吉田くん、好きだよ
まったくこの姉妹たちは
オレも好きですマルゴさん好きだよ、みすず寧さん、大好きですメグオレも好きだよマナもとっても、大好きだ
オレは、一人一人にそう告げる
ほらほらほーら
寧さんが雪乃を見る
黒子ちゃんはどうなわけ
雪乃はいきなり、ハッとして
パンフレットを折る作業を再開する
いや、それはいいからあんたの今の気持ちを言ってミソ
き、嫌いよ
手が震えている
好きなわけないじゃないそんな男嫌いよ
嫌い嫌いも好きのうち
その言葉に、カッとする雪乃
嫌いですっ嫌い嫌い、大嫌いっ
オレは好きだよ最初に会った時から
ああたしは嫌いよあんたのことなんて
モジモジする雪乃
むふふ、瑠璃子さん、覚えておいて下さいこういう症状をツンデレと言いますっ
寧さんが、また変なことを言い出す
ツンデレどこの国の言葉ですか
イタリア語です
相手のことが好き過ぎて、逆に嫌いと言ってしまうことを古代ローマの哲学者ツンデレアヌスの名前を取ってツンデレと呼ぶようになったのですっ
そうなんですの一つ、勉強になりましたわねぇ、美子
はいわたくしも始めて知りました
寧さんみたいな、無邪気な悪戯っ子に会ったことが無いんだな
超箱入りのお嬢様だもんな
ち、違うわよあたしは、本当にその男が嫌いなのっ大っ嫌いなんだからっ
雪乃は叫ぶ
ツンデレなんですね
興味津々に雪乃を見る瑠璃子さん
はい、ツンデレでーすっ
寧さんが、クフフフと笑う
本当にみなさんお互いのことが、大好きなんですね
美子さんが、オレたちを見て、そう言った
あらあたしは、美子さんのことも好きですよ
もちろん瑠璃子さんのことも
瑠璃子さんの頬が、赤くなる
あたしも好きだよっ瑠璃子さんも美子さんもっ
寧さんが突貫するっ
あたしも好きです瑠璃子さん、美子さんあたしとお友達になって下さいませんか
メグがニコッと微笑む
マナも好きですっ瑠璃子さん美子さんマナはまだ14歳の中学2年生なんでマナのお姉さんになって下さいませんかっ
マナがそんなことを申し出る
あたしも好きだな瑠璃子さんも美子さんも、とっても素直で良い人たちだと思うし
黒子ちゃんは、どう思うこの二人
また寧さんが、雪乃に振る
うええ
今度こそ、戸惑う雪乃
黒子ちゃんは、どう思うかって聞いているのよ
寧さんの言葉にみんなの視線が、雪乃に集中する
い、いいんじゃないの
何がいいのよ、黒子ちゃん
いやこの子たち、お金持ちの娘なのに偉ぶってないし、素直だしちょっと、世間知らずなのが心配だけど悪い子たちじゃないと思うわ
どうして上から目線なのか判らないが
お前だって、白坂家のお嬢様だったくせに
しかも、いつも偉そうにしていて廻りに迷惑を掛けまくっていた女がよく言う
そういう感想じゃなくってさ好きか嫌いかを聞いているのっ
寧さんの強い言葉に、雪乃は
こんな可愛い子嫌いなわけがないでしょっ
その言葉に瑠璃子さんは
顔を真っ赤にさせて
トドメは旦那様が刺して下さい
瑠璃子さん美子さん
二人が、オレを見る
好きです瑠璃子さん美子さんも、大好きです
瑠璃子さんは、顔を紅潮させたまま
それはあたしたちが香月の家の人間だからですか
オレは笑って答えた
あなたたちが、可愛らしい女の子だからです
二人の眼がハッとする
オレはここにいる、他の子と同じくらいあなたたちが好きです
みすずと寧さんとメグとマナとマルゴさんと雪乃と
みなさんと同じ
瑠璃子さんが、驚いている
はい同じです瑠璃子さんと美子さんも
いえそんなのはいけませんっわたくしが、瑠璃子様と同格になるなんて許されないことですわ
常に瑠璃子の下に居た美子さんは同じという言葉に、抵抗があるようだった
オレの心の中でのことですから仕方無いじゃありませんか瑠璃子さんも、美子さんも同じくらい好きです
素晴らしいわ何て、素敵なのわたくしみなさんと同じなんですねっ
はい、同じです
あたしそんなことを言っていただくのは、生まれて初めてです
感激している瑠璃子さん
瑠璃子さん旦那様もあたしたちも、あなたたちを愛していますみんな等しく同じくらいあなたは、どうですか
瑠璃子さんがオレたちを見る
あ、あたしも愛していますっ愛してもいいですか
もちろんですどんどん好きなって下さいあたしたちも、瑠璃子さんたちをどんどん好きになりますから
みすずの言葉に、瑠璃子さんは
ああみすずお姉様お姉様のお言葉の意味が、ようやく判りましたわあたし、なりますみなさんの姉妹にいいえ、姉妹にして下さいっわたくしと美子を
心配そうに、主人の顔を見る美子さん
大丈夫よこの方たちは信頼できるわずっと、あたしたちに心を開いて下さっているじゃない
これからは美子もあたしのお姉様になるのよ
他の方が居る時は、これまで通りにしますでも、二人だけや、他の姉妹の方と一緒の時はねっ
美子さんとずっと二人だけで、寂しかった瑠璃子さんは
姉妹会への加入に、すっかり喜んでいる
美智良い機会だから、あなたも姉妹会に入りなさい
みすずはわざと放置していた美智に、声を掛ける
いえあの、わたくしはみすず様の家臣ですから
一人だけ蚊帳の外に置かれていて、寂しい思いをしていた美智は
それでも自分は警護役なんだと言い張る
あたしの妹にしてあげると言っているのこれが、最後のチャンスよ
その言葉に美智は
は、入ります入らせていただきますですっ
語尾がおかしくなっているぞ
これでお姉さんとの決闘に迷いは無いわね
血の繋がった本物の姉を失うことになったとしても姉妹会の絆は、永遠ですあたしは一生、あなたの姉になりますそのつもりで付いて来なさいっ
はいっみすず様ぁ
楽しい時間になった
再び、みんなでパンフレットを折る作業に戻る
今度はみんなが、瑠璃子さんに自分の話をした
特に、マナが自分の中学校での、ダンス部での話をして
瑠璃子さんは生まれて初めて、姉という立場で妹の話を聞くことを楽しんだ
それからメグの陸上部の話も、興味深く聞いていた
マルゴさんがアメリカの話をすると瑠璃子さんも、海外旅行の時の話をした
楽しそうに
嬉しそうに
あたし美子以外の方と、こんなに心を開いてお話したの初めてです
それからみすずが、マルゴさんと美智に武術の話を振って
二人がそれぞれ、護身術についての簡単な話をする