本部という名前に騙された
きっとホテルのどこかに、さらに館内のシステムを自由に操作できる部屋があるんだ
谷沢チーフは、そこに居る
驚いているみたいだなお前たち
天井のスピーカーから、谷沢チーフの声がする
ああ、この部屋の様子も真の制御室から、観えるんだ
そりゃあ驚きますよどういうおつもりなんです谷沢さん
マルゴさんが、大きな声で言った
黒い森の諸君君たちは、これから19階へ向かい給え
19階
そこで、シザーリオ・ヴァイオラが君たちと対面することになるだろう
最初からそういう計画だったのか
関くん、藤宮くん皆さんを連行して来るんだ
上司の命令に、関さんは
チーフである私の指示に従えないというのかね
今の谷沢チーフが、香月セキュリティ・サービスの正当な業務として、わたくしに命令なさっておられるのか、判断できません
関さんは、はっきりと言った
また、今のご命令の内容は未成年を含む一般人を危険な場所に連れて行くということですわ真っ当な会社組織の業務命令とは思えません
黒森の家の人間が、一般人とは言えないだろう裏世界の住人だ
いいえ、ここに居るのは普通の子供たちですわたくしは、そのことを知っています
そもそも、わたくしは閣下の直衛です谷沢チーフの部下ではございません
では、私の部下に命じよう藤宮くん、彼らを連れて来なさい
わ、わたくしは谷沢チーフの部下ですが、閣下より直々に彼らを護るように命じられております
凛とした態度で、麗華はそう返答した
そうかでは、黒森家の諸君には、自ら出向いて貰うことにしよう
19階には黒森御名穂も居るぞ
ジッちゃんと一緒に姿を消したミナホ姉さんが何故
ミナホは、あなたに捕まっているってこと無事なんだろうね
マルゴさんの表情が強ばる
彼女の安否は、自分たちの眼で確かめるといい
谷沢チーフは、どうしてもオレたちを19階に招待したいらしい
行くしかないみたいですね
うん、行こうマルちゃん
寧さんも、腹を括る
仕方無いですね
関さんが、自分のピストルを確認する
麗華も、ギュッと撲殺ステッキを握りしめる
美智は、スカートの下のムチに手を当てる
覚悟して貰えたようだねでは、その場所から19階へ向かうルートを開こう
ウィィィィィィインッ
今閉ざされたばかりの防火壁の片側だけが、開かれていく
床から1メートル半ぐらいの高さまで
頭を下げれば、潜り抜けられる高さで防火壁は、固定された
ちっくしょふざけてるわよっあたしも行くわあなたたちだけじゃ危ないわ
ネコさんは、そう言ってくれるが
ネコさんは、ここに残って下さい閉じ込められているフリーの人たちに連絡しないといけないでしょそれに、もし防火壁が開いたら、ネコさんが指示しないといけないですよね
監視カメラ網と館内通話の回線は、この部屋にしか無い
ネコさんには、この部屋に居て貰うしかない
そうだねお呼びが掛かった以上ここから先は、あたしたちでやりますネコさんは、フリーの皆さんのサポートをね
雪乃、お前もここに残れ
金曜です
ああ、もう時間が無い
働いて来ます
328.邂逅 (オーパ)
雪乃が、絶句する
そうだね戦闘要員以外は、行くべきじゃないだろうね
ネコさんが、言った
あたしはあんたらが、売春組織だってことは知っているからお嬢ちゃんが、そんな格好をしていることも、今までずっと無視してあげていたけれど
雪乃は、全裸にオレのYシャツ1枚だけを着ている
どう考えても、何かあったとしか思えない格好だ
お嬢ちゃんが黒森家とどういう関係で、ここに来る前に何をさせられていたのかは興味が無いし、理由は聞かないよただここから下へ行くのに、そんな格好をしていたらどんな目に遭うか想像してご覧
敵はまだ、10人以上残っている
そうだ、雪乃だから、お前はここに残っていろ
オレがそう言うと、ネコさんは
あんたもだよ、少年
あんたも、何で上半身裸で裸足なのか判らないけれどさその鍛えられていない肉体を晒して、戦場に行くなんて馬鹿げている敵には、ホモもいるって判っているのかい
男のシザーリオ・ヴァイオラはホモ野郎なんだっけ
大丈夫だよっヴァイオラは、可愛らしい男の子にしか興味が無いからヨッちゃんのことは、タイプじゃないと思う
寧さんは、そう言ってくれるけれど
そう言っているお嬢さんあんただって、ここに残った方がいい戦闘要員じゃないだろ、あんた
ネコさんの追求は、厳しい
黒森家のマルゴちゃんだっけここから先があんたたちの仕事だって言うのなら子供たちは外して、プロだけで行きなさい美智ちゃんだって、腕があるって言ったってまだ中学生だよ罠だと判っている場所へ連れて行くべきじゃない
雪乃、オレ、寧さん美智
あたしはこう見えても、一児の母だからね大人の事情に子供を巻き込むのは許せないんだいやマルゴちゃんだって、あたしの眼から見れば、まだ子供だけれどあんたは、もうプロの警護役なんだろ
はいあたしはプロです
マルゴさんは、答えた
だったら護るべき対象である若年者の非戦闘要員を、戦地に連れて行ってはいけないよ子供たちは、あたしが預かってあげる絶対に、谷沢さんには渡さないからあたしの命に懸けて、護ってあげるから
あたしは行かなきゃいけないんですっ
シザーリオ・ヴァイオラの目的はあたしなんですから
マルゴさんが、すぐに寧さんの言葉にフォローする
いや、寧だけじゃないよ3年前にロサンゼルスで、シザーリオ・ヴァイオラの邪魔をした人間ヴァイオラの妹、ロザリンド・オーランドーの死亡に関わった人間は全員ターゲットにされているだろうさ
でもあたしが、その中心だっていうことに変わりないでしょ
寧さんは小さく息を吐く
あたしが行かなきゃヴァイオラもミス・コーデリアも、納得してくれないよきっと
寧さんが行くならオレも行きます
足手まといになったら、見殺しにしてくれていいですからオレ、寧さんの盾になります
ご主人様がいらっしゃのなら、わたくしもお供します
美智も即答してくれる
もし、ご主人様に何かあればわたくしも、同じ時間、同じ場所で死にます自死するくらいでは、みすず様にはお許しいただけないでしょうがそれでも、ここで闘わないという選択肢を選ぶことはできません
そして、ネコさんを見て
ご心配していただいたのは、大変嬉しいのですがわたくしたちは、チームですチームとして、敵と相対致します
美智は、マルゴさん、関さん、麗華に頭を下げる