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そういう人だったからこそ生前の寺山氏を知っている人からは、悪口が出て来ないのだと思います

さて今度は母が入院しました

元から、ぜんそく持ちなので

いやはや今年は大変です

では仕事に行きます

348.ブルー&ブロンド

あ、待ってその前に、今、お掃除したから手を洗いに行こうっ

寧さんは、元気に立ち上がる

ほらっ早くおいでっ

二人で洗面所に向かう

あ、ここの鏡も全然磨いていないでしょ曇っているよ

ええっと家の鏡なんて、顔が映ればいいと思っていた

確かに、鏡の端の方は長年の汚れで曇っている

ケイ雑巾とかある

えっとこれとか

オレは、洗面所の脇にあった雑巾を取るが

そんなの汚すぎてもう雑巾じゃないよっ捨てなさいっての

確かにもう真っ黒だし、ずっと干したまんまでパリッパリッに固まっているし、埃が積もっている

じゃあ、取って来ますオレが使っていいタオルって、決まっているんで

そういうのは、もういいからっ一番手近にあるタオルは

オレは洗面所内を見渡す

あ親父のタオルだよな、あれ

あるじゃない

寧さんは、そのタオルを取り上げた

いや、それはあの親父のだから

失踪した人のタオルのことなんて、心配しなくて良いのっ

寧さんは、そのタオルを蛇口の水で濡らし

絞って、鏡を拭く

どうせ、鏡とかガラスとかを磨く用のスプレーなんて無いよね

あ、ここに何かありますけれど

洗面台の下に、幾つか洗剤類が並んでいる

ガラス磨きもあった様な

全部埃被っているじゃないいつからそこにあるの

オレが小学校低学年の頃には、もうここに並んで居たような記憶が

うちでガラス掃除用のスプレーを買って来てくれる人なんて

バァちゃんしか考えられないもんな

この家の生活感は、バァちゃんの死とともに停まっている

そうだと思った

もう、いいよ力入れて、ゴシゴシ拭くから

あ、オレも手伝います

鏡を濡れタオルで拭く寧さんの手にオレは、自分の手を重ねる

うんケイ、力を込めてねいっくよおっ

ゴシゴシ

キュキュキュ

タオルの面を変えて、何度も拭いていく

年々も掛けて張り付いた汚れが消えて行く

ほらっ、鏡は綺麗な方が気持ちいいでしょ

うんピカピカの鏡の中に寧さんの明るい顔が映っている

さあ、手を洗おうっ

ね、このボロボロの何年前のセッケン

洗面所のセッケンはちびたのが幾つも合体して、へなっと萎びていた

あ済みません普段は、洗面所で手を洗う習慣とか無いから

オレは洗面所から風呂場に入って、セッケンを取ってくる

こっちのセッケンは大丈夫

ダメだよ、ケイ外から帰ってきたら、必ずセッケンで手を洗いなさいお姉ちゃんと、約束だからねっ

どうしたの、ケイ

いや昔、バァちゃんにも、ここで同じことを言われたなって思って

オレにとっての家族はバァちゃんだけだったんだな

親父も母親も血は繋がっていても、家族じゃなかったんだ

当たり前よ家族なら、そう言ってくれるものよあたしも死んだママに、よく言われたわ子供の頃に

寧さんは、ニコッと笑ってそう言った

さあ、手を出しなさいお姉ちゃんが洗ってあげるからちゃんと清潔にしていないと、女の子にもてないわよっ

寧さんが洗ってくれる

寧さんは、まず自分の濡らした手の中でセッケンを滑らせてシャボンを作る

それからオレの手を取って

長くて白い指がオレの手を洗っていく

ゾクゾクする

はい、指と指の間も綺麗にしましょうね

寧さんの指がオレの指の谷間を擦っていく

女の人に手を洗って貰うことって、こんなにエッチなことだったんだ

オレのすぐ横にいる寧さん

その美しい横顔

首筋に汗の玉が浮いている

大きな胸もこの角度からだと、形がはっきり判る

はーい、流しまーすっ

寧さんが泡だらけの手で、蛇口を捻り

流れ出した水にオレの手を浸す

水の冷たさにヒヤッとする

寧さんの手がオレの手の泡を丁寧に洗い落としていく

うん綺麗綺麗になったっ

お、お姉ちゃん

オレは、思わず寧さんを抱き締めてしまう

どうしたの興奮しちゃった

うふふ見て鏡の中で、ケイがあたしを抱き締めている

オレは鏡を見る

鏡の中の寧さんとオレ

あたし、ケイにキスしちゃおっ

寧さんが鏡を見たままオレの唇に自分の唇を重ねる

ぷっくりとした柔らかい唇

寧さんにキスされているオレをオレと寧さんが、見ている

ケイはあたしに全然似ていないねっ

そこがいいんだけれどねっ

どういう意味だ

あたしはケイちゃんのことが、怖かったんだと思う

あたしとケイちゃんは双子で同じ顔をしていたから

鏡の中の寧さんが、オレを抱き締めたまま言った

なのに、ケイちゃんは男の子でしかも、心が綺麗すぎたケイちゃんは、とっても敬虔なクリスチャンだったし優しい子だったから

そういう人がシザーリオ・ヴァイオラに陵辱され続けた

でも、あたしはあたしは、本当は悪い子なんだよねっ悪いことがしたくて、仕方がないの

そうだよあたしの本質は黒い森に来てから、先生や恭子さんが暴き出してくれたんだと思うあたしは、本質的にはとっても悪い子でしかも、悪いことをしてもいい悪いことをするのは、楽しいことなんだって

金髪で青いコンタクトの不良少女

マルゴさんと二人で、夜な夜な不良やチンピラを狩り続けた

ケイちゃんと一緒の頃はあたしも、ケイちゃんみたいにならないといけないって思っていたからケイちゃんの清らかさが、眼に眩しくてケイちゃんに、嫌われたくなくて

鏡越しに寧さんは、話し続ける

でも、あたしはケイちゃんじゃないんだね

ギュッと力を込めてオレを抱き締める

ケイちゃんみたいにならなくていいんだあたしは

お姉ちゃんはお姉ちゃんの好きに生きればいいんだよ

いいのあたし、本当に悪い子でいいのかな

今更だよオレたち犯罪組織の人間じゃないか

オレにはもう、覚悟はできている

この人と、生きていくことに

あたし、悪い子で悪い子で、本当に悪い子だからケイにきっと、たくさん迷惑掛けると思うよ

全然オッケーだよ大好きなお姉ちゃんと、ずっと一緒にいられるのなら

寧さんは、もう一度オレにキスをする

これからは、ずっと笑って過ごそうね楽しいことをいっぱいしよう

当たり前じゃんか

あはどうしたんだろ、あたし

いいんだよね、あたしケイにはあたしを何もかもさらけ出していいんだよねっ

何でも、ドンときやがれだよっ

ね、あたしコンタクト外すね