Выбрать главу

真緒ちゃんも、この女性の危険性は何となく判るのだろう渚の後ろに隠れてしまう

あらあら、恥ずかしがり屋さんなのね可愛いわ

真緒の名前は、マルゴが付けたんだよ

恭子さんが、ミス・コーデリアに言う

へえ、マルゴ・スタークウェザーには、そういう思想があるの

思想

毛沢東語録とか、読みそうな感じには見えないんだけれど

コーデリアその毛《マオ》とは、違うよ

困り顔で、恭子さんは言った

もう行きなこれ以上、あんたがここに長居していると谷沢のオッサンが困るだろうし

判ったわ後でまた連絡するわ

うん待ってる今夜は多分無理妹の1人が塞ぎ込んだままだから

そうねでも、帰国前には会いたいわ

ちゃんと時間を作るよ寝かせないんだから

楽しみにしているわ

ミス・コーデリアは、出口に向かおうとする

じゃあね、皆さんメグちゃんもマナちゃんもまたね

さようなら、コーデリアさん

ご苦労様です

マナとメグが返事する

2人ともオレのいない間に、ミス・コーデリアと会話していたらしい

あなたも元気でね雪乃さん

あたしは二度と会いたくないわ

雪乃はそっぽを向いたままだ

ではみなさんごきげんよう

ミス・コーデリアは、部下を引き連れ退室していく

マナが、大きな溜息を吐く

ご苦労さん

恭子さんが、笑って言った

あの子が不機嫌にならないように、気を遣ってくれてたんだよねメグちゃんと2人で

う、うん怖かった

大丈夫だよ礼儀は弁えている子だからマナちゃんたちの気持ちは感じ取ってくれたと思うよ

特にそっちにずっと不機嫌を噴き出しているお子ちゃまが居たから

恭子さんの眼が、雪乃を見た

ていうかどうしてこいつ、ここに居るんだろう

いや、よく考えると

確かに、ここ以外居場所が無いんだろうけれど

それにしては、偉そうな態度で座っているな

勘違いしないでよねあたしは、こんな場所には居たくないのよ本当は

そこまで言って一瞬、雪乃は言葉を探す

でも、何て言うかあんたが眼を覚ました時に、あたしはここに居るべきなんじゃないかって思ったのよだから、ここに居るのそれだけよ

だから、無視することにする

お台所よ朝ご飯の準備をしているわ

みすずと瑠璃子と美子さんと美智は瑠璃子のお父さんの葬儀の準備で先に帰った

関さんも付いていったはずだ

麗華は香月セキュリティ・サービスの仕事があるんだろう

イーディを呼んであげないとねあの子、コーデリアが帰るまでは隠れているって、そっちの部屋に行ったんだよ

恭子さんが立ち上がり、シスター・イーディを探しに行こうとする

ミナホ姉さんとマルゴさんは

寧さんのところよ

さっき、恭子さんは

妹の1人が塞ぎ込んだままだと言っていた

こっちの奥の部屋に居るよあんたも様子を見に行ってあげて

恭子さんは、オレにそう言った

風邪、流行っていますねえ

私も体調がまだ完全でないですが

それでも働きに行くのです

皆様、ご自愛下さいませ

では、仕事にいきます

340.We shall overcome

マルゴもあんたのことを心配していたしね

恭子さんが、オレに言う

ああ、気絶とかしちゃったからなオレ

判りました、すぐ行きます

オレは寧さんたちの居るという部屋の方へ行こうとする

ちょっと待ちなさい

部屋のドアが開いてミナホ姉さんが現れる

あお早う、ミナホ姉さん

お早う顔を見せて

ミナホ姉さんは、オレの顔をジッと見る

問題は無いようね

問題

安定はしているよさすが渚ちゃんと言うべきか真緒ちゃんもかな

恭子さんは、ニカッと微笑む

幼女は万病に効くからね

否定はしない

真緒ちゃんにがんばってぇと言われたらフルマラソン走った後で、もう42.195キロ走れる気がする

あなた自分がどれだけ危険な状態に居たか、判っている

両手をオレの肩に置いて、ミナホ姉さんがオレに言った

危険

マルゴが恐れていたことよ

何を恐れるっていうんだ

オレは別に

マルゴはねあなたが、人を傷付けたり、殺したりすることに躊躇いの無い人間になってしまう危険性をずっと考えていたの

人間はね慣れればどんなことにもマヒしてしまうのよ人の死でさえもね

家族を護るためなら、暴力の使用も躊躇わないそれは仕方の無いことかもしれないけれど、暴力に馴れ過ぎてしまうとおかしなことになるわちょっとしたことでも、人に過剰な暴力を振るったり気軽に、人を殺すようになったり

あたしの業界には多いよ歯止めが無くなっちゃったやつはそういうやつは、一緒には仕事ができないからね何かしら理由を付けて、処分されるよね置いとくだけで、危なっかしいからさ

あんたが特に危なかったのはあれが特殊過ぎる状況だったからさ

特殊過ぎる状況

あんたが、シザーリオ・ヴァイオラをあのタイミングで撃ち殺さなかったらあのフロアに居た人間の半分近くは死んでいただから、あんたがあいつを殺したのは正しかったこれが状況1

そもそも、シザーリオ・ヴァイオラは寧の仇だし、誰が殺してもどこからも文句が出ないようなホンモノのクズ野郎だっただから、別にあんたが殺しても構わないはずだこれが状況2

そして、あの場は非常識なメチャクチャな空間だったその直前に香月のジィさんが殺人依頼をし、コーデリアが人を殺したにも関わらず、ジィさんもコーデリアも、日本の司法機関には裁かれないらしい裏社会のアウトローと、超法規的な大権力の持ち主が一緒に居て犯罪が見過ごされる空間だったそこで、人を救うための行動として、あんたもヴァイオラを殺したんだからあんただって裁かれることは無いはずだこれが状況3ね

改めて言われるとそういうことなんだな

普通の人間なら以上の理由から、自分のやった行為を正当化しようとする自分がヴァイオラを殺したことに間違いは無いってねでも頭は正当化の方に働くけれど、心の方はそうはいかない

人殺しは、人殺しだ他者の命を奪うということ赤い血を噴き出させるということに対し、どうしたって生理的な拒絶感はある普通の人間だったらね

普通の人間

確かに、ヴァイオラに弾丸を撃ち込んで赤い血を見た時

もう一度言うけれどあの場は、本当に特殊な状況だったあんたが人を殺したことに対して、精神的なショックを受けたのは、人間として当たり前なことだけどそのショックを状況が打ち消してしまう可能性があった

可能性

例えば誰かが、いち早くこれは仕方の無いことだから、あんたは悪くないって、あんたの殺人行為を擁護したりするヴァイオラなんだから、殺してもいい、このホテル内は治外法権だから、問題無いそんなことを言われているうちに、あんたもそうかもしれないと思ってくる心が救われると感じてでも、その結果自己正当化が、罪の意識を忘れさせ人を殺したという事実が、あんたの中で軽くなってしまう