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オレの方には振り向かない

憎んでも、憎んでも憎しみ抜いても

父には黒森公一郎には、苦しませて殺す以上の復讐はできないんですもの

だって黒森公一郎には、愛する家族がいないんだから

愛されるべき家族であったはずのあたしたちは

とっくの昔に、父によって、粉々に打ち砕かれていたんだから

ミナホ姉さんが、細かく肩を揺らしている

だから苦しんで、苦しんで死ねばいいのよあの人なんて

実の父親が自分の家族をメチャクチャにした

その父親の家族に復讐は出来ない

ミナホ姉さんの中で、憎しみと怒りがループする

ミナホ姉さんの憎しみは、愛すべき家族娘をもった白坂創介に、より深く突き込まれた

雪乃たちに

ミナホ姉さんはぽろぽろと涙を零す

自分の呪いの言葉が、自分自身を打ち叩く

そんな風に見えた

オレは、背中からミナホ姉さんを抱き締めた

どうして、あんな男があたしの父親だったのよどうして、あたしたち、あんな男に苦しめられなければならなかったのよ

人は誰も親を選べない

ミナホ姉さんの父、黒森公一郎のことはここまで徹底的に隠してきました

白坂創介は、自分勝手な馬鹿で娼婦たちを悲劇に突き落とした首謀者ですが

彼にそうすることを許した黒森公一郎は、同じくらい罪深い人物です

そういう親を持ってしまったこと親に身体も心も徹底的に犯されたと言うことが、御名穂のコンプレックスの原点です

さて、吉田くんは彼女をどう救うのか

物語は、佳境に入ります

今日は、朝から父の検査と検診に付き添って、大学病院まで行ってきました

術後の状態を見る検査と検診ですね

まあ、大動脈瘤破裂で手術は50パーセントの生還率

手術後も、当初は、このまま寝たきりになるのは避けられないと言われていましたから

自分の足で、歩いて病院まで行けるだけで幸せなんだと思います

ボケは治りませんが

結局、ヒゲ剃りは行方不明のままなので今日、新しいのを買ってあげました

付き添いも、しばらくは誰かがやらないとマズイみたいです

黒森公一郎は、お屋敷の地下で薬で植物人間にされているという設定は、父が倒れる前から決めていたのですが

今となっては、何かとても心苦しいです

361.傷

あたし恐ろしい女でしょ実の父を廃人にしたのよ

力なくミナホ姉さんは呟く

恐ろしくなんかないよ

そんなはずないわ

ミナホ姉さんは、オレの方を見ない

じっと自分が手を掛けた父の眠る部屋の中を覗き込んでいる

自分の罪を見据えている

だってミナホ姉さんは、オレの姉さんだもの

一生ずっと永遠に姉さんは、姉さんなんだから

ミナホ姉さんの罪は、オレの罪だオレも一緒に背負っていくよ

ミナホ姉さんが、ゆっくりとオレを見る

オレには家族が必要なんだその家族の家長がミナホ姉さんだろだから

家族を必要としていたのは、あたしの方よ

オレの言葉を、ミナホ姉さんは遮る

だから、あたし克子や渚を、ただの娼婦として扱うことができなかったのよマルゴや寧を、拾って来てしまった恵美が、白坂創介の餌食になるのを見過ごせなかったしあなただって

みんな、家族にしてくれたんだろ

違うわあたしは、自分自身のために自分が寂しいから、そうしただけよあたしの自分勝手なエゴで憐れみでも、優しさでもないわあたしはあたしのために、あなたたちに近付いたのよ

ミナホ姉さんは、思いを吐露する

だから別にいいじゃないかミナホ姉さんが手を差し出してくれたおかげで、みんな、最悪の状態にはならなかったんだからオレたちは、みんな、ミナホ姉さんに感謝しているよ

あたしは人に感謝されるような人間ではないわあたしは心の薄汚い女よ酷い人間なんだから

でも、姉さんだオレの

オレはミナホ姉さんを、抱き締める

オレは、死んだってミナホ姉さんの弟であることを、やめないからね

ミナホ姉さんの身体は本当に細い

12歳で娼婦にさせられ無理な妊娠中絶手術を受けさせられた

二度とセックスのできなくなった肉体

順調な第二次性徴を遂げることの出来なかった少女は針金のように細く、痩せた女になるしかなかった

姉さん

強く抱き締めたら砕けて粉々になってしまいそうだ

いいのね本当に、こんなあたしの家族のままで、いてくれるのね

耳元で、ミナホ姉さんが囁くように言う

オレはもう、ミナホ姉さんの家族になったんだ家族は、一度なったら辞められないよそうだろ

ミナホ姉さんは、再び、実父の部屋を見る

あの人はあたしの生物学上の父親だけれど家族じゃないわあたしは、あの人を家族と感じたことは一度も無いわ

オレだってそうだよオレの家に居た家族は、死んだバァちゃんだけで親父も母親も、オレの家族にはならなかったんだと思う血が繋がっているとかだけじゃ、ダメなんだよ家族ってのはもっと大切なものだから

そうかもね

そこへオレたちの後ろから、声を掛ける人物が現れる

お嬢様香月セキュリティ・サービスの担当者と打ち合わせ致しました

年老いた男性の声

振り向くと黒い背広を着た、森下さんが立っていた

黒森楼時代からの娼館の番頭さん

白坂創介に追放されていたのを、ミナホ姉さんが連れ戻したという

あ、こんにちわ

オレは、慌てて挨拶する

このお屋敷に来た初日以来森下さんには会っていない

その時は、このお屋敷の執事さんかと思っていたから

ちゃんと、話をするのはこれが初めてだ

いや優花さんたちが来て、雪乃の妊娠パーティとかをした時にも、会っているな

でも、とにかくお屋敷の中では、ほとんど姿を見ていない

すみませんあのオレは

ご安心下さいわたくしは、全て、存じ上げております

森下老人は、やんわりとそう言った

わたくしも監視カメラの映像は、観ております

そうかこの人も、元祖黒い森だもんな

オレの雪乃レイプ以来の行動は、全て観られているんだ

御名穂お嬢様の弟君になられたのですねよろしく、お願い致します

いや、あの、こちらこそお願いします

オレは、森下老人に頭を下げる

森下はずっと、お父様のお世話をしていてくれたのよ

ここに、昏睡状態の黒森公一郎が居たから

この部屋ならアニエスと一緒に様子を看ることができるからあたしや克子は、どうしてもずっとお屋敷に居ることはできない状況だったから

普段はアニエスの食事などの世話は、克子姉が担当しているんだっけ

でも、この数日はどうしても、お屋敷を出て活動するしかない状況が続いたから

黒い森は、元々、人手不足だし克子姉は、とても有能な女性だ