世間の眼が、白坂家のスキャンダルに注目しているうちに
瑠璃子は、気丈に振る舞っていますあたしも美子さんも付いていますし関さんも美智も居ますから
ああ、後でそっちへ行くよ夜になるかもしれないけれどオレも、瑠璃子のお父さんのお葬式には出たいし
はい、お待ちしております旦那様、あの携帯電話の方は何度かお電話したんですけれど、繋がらなくて
携帯を鳴らしても、オレが出ないから
みすずはそれで、ホテルに直接、電話を掛けてきたんだ
ああえっと、オレの携帯はどこにあるんだろう多分、誰かが回収してくれていると思うんだけど、まだ受け取っていないんだ手に入ったら、連絡する
もしもの時のために、一応、あたしの携帯の番号をお伝えしておきますね
そうだな渚、何かメモ用紙とかない
メグが、ペンと紙を手渡してくれる
さすが気が利く
オレはみすずの電話番号と瑠璃子のお父さんのお葬式の場所をメモした
後でまた連絡するから
はい、お待ちしています
青山斎場って、どこにあるの
オレの問いに、克子姉が
もちろん青山よ日本で一番大きなお葬式の会場よ
さすが、香月家
瑠璃子さんのお父さんのお葬式、あたしも行きたいわ
あ、マナも行く
あたしたちは、行かれないわね名家の人たちが集まる場所だから
克子姉が、寂しそうに言った
黒い森を知っている人も来る可能性がある
香月重秋さんは、あたしたちのお客様では無かったのよ香月様は、息子さんたちをお屋敷には連れていらっしゃらなかったからでも、あたしたちがお葬式の場に顔を出したら、変に勘違いされる方もいらっしゃるでしょうから
ミナホ姉さんや、克子姉、渚は顔を出さない方がいい
マルゴ後で、子供たちを連れて行ってあげて
判った、ミナホ夕方以降でいいんだよね
ええお通夜だからあんまり早く行っても、迷惑でしょうし
あたしも行きます
あたしたちは、制服で行けばいいのよね
あ、あたしはどうしよう
マナが、困った顔をする
制服だと白坂舞夏だって、バレちゃうかもしれないし
うんマナと同じ学校の子も来るかもしれない
マナさんは、帰りに喪服を買いましょう
ほんじゃまそろそろ、懐かしの我が家に帰るとしますかっ
恭子さんが、豪快に言った
あたしは、ソースケの回収もあるしね
その言葉を雪乃がジッと聞いている
工藤父に言われた内線に電話するとノーマさんではなく、トニーさんがすぐに来てくれた
何です、これ
トニーさんは、人数分の黒マントと虎のマスクを持って来ていた
あ、申し訳ないんですけれど全員、これで変装して下さい警察の居るところを強行突破しないといけないんで
いや、誰だか判らないように変装するってのは理解できるけれど
何で、虎のマスク
うちのボスの趣味です
黒マントは
ホンモノは誰だって知りません
知らないです
何で、あたしだけ虎のマスクが黒いのよ
なぜか雪乃に手渡されたマスクだけ黒い虎だった
あ、ブラックタイガーの正体はローラーボール・マーク・ロコですミスター高橋によると、現在はスペインのカナリア諸島に住んでいるらしいです
トニーさんの話は、わけが判らない
とにかく、皆さんマスクを付けて、マントを羽織って下さい
とにかく言われた通りにする
わーお、みんなおんなじ顔っ
真緒ちゃんが、面白がっているがそんな真緒ちゃんも、虎のマスクを被っている
幼児用のマスクなんて、よくあったな
シスター・イーディは
マスクを付けて興奮したのか、シャドー・ボクシングを始めている
マルゴさんが、落ち着くようにイーディに英語で話し掛けている
えっと、警察のゾーンにはうちのボスが居ますんでみなさんは、絶対に口を開かないで下さいそれから、指紋とか残さないように髪の毛とかも注意して下さいあいつら、こっそりサンプルを採るのを狙っていますから
何なんだ、警察って
それじゃあ、ご案内しますんで付いて来て下さい
トニーさんは、三角の旗を持って先頭に立つ
その旗には虎の穴ご一行様と書かれていた
エレベーターホールまで、虎のマスクに黒マントの一団でゾロゾロと行く
トニーさんの旗に続いて恭子さん、ミナホ姉さん、マルゴさん、克子姉、渚、真緒ちゃん、寧さん、シスター・イーディ、オレ、マナ、メグ、麗華、そして雪乃
13人の虎マスクが続く
シュールだ
一人だけブラックタイガーだし
そんでは、エレベーター2機で下に降ります地下2階です地下の駐車場から出ますからあ、エレベーターは、こっちで制御してますんでノンストップで降ります途中の階で停まることはありません
トニーさんが、そう説明する
うん誰とも顔を合わせずに降りられるのは助かる
トニーさんが、エレベーター前のカメラに手を振ると
エレベーターが2機、同時に扉を開いた
ああ本部にノーマさんが居て、全てコントロールしているんだな
はい、乗って下さぁい
オレたちは、エレベーターに乗る
年長組と年少組に別れて
もっとも、真緒ちゃんとシスター・イーディは年長組の方だ
代わりに、寧さんと麗華がオレたちの方のエレベーターに乗った
麗華は、一応、オレたちの護衛のつもりなんだろう
エレベーターのボタンは、改めて押さなくても、もう地下2階のところが光っていた
何か、ドキドキするねっ
虎マスクの寧さんが、楽しそうに言った
いや、オレも虎マスクだけど
馬鹿みたいよこんなの、本当に馬鹿みたい
雪乃黒い虎のお前が、一番馬鹿みたいだぞ
地下2階に到着ドアが開く
工藤父が、待っていた
おっし、全員居るな行くぞ
先頭がトニーさんから工藤父に変更
15人の大集団になってゾロゾロとエレベーターホールを出る
地下2階の駐車場には、明らかに警察関係者と判る人たちが居た
おい、工藤何なんだ、その集団は
ちょっと高圧的な四十過ぎの灰色のスーツのオッサンが、工藤父に声を掛ける
見りゃわかるだろザ・タイガースだよ
大阪かデトロイトか
そのタイガースじゃねえ
工藤父は、ニヤッと笑う
こいつがジュリーで、こいつがサリー、こいつはトッポで、こいつがタロー、こいつはピー残りは全員、キシベ・シローだ
全員
ああ全員、キシベ・シローだ
刑事らしい男もハハっと笑う
でこいつらを引率しているお前は何なんだウチダ・ユウヤか
タイガースの引率だワタナベ・ミサに決まっているだろ
クックックと笑い合う二人
中年男2人の会話は、わけが判らない