コロンと転げるシスター・イーディ
恭子さんは、英語で何か言った
もうおしまいなの、ヒヨッコちゃんって、言ってるよ
シスター・イーディは、ムッとした顔をすると
スタスタと美智の前に歩いてくる
それからもの凄い早口の英語で、美智に話し始めた
オレにはシンクロナイズって言う単語くらいしか、聞き取れない
うんとね2人で協力して、あいつをやっつけようみたいなことを言っているよ
シスター・イーディにとって、もう美智は無二の親友らしい
何か、イーディがお祖母さんと一緒に練習していた技があって絶対に、ミッちゃんならできるから、2人で闘おうって言ってるんだと思うちょっと早口で、南部訛りの英語だから、あたしにもよく判らないんだけれど
シスター・イーディに、美智は英語で静かに答える
寧さんが、通訳を続けてくれる
確かにイーディのお祖母さんの技と同じ様なものが、工藤流にもあるって言っているよでも
美智はスッと恭子さんを見る
いいからドーンと、掛かっておいでっ
ニッコリと微笑んで、美智に言った
どうせ、その子拳を交えてみなければ、判らない子でしょ遠慮無く、思いっきりどうぞっ
スッと、構える
あたしは強いぞおっ
美智は、シスター・イーディに何か言う
ギュッと自分の拳を握りしめて見せる
闘うのなら、素手でって言っているよ
ALL RIGHT
シスター・イーディは、両手のナイフを捨てる
美智は改めて、恭子さんにペコリと一礼して
それからシスター・イーディと向き合う
シスター・イーディと呼吸と鼓動を合わせて
工藤流奥義心月崩し双月
瞬間2人の小柄な少女が、跳ねるッッ
これは完全な同調
美智に心を委ね切った、シスター・イーディ
2人は丸で1つの生き物になったように
同調して恭子さんを襲う
あっはははーんっ面白いっ面白いねぇっあんたたち
上下左右から、美智とシスター・イーディが同時に攻撃する
素早く正確で完璧な連携技だ
でも2人とも、真面目過ぎるんだよねっ動きに遊びが無いから見透かされる
ぶわんっ
恭子さんの動きは2人よりも、さらに早い
ほらっとったどぉぉぉっ
恭子さんは、右腕で美智左腕でシスター・イーディを抱きかかえるっ
可っ愛いなあもおっ
シスター・イーディは、足をバタバタさせるが
恭子さんの力強い腕にガッシリ掴まれて、動けなくなっている
長身で大柄な恭子さんは、両腕に可愛いお人形さんを抱えたような姿に見えた
ねえ、コーデリアこのアメリカ人ぽい子も、あんたの子猫ちゃんなの
恭子さんが笑って、ミス・コーデリアに尋ねる
そうするつもりよ
キッと睨む、ミス・コーデリアに美智は、恭子さんに抱えられたまま口を開く
いいえシスター・イーディは、すでにわたくしの友人です
ミス・コーデリアは、憎しみの眼で美智を見る
さすが売春組織ね無垢な女の子を、もう墜としたってわけ
そういうことではありませんシスター・イーディは、あなたではなく、わたくしたちと成長する道を選んだだけです
2人の会話に、恭子さんが割り込む
ねえ、コーデリアこの子は、あたしに預けてよ多分この子は、あんたよりもあたしの下に居た方が伸びると思うわ
あたしから、この子を取り上げるつもり
もう、さっきから何をツンツンしているのよあんたとあたししの仲でしょそれっくらいいいじゃない
恭子さんは、相変わらずニコニコしている
そして、英語でシスター・イーディに何か言った
もっと強くなりたいかって尋ねているよ
喚くように返答する、シスター・イーディ
今のままでも、私は充分強いって虚勢を張っているよ
ガハハと笑って、恭子さんがまた話す
いいや、あんたはまだまだ弱いでも、見所はあるあたしの下で修行したら、今の100倍強くなるだって
シスター・イーディの顔が変わる
Really
当ったり前だっちゅーのっこの恭子さんを誰だと思ってるっこらっ
そしてまた、英語で話し掛ける
あんたの技は、暗殺術に特化し過ぎている相手を確実に殺すということの前に確実に生き残るということさらには、確実に自分の大切な人を護るということを、あんたは学ばないといけないだって
シスター・イーディが、寂しそうに何か言う
私にはもう、護るべき大切な人はいないって
シスター・イーディは、たった1人の肉親である祖母を亡くし
生まれ育った暗殺教団の新ボスに、売り飛ばされた
美智が何か言う
わたくしがいますよだって
恭子さんも
あんたも、うちの子になんなさいって
その優しい笑顔
あんたは、どうだか知らないけれどあたしは、もうあんたのことが大切だし、護ってあげたいって思っているよ
美智も、何か言った
わたくしもですわたくしたち、シスターじゃないですかって
恭子さんが、美智を開放しシスター・イーディだけを両腕で抱き締める
ほらっあんたも辛かったんだろよく頑張った偉いよっ
頬を擦り寄せてシスター・イーディを抱擁する
What’s your name
恭子さんは尋ねた
Edie.Edie Sexton
OK,EdieI Love You
澄み切った青空の様な、爽やかな笑顔だった
本当に、オレたちのお姉さんなんだ
Wao
シスター・イーディは恭子さんに抱き締められているうとに、泣き出した
この子は、本当はずっと寂しかったんだ
家族を失ってからずっと
だけど、本当の感情をさらけ出せる相手が身近にいなかったから
愛していると言ってくれる人は、もういなかったから
暗殺教団も、ミス・コーデリアの組織も心に隙を作ることのできない場所だったから
それで、シスター・イーディは、闘うことだけに没頭していた
祖母から受け継いだものが暗殺術しか無かったから
しかし、今
シスター・イーディは、恭子さんに心を開いた
拳を交えること闘うこと相手の力、存在を認めること
抱き締めてあげること愛していると言ってあげること
恭子さんは、常に全身を使って、真っ正面から相手に向き合う
あたしたちのシスターになろうっていう申し出は、ただの口約束だったけれど恭子さんはいつも体当たりで力強いからイーディは、これで本当にあたしたちの仲間になったね
そのまま、英語でシスター・イーディに何か言う
多分、ようこそ家族《ファミリー》へみたいな事なんだろう
変わらないのね、あなた
ミス・コーデリアが、恭子さんに言った
当たり前だろ人間の性格は、そんなにコロコロと変わったりはしないさ
恭子さんは、そう答える