Выбрать главу

オレには、そんな風にしか言えない

父のことは仕方ございません

瑠璃子はうつむいて、そう答えた

香月の家を守るためにはお祖父様のご選択は正しいと思います家やお祖父様に対して、裏切る同然の行為を働いていたのは父ですから

シザーリオ・ヴァイオラを使っての、兄の暗殺

香月昇や角田の父を配下にして、香月グループの中でも色々と画策していた

香月セキュリティ・サービスの中におかしな連中を紛れ込ませていたのも、瑠璃子の父だ

それにわたくしは、子供の頃から父とはそんなに接してきておりませんからわたくしが日常の生活を共にしてきたのは、美子でございます

ジッちゃんはずっと、次男の野心に気付いていた

だから、孫娘たちは自分が直接教育すると言って、親から引き離した

みすずお姉様は、ご両親と一緒の家に住んでおられますがわたくしは美子と、お祖父様のおられる本家の屋敷で暮らして参りました

そこまでして、ジッちゃんは瑠璃子に香月重秋が接触しないようにしていたのか

ですからわたくし、父が亡くなったことについては、あまりショックではないのですあの方は、わたくしの生物学上の父ですが個人的な思い出は、ほとんどございませんから自分の父親でありながら、何だかとても遠くの存在に感じて参りました

たまに父に会って、話をしても父とは感覚が合わないんです言葉が噛み合わないというか、心が合わないというか父が本当はどういうつもりで話をしているのかお顔の裏に、どんな感情が隠されているのか少しも判らないんですただただ、あの人の品の無さが気持ち悪く感じられて

瑠璃子と父親の関係は完全に破綻していた

さっき襖越しに、お兄様と美智さんのお話を聞いておりました

えっとどの話だ

今すぐセックスするとか、しないとかかロクでもないことしか話していないと思うんだけれど

わたくしの父も人の親になる準備のできていない方だったと思います

ああその話か

そして昨夜、父の本性をまざまざと見せられて改めて、情けない方だったと思います父の死は、自業自得です香月グループを混乱させ結果的に、お祖父様に、司馬さんや多くの方たちの前での処刑を選択するしかない無い状況に追い込んだのも、父自身です

香月重秋は昨夜、羽田空港で、司馬沖達氏を襲わせた

次代の香月グループのトップになりそうな、司馬氏を暗殺するつもりだったんだ

香月重秋の方から先に仕掛けた以上ジッちゃんとしたら、司馬氏の眼の前で重秋を殺さなければ、グループの長として示しが付かない

ジッちゃんも辛かったろうと思う

わたくしはあんな男の娘なのですね

ぽつりと瑠璃子が呟く

わたくしは父とは違う人間です父とは離れて暮らしてきましたし父の生き方、考え方に何一つ影響されてはおりません

なのにわたくしは、自分の中に流れる父の血を強く感じるのです

父は謀略好きで、人を陥れることばかり考えていてそういう人だったと思いますそして、わたくしも人をどう動かすか、自分の言動がどう人に影響を与えるかいつも、そんなことばかり考えている心の醜い女です

瑠璃子は自分の心の中に、父に似た部分を感じている

ですから、わたくしは怖いんですこのままでは、わたくしきっと皆様に害を与えますみすずお姉様や、美子お兄様や、黒森家の皆様にもきっと

瑠璃子は、ブルッと身を震わせる

わたくしが原因で香月家の中に乱を起こすわけには参りませんでも、わたくしの中の血が心の醜さが皆様に迷惑を掛けるのではないかと瑠璃子は、それが恐ろしいのです

瑠璃子はそんなに、いつも頭の中で画策しているのか

はいわたくしは、いつもほとんど他人に本心を語りません何をどう話せば、相手が自分にとって有利に動くかそんなことばかりを考えています

確かに瑠璃子の言動は、いつもつかみ所が無い

そうかあれは、本心を語らず

常に相手の言動に対して、相対的に反応しているからか

じゃあオレたちの家族になってくれるって約束したのは嘘だったのか

いいえそれは、そうした方が香月家にとっても、わたくし自身にとっても良いことだろうと判断したからですその決意は、今も変わりませんただ

瑠璃子は、オレを見る

何でもかんでも利だけを見て、行動する自分が情けないのです

ああこの子は

まだ、心からオレたちの家族になっていない

いや瑠璃子は、まだ一人ぼっちなんだ

世の中に、自分と他人しかいない

だから自分にとっての利だけで、反応する

相手との相対的な関係だけに注目し、場の状況を見て発言する

そういう子なんだ

わたくし、今後、自分がどう生きていくべきなのかこのままでいいのか、それが判らなくて恐ろしいのです

このままではいずれ、みすずお姉様との間で後継者争いを引き起こすことになりますわたくしが望まぬともわたくしを担ぎ上げようとする人々は、次々に現れるでしょうし、わたくし自身も権力闘争を楽しみだすかもしれません

瑠璃子の言葉は、止まらない

そういう邪な心がわたくしにはありますわたくし自身の時には抑えきれるかもしれませんが子供の代になったらわたくしは自分の子供を当主にするために、みすずお姉様のお子様に酷い仕打ちをするかもしれません

瑠璃子はまだやってもいない自分の罪を恐れている

瑠璃子は瑠璃子なんだお父さんとは違うんだぞ

でもわたくしの血は

瑠璃子は、ジッと手を見る

わたくしの中には、そういう汚い血が流れているんですお父様の

瞬間寧が叫んだ

そんなもの無いってーのっ

瑠璃子が寧を見る

邪な血バッカじゃないの、あんた

あなたにはお判りにならないのです

瑠璃子が反発する

ああ、判らないよねっあんたみたいな夢の世界に居るお姫様の夢の話には付き合ってらんないよっ

遅刻しそうなので、もう行きます

355.ざ・らいばる

血が何だって言うんならあんたの家は、お祖父さんの段階から陰謀・裏工作大好きっ子じゃないっ

そうだ、寧の言うとおりだ

香月重秋が、どれだけ邪な計画を遂行していたとしても

ジッちゃんには敵わないいや、敵わなかった

全てにおいて、香月重秋の上を行き司馬沖達氏は助かったし、重役会の中の裏切り者も炙り出した

陰謀家としてはジッちゃんの方が、遙かに上だ

確かに、おっしゃる通りですそういうお祖父様がいらしたから、父の様な人間が生まれ、また、わたくしにもその血が引き継がれているのです

瑠璃子は、そう答える

そうじゃないってのっこのバカ娘っ

寧が、激しく瑠璃子を叱りつける

お父さんとかお祖父さんのせいにするんじゃないわよっ単純に、あんた自身が悪巧みが大好きってだけでしょ血がどうのって話じゃないわよっあんた自身の問題じゃないっ