そう言って、関さんはオレたちに微笑む
オレは、礼を言って控え室のドアをノックする
みすずの声だ
オレだ
ギイとドアが開く
現れたのは、美智だった
お待ちしておりました、ご主人様マルゴお姉様も、寧お姉様もよく来て下さいました
ぺこりと頭を下げる美智
どうぞ中へお入り下さい
青山葬祭場は、大学時代の友人のお父様が著名な方だったので
お葬式に行ったことがありますが
さすがに控え室とかは知らないので
自分の祖父母の時の、別の地方の葬祭場を元に書いています
あんまり気にしないで下さい
お通夜なのに、会場入りが早過ぎる気もしますが
まあ、昼頃には親族は準備に入りますから
特殊なケースなので、遺体もすでに葬祭場にあると言うことにして下さい
354.第一次正妻戦争
控え室の中は、和室になっていて、襖で手前と奥に区切られていた
その入り口側に、みすずが居る
来たぞ、みすず
お待ちしておりました、旦那様わざわざ、申し訳ございません
畳に正座をして、三つ指を付いてスッと頭を下げる
マルゴお姉様、寧お姉様もありがとうございます
今日のみすずはいつもの制服姿ではなく、黒い喪服のワンピースを着ていた
美智の方は、制服なのに
今日は、あたし、あんまり目立ってはいけないと思いましたので
オレの視線を感じて、みすずはそう答える
今日は、瑠璃子の父親の葬儀だ
親族席に同じ制服を着た瑠璃子とみすずが並ぶとまるで、姉妹みたいに見えてしまう
だから、みすずの方が普通の喪服を着て、自分は他の親族の参列者の中に埋没しようという考えらしい
どうぞ、皆様お上がり下さい
オレたちは靴を脱いで、和室に上がる
あたしたちも様子を見に来たから、みすず
畳に上がった寧が、みすずを呼び捨てにする
それを聞いて、みすずはハッとする
寧の変化に気付いたらしい
寧はまだ、オレの手をギュッと握っているオレに身を寄せている
美智は、ドアの前に立ったまま何も言わずにオレたちをジッと見ていた
マルゴさんは、おかしな緊迫感の漂う空間に苦笑している
それで瑠璃子は
みすずの差し出してくれた座布団に座りながらオレは取りあえず、瑠璃子の様子を尋ねる
奥に、美子さんと一緒におりますすっかり、塞ぎ込んでしまって
そうか襖の向こうに居るのか
心配だな
無理に呼び出すのはよくないなちょっと、待とう
先に、話しておかないといけないことを
美智お前、これからすぐマルゴさんにお医者さんに連れて行って貰え女医さんが診てくれることになっているから
ええ、あたしも初めての時に診ていただいたわ池田先生は、とっても良い方よ
みすずも、美智に言う
しかし、わたくしにはみすず様の警護の仕事があります
美智は、何か妙に緊張している
お通夜は、夕方からだろう今は、まだお昼ぎ過ぎださっと行って、診て貰って、戻ってくればいい
ああ、あたしが車で送るよ
オレの言葉に、マルゴさんがそう付け足す
わたくし、このまま妊娠してはいけませんか
美智は、オレにそう言う
美智はまだ中学3年だろ
出産する頃には、高校生になっておりますっ
ならないよ今すぐ妊娠したら、出産は3月だから
美智の言葉に、寧さんが答える
どっちにしても早過ぎるよオレが許可するまでは、妊娠は許さないからな
ちょっと強めに言ってみる
昨夜は、もっと聞き分けが良かったのにどうしたんだろう
そうそうヨッちゃんのオッケーが出るまではダメだからね美智
寧さんをジロッと美智は見る
オレにベッタリくっついている寧さんに脅威を感じているんだ
判りましたでは、お医者様に診ていただき避妊処置をしていただきます
美智は、暗い顔で答える
それだけじゃないぞ美智
オレは、立ち上がる
あれ寧が手を離してくれない
姉さんちょっと離して
あ、ごめーんっ
みんなの前では、ヨッちゃんと姉さんそういう設定だったうん
オレは、そのまま美智の方へ行く
美智こっちに来い
美智は、靴脱ぎの縁に居るオレの前へ
オレは、膝立ちになって、美智を迎える
美智お前、あの後、身体の具合はどうだ
すこぶる元気でございます
でも、診て貰わないとダメだお前は我慢強いし、痛みにも耐えられるがそれで、身体を悪くしてしまうこともある
オレは、そのまま美智の小さなお腹を触る
お前の身体は、一生大切にしたいんだちゃんと処女膜は綺麗に破れたのか、膣の中が傷ついたりしていないか、きちんと診て貰え
お前の身体が心配なんだ大切にしろ美智の身体は、もう美智一人のものじゃないからな
美智が、身体を震わせる
はいわたくしの身体は、全てご主人様のものです
そうじゃないオレだけじゃないんだよ
美智が、えという顔で、オレを見る
美智の身体は将来のオレたちの子供にとっても大切なものだろう
オレは美智を抱き寄せその可愛いお腹を撫でてやる
オレだって美智には、オレの赤ちゃんを産んで欲しいでも、それは今すぐじゃない今はまだ早い
早くはございません美智の身体は、もう大人です
処女を失い、女になったばかりの美智は、そう言うが
身体だけじゃない心もだそれから、知識も知恵もいる美智、ゆっくりでいいから、ママになるための準備をしろお前の中に、たくさん積み重ねるんだ
ママになるための準備
そうだオレは、オレの両親は、親になる準備をしないまま、オレを産んでしまったんだと思う
さっきまで寧といたオレの家が、フラッシュ・バックする
多分オレの死んだバァちゃんは、親になるための積み重ねがしっかりできていた人なんだと思うそういうバァちゃんに、幼い頃育てられたからオレは、おかしくならないで生きてこられたんだと思うんだ
それはわたくしにも、覚えがありますわたくしも、祖父母に育てられましたからそれに
美智が、悲しそうな眼でオレを見る
わたくしの両親も親になるための積み重ねが足りないまま、子供を産んでしまった人間だと思いますから
美智の両親はできちゃった結婚だっけ
それで工藤父は、工藤流の修行途中だというのに、裏稼業を始めるしかなかった
その上、次々と子供を作り
一番年下の美智は、祖父母に預けるしかなかった
そうですね、わたくしと同じ様な悲しみを、ご主人様の赤ちゃんに味わせてはいけませんね
わたくしは母のような女には、なりたくありませんから
美智の母はいい年をして、夫以外の男と不倫をし