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もう一人、スカートの女性は無視する

ちょっと、待って違うよ、マルちゃん

寧さんが、後方から叫ぶ

シザーリオ・ヴァイオラは、こんな女の人じゃないよ

オレもマルゴさんの言葉に驚いていた

ヴァイオラは、変装の名人だって聞いていたけれど

こんな若くて綺麗な女の人にまで化けられるのか

いやそうじゃないよ寧

マルゴさんが、落ち着いた口調で話す

この人たちは、寧を狙って来日してきたシザーリオ・ヴァイオラじゃないんだよ

前にあたしたちが闘ったのとは別のシザーリオ・ヴァイオラなんだよ

ヴァイオラは複数いる

三人の女たちは、クククっと笑い出した

全員日本語が判っている

一人がカタコトの日本語で喋って、他の二人は日本語が判らない振りをしていたけれど

全部、フェイクかよ

よく判りましたね、ミス・マルゴ・スタークウェザーキョウコ・メッサーの教育が良いということかしら

一番後ろに立っていた、タイトスカートの女性が流暢な日本語でそう言った

キョウコ・メッサーとは、マルゴさんの師匠の恭子・ドスノメッキーさんの裏の世界での通り名だ

その名前を知っているということは

恭子さんからは、ちゃんと自己紹介のできない人とは会話するなとも教えられているよ

あら、失礼

マルゴさんの言葉にタイト・スカートの女性が双子たちに眼で指示する

さっきまで、カタコトの日本語で喋っていた方の女が口を開く

初めましてあたしは、シザーリオ・ヴァイオラ本名、ファビアーノ・カトゥよ

そして、今まで黙ってた方の双子も

こんにちわあたしは、ロザリンド・オーランドー本名、ファビアーナ・カトゥよ

寧さんが、反発する

違うわロザリンドは、あんたみたいな女じゃないし死んだのよケイちゃんに撃たれて

寧さんの中で、過去がフラッシュ・バックしているのだろう

強い言葉で、寧さんは叫んだ

そうね第4のシザーリオ・ヴァイオラのところで、そんな事件があったみたいね

第4のシザーリオ・ヴァイオラ

でも、あそこのヴァイオラには、ちゃんと次のロザリンド・オーランドーが補充されているわよ

もう一人のシザーリオ・ヴァイオラが、そう言った

そうよねシザーリオ・ヴァイオラには、妹のロザリンド・オーランドーがいないと格好が付かないもの

もう一人のロザリンド・オーランドーがクククと笑う

どうなっているんだ

旦那様敵の言うことを一々真に受けてしまってはいけません

みすずが、オレの迷いを払ってくれる

そうだこんな話は、全部嘘かもしれない

まああなたたちが、別のシザーリオ・ヴァイオラとロザリンド・オーランドーだとしても、全然構わないけれどね

マルゴさんが、平然と敵に対する

ところでその二人を統べるあなたは誰

マルゴさんの眼がタイトスカートの女性に向かう

その女はフフッと笑って

どうせ、シェイクスピア絡みのコード・ネームなんだろさしずめ、レディ・マクベスってところじゃないのかな

あら、あたしそんな年齢ではないわよ

タイトスカートの女性は、笑って否定する

カタリーナ・ミノーラなら、助かるんだけれど

あたしは、そんなにじゃじゃ馬ではないわ

ではクレシダとか

そんな浮気者の小娘でもないの

二人は、笑い会う

じゃあ、オフィーリアとか

幾ら何でも、何も知らない無垢なお嬢様を名乗るほど、恥知らずでもないの

では、あなたは誰なの

女は答えた

コーデリア・フランスよ

つまりあなたず組織のトップではなく、まだ上に誰かがいるってこと

そういうことねあたしはただの使いでしかないわ

ミス・コーデリアは、そう答えた

であたしたちに何の用なのかな

マルゴさんが、女たちに言う

ただの表敬訪問よ一度、あなたたちの顔が見ておきたくて

殺す相手の顔を確認に来たってことかい

雪乃が、ヒイッと声を上げる

ミス・コーデリアは、フフフと笑って

あたしたちは、別にあなたたちと闘うつもりはないわ1円にもならない闘いをしても、意味はないもの

じゃあ何をしに来たわけさ

別のシザーリオ・ヴァイオラが、答える

あたしたちは見届け役だよ

そうよ、あなたたちと第4のシザーリオ・ヴァイオラとの闘いのね

別のロザリンド・オーランドーが、そう付け加えた

おかしいな第4のシザーリオ・ヴァイオラにとってだって、あたしたちとの闘いは、お金にはならないと思うんだけれど

そうだ寧さんを捕らえても、金銭的な補償は無い

これは完全に、彼女らが言う第4のシザーリオ・ヴァイオラの私怨から始まった行動だから

組織は日本へのプロモーション活動ということで、第4のシザーリオ・ヴァイオラの渡航を許可しました

ミス・コーデリアが、そう言った

やはり日本に、アメリカ西海岸の殺人組織シザーリオ・ヴァイオラの力を示すのが狙いか

しかし第4のシザーリオ・ヴァイオラは、すでに日本で依頼者との契約を済ましているそうですよ

依頼者

殺人の

白坂守次という人物があなたたち、今回の事件に関わる全ての人間の抹殺を要請したそうです

ミス・コーデリアは、楽しそうに言った

白坂本家の当主がオレたちを

敵同士が、結びついた

第4のシザーリオ・ヴァイオラが、自分で白坂家に営業を掛けたんだろう

プロモーションの無料奉仕より少しでも金になる仕事にした方が良い

ヴァイオラの手下たちの、モチベーションが変わる

この際だから、リストをあげるわ

別のロザリンド・オーランドーが、ハンドバックから一枚の紙を取り出した

それは英語で名前の書かれた、一覧表だった

ロザリンドが、紙を差し出す

美智さん、受け取って注意して

マルゴさんの指示に美智が、落ち着いて紙を受け取る

大丈夫よあたしは、とって喰ったりしないから

ロザリンドが、クスクスと笑った

あら、あんたはこんな子がタイプなんじゃないの

双子の妹をからかう、もう一人のヴァイオラ

そうね黒髪の子って、まだ食べたことは無いかも

ロザリンドの言葉に、美智は

わたくしは毒がありますから食べても美味しくはないですよ

ロザリンドは、楽しそうに

あらあら、また可愛いことを言うのね

美智が、受け取った紙をマルゴさんに手渡す

マルゴさんは、紙を確認し後ろの、ミナホ姉さんへ

あら案外、甘いのねその紙に放射性物質のポロニウムでも付いていたら、あなたたち全員死ぬわよ

ミス・コーデリアが、そう言う

ロシア・マフィアじゃあるまいし、そういう無粋な暗殺はしないでしょポロニウムやVXガスは、仕掛ける方にとっても危険な物だしそんなつまらない殺し方は、あなたたちはしないでしょう