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酷いな

ジッちゃんらしいけれど

今回ばかりは、白坂家のテレビ局も他の局と同じ論調でこのホテルのことを報道しているわ白坂家の新聞社・テレビ局支配もこれで終わりね白坂の名前が企業のトップになることを、もう世間が許さないでしょうから

そして、いずれはジッちゃんに近い人物が、新聞社とテレビ局を押さえる

まあ、本家はそれでも大株主の一人として細々とやっていくんだろう

しかし、今後、グループ企業に勤めている白坂の一族は出世できないだろうな

あははは

乾いた笑いが、溢れ出した

とにかく、これで当面の心配はなくなったんだね

メグやマナの命は狙われない

寧さんだってもう襲われない

シザーリオ・ヴァイオラは死んだのだから

オレが撃ち殺したのだから

あなたは本当によく頑張ってくれたわ

オレはみんなの役に立つようなことは何もしていないよ

そんなことないわあなたは、特別な訓練は受けていないただの高校生なのに、あたしたちはあなたが優しくて一生懸命な子だからって無理をさせてしまったわ倒れるまで限界まで、頑張ってくれて

限界、だったのかな

身体がダルい

内臓が、ムカムカする

全身が悲鳴を上げている

昨夜ずっと死地の中にいたんだもんな

生きるか死ぬかの瀬戸際で

昨夜は緊張していたから、判らなかったけれど

心にも身体にも、無理をさせていたのかな

そうだよなオレ普通の人間だもんないや、むしろ普通の人よりも劣る力しか持っていないもんな

実際に闘ったのは、マルゴさんや美智や関さんや麗華だ

オレは護られていただけで

危機を救ってくれたのは、恭子さんだし

あたふたしていただけで結局は、ジッちゃんの計画の邪魔をしていただけだった気がする

オレ何の役にも立たなかったな

劣等感と敗北感がオレを包み込む

そんなオレを渚が、ギュッと抱き締めた

温かくて柔らかい身体

あなたは本当に頑張っていたあたしは見ていたわあなたを誇りに思う

むしろダメだったのは、あなたに頼り切りだったあたしたちよあなたに限界を越えさせて重荷まで背負わせてしまった

オレは人を殺した

御名穂さんからの伝言を伝えるわ

渚が、ジッとオレの眼を見る

まず、あなたは自由だということあたしたちに対して、何も負い目に感じることは無いっていうことを判っていて

自由

そうよ御名穂さんの一つ目の提案はね

渚は、悲しそうに話し続ける

もし、あなたがあたしたちの家族を抜けたいと思うのならこれは仮の話よ御名穂さんは、あなたの新しい戸籍を用意するそうよまとまったお金もねあたしたちと離れた場所で新しい名前で、新しい生活を送ることができるわもし、あなたがあたしたちには二度と会いたくないというのならあたしたちは、外国へ移住してもいいわ一生、あなたの前に姿を見せないあたしたちは、あなたの人生と生活を一番にしたいと思うから

そんなことオレが望むはずないじゃないか

今は、あたしたちのことを考えないであなた自身の人生を優先して考えてあなたにはまだ、普通の高校生として人生をやり直すことができるってことを理解してもう、自分の人生はおしまいだなんて思って欲しくないのよっ

だからって、オレが家族を捨てられるわけないじゃないか

みんなのいない人生なんて

御名穂さんの二つ目の提案はねあなた、一緒に住む家族を選びなさいって

選ぶ

今のまんまだとあなた、全員を一人で背負って潰れてしまうわだからそれなら、あなたが一緒に居て生きやすい家族だけ限定して選んだ方がいいんじゃないかって

御名穂さんはしばらく、あたしの家であたしと真緒と三人で暮らすのが、あなたの精神安定には一番良いって言ってくれたけれど克子たちと暮らしてもいいのよ克子とメグちゃんと、マナちゃんと一緒に四人で暮らす家を借りて

家を借りる

どうしてお屋敷じゃダメなんだ

みすずさんのところでもいいのよシゲちゃんが、家を一つ用意してくれるそうだからあの子は気の利く優しい子だしシゲちゃんがバックアップしてくれる場所で、みすずさん、瑠璃子さん、美子さん、美智ちゃんたちと一緒に暮らすのも良いと思うわ

とにかくあなたが、いっぱいいっぱいにならない範囲の人数に絞るべきだって、御名穂さんは言うの常に全員の心配をしていたら、心労で倒れてしまうってもちろん、あなたの好きで住む場所を変えていってもいいのよ例えばあなた、今、瑠璃子さんのことが心配でしょ

だから、瑠璃子さんが落ち着くまでは一緒に居てあげて大丈夫だと思ったら、克子のところに行くとかそういうのでもいいのよ

そして、最後の提案だけれど御名穂さんは、あなたは犯罪組織としての黒い森には二度と近付かない方が良いと言うのだからお屋敷にはもう立ち入らないで、マルゴちゃん、恭子さん、そして御名穂さん本人とは二度と合わない方がいいんじゃないかって

そんなのって無いだろ

御名穂さんが、一番落ち込んでいるのよ今御名穂さんは、ずっとあなたの先生でいたかったからあなたを危険に追い込んだことを後悔しているの

ちくしょうどうすりゃあいいんだ

あの、寧さんは

オレは、渚に尋ねる

寧さんの名前が出て来きていないぞ

寧ちゃんの事は保留よ寧ちゃん、今、ショック状態だから

現実のヴァイオラは死んだけれど寧ちゃんの心の中にずっと浸食していたヴァイオラの恐怖はまだ消えていないから現実と心のバランスが、取れていないのよ

うん時間を掛けて、ゆっくりと安定させてあげるしかないわね何もかもが、急に変わってしまったから

オレが寧さんの前で、ヴァイオラを射殺してしまったから

あなた、しばらく寧ちゃんと二人で旅行に行くとかっていうのはどう一ヶ月ぐらい掛けてそういう選択肢もあるわよ

渚は、そう言った

とにかく御名穂さんの提案は、遠回しすぎて判りづらいけれど御名穂さん、あなたにもう仕方が無いとか自分が何とかしなくちゃいけないとか考えて欲しくないんだと思うわそんなの人生を諦めるのと同じことだもの

オレが人生を諦めないように

あたしだってあなたには、あなたのしたいことを選択して欲しいのあなたが選んだことなら、あたしたちはどんなことだって支持するわその結果、寂しい思いをしたって構わないあたしたちはあなたに幸せになって欲しいから