコンピューターでアクセスができる範囲を全部チェックしてみて、そうしたら逆算的にアクセス制限されている領域が浮かび上がって来ると思うから
判ったわやってみます
あたしも、こっちの端末で同じことをやってみるよ
マルゴさんも、コンピューターの端末に向かう
うんオレたちに、ジッちゃんが何を見せないようにしているのかが判れば
今のままでは、どうにも動きようが無い
マルゴさんの肩越しに寧さん、関さん、麗華、香月健思が端末のモニターを覗き込む
オレはどうせ判らないから、覗き込まない
ね、お茶でも煎れない
そこにあるの、ポットでしょ
確かに、客室用の小さなポットがあった
水は入っている
えっとあ、入っている
チェックインして来る客のことを考えてあらかじめ、客室係が水を入れておいたんだろう
じゃあ、お茶煎れてよ
雪乃が、オレに言った
いや、でもさここ、元々は2人用の部屋みたいだからさお茶碗2つだけだし、ポットも全員分のお湯は沸かせないしそれに
お茶のティーパックも、二つしかない
二つあるんでしょじゃあ、あたしは飲むから、お茶煎れて
こういうところが雪乃だと思う
周りの空気とかは、考えない
ご主人様、そんな方の命令を聞く必要はありません
ずっとオレの横に侍っていた美智がそう言った
飲みたいのなら、ご自分でなさって下さい
美智の眼は冷たい
そうね、それじゃあそうするわ
雪乃は立ち上がってポットを沸騰させるスイッチを押し、ティーパックを茶碗に入れる
断固として飲みたいものは飲むんだな
一応、ホテルの館内の図面は全部見せてくれるみたいだね
モニター画面を見ながらマルゴさんが、言った
ここが現在地で迷路状になっているホテルの中を抜けて、1階に下りるルートが示されている緊急事態の時は、この図面に従って1階まで自力で降りて避難しろってことなんだろうね
ちょっと貸して下さい全部、記憶してしまいます