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オレはミナホ姉さんの父親が監禁されていた部屋のドアを見る

大丈夫よもう運び出した後だから

薬で廃人になった黒森公一郎はもう、ここにはいない

それでも、その部屋の中には黒い怨念が残っているような気がした

さてとそれでは突入するよ

恭子さんの言葉に克子姉が、アニエスの部屋の鍵を開けようとする

あ待って、このまま普通にゾロゾロ入り込むのは、面白くないね

あたしに良い考えがあるんだけれど

ヌフフと、恭子さんは微笑む

みんなで歌を歌いながら、登場しまーすっ

歌

ミュージカル形式でね

みゅじかる

誰か恭子さんを止めてくれ

オッケーかいみんな、歌詞の確認と、自分が何番目か、覚えたねっ

恭子さんがオレたち一堂を睨む

あのっ恭子さんこの歌じゃなくて、普通にHappy Birthday to Youの歌とか歌いながら入って行くとかじゃダメなんですか

寧が困惑顔で言う

ダメだよっ

な、何でですっ

こういうタイミングで、Happy Birthday to Youとかって、ありがちじゃないか意外性が無いよっそれに

Happy Birthday to Youの歌は、まだ著作権が切れていないんだよ

えそうなのか

いや、恭子さんアメリカでは確かに、著作権保護期間が延長されたので、あの歌は2030年まで権利切れにならないんですけれどここは、日本ですから

マルゴさんが、説明する

2007年で、著作権は切れています

そんじゃあさっ、Happy Birthday to Youでいいじゃんかっ

と、寧は歌の変更を強く要請する

ダメダメやっぱり、ここは初志貫徹でしょうあたしのプランで決行しますっいいじゃんか、ちょうどぴったりの人数なんだしさ

恭子さんは、うひうひ笑っている

こうなったらダメだよ、キョーコは絶対に、自分の計画を曲げないからあんたたちも、この人の性格はよく判っているだろ

ミス・コーデリアが、オレたちに言う

しかしこの歌、あたしにはシャレにならないんですけれど

マルゴさんが、ギッと師匠を見る

そう言えば確かに

そんなの気にしない、気にしないっただの童謡じゃないのっ

恭子さんは、ガハハと豪快に笑った

ほらっみんな準備して、リハーサルは無しだからねっ

覗き穴から部屋の中のアニエスの位置を確認する、恭子さん

うんアニエスはやっぱり、奥のベッドにいるねということだからみんな、扉を開けたら、順番にアニエスの前まで行くんだよ

オレも、中の様子を確認する

扉から5メートルぐらいは、早足で進まないといけないな

最終確認するよONEがあたしTWOがマルゴTHREEが少年FOURが克子、FIVEが寧、SIXが恵美ちゃんSEVENがコーデリア、EIGHTがイーニー、NINEがミーニー、TENがあたしの肩に乗っかってる小猿だけれど、この子は多分歌わないから全員でいいわねっ

あたしもう覚悟を決めたわ

克子姉が、力なくそう呟いた

よっしいっくよーっ

恭子さんが扉の鍵をガチャリと開ける

部屋の奥に居るアニエスは、ビクッと身構えているだろう

鉄のドアを恭子さんは、開く

デデデデンッあっ、それデデデデンッあっそれ

変な合いの手を入れながら恭子さんが、ツツツと部屋の中に入っていく

肩には、イーディを担いだまんまだ

アニエスのベッドの正面へ立ってニッと笑って、ポーズを取る

よし、スタートだ

オレはマルゴさんと、カーペットを持ったまま、内部に突入する

このタイミング出ないと歌に合わない

恭子さんが大きな声で歌い出す

♫One little,

慌てて、マルゴさんが

♫two little,

オレも続けて、

♫hree little

3人で、

♫Indians

続いて、克子姉、寧、メグの3人が飛び込んで来て

♫Four little, five little, six little Indians

ミス・コーデリアとイーニー、ムーニーは、ゆっくりワゴンを押しながら

♫Seven little, eight little, nine little Indians

最後に、恭子さんがイーディーを高く掲げて全員で

♫Ten little Indian boys

そして、思い思いにポーズ

何じゃこりゃあ

確かに10人居るけれど

実際には、マルゴさん以外インディアンじゃないし

オレ以外、ボーイでもない

タハッ、決まったねっ

嬉しそうに、恭子さんは笑う

オレは改めて、ベッドに腰掛けていたアニエスを見る

アニエスは

眼をまんまるにして、驚いている

突然、歌いながら現れたこの集団は余りにも異様すぎる

はい、侵入成功フロア内を制圧マルゴと少年、アニエスの正面にカーペットを敷いて

オレはマルゴさんと、指示された位置に運んで来たカーペットを敷く

この絨毯、拡げてみると大きいな10畳ぐらいか

克子、適当にランチョンマットとかを敷いて寧と恵美ちゃんは、適当にクッションを並べて

恭子さん、あたし足りない分のクッション取ってくるからっ

寧が、そう言うと

今はいいよっドタバタ出入りすると、その度にアニエスが緊張するからあ、ドアは開け放しにしておいてドアが解放されていることを、アニエスに見えるようにしてコーデリアとマルゴ、だからと言って、この小猿が逃げ出さないように監視しておいてね

アニエスには扉の世界があることを示してやる必要がある

しかし、そこからイーディが逃げ出してドタバタするのは許してはいけない

はい、みんな適当に座って克子、料理の覆いを取って美味しそうな匂いが部屋に充満するようにするんだよっ

はい、恭子さんちょっと温め直しますね

ワゴンの一台には、克子姉の作ってくれたシチューの大鍋が乗せられている

そこのコンセントにコードを繋いでこのワゴン、IHヒーターになっているのよ

オレは言われるまま、ワゴンのコードを壁のコンセントに差し込む

克子姉が、加熱のスイッチを入れ大鍋の蓋を取って、大きなお玉で掻き混ぜる

シチューの良い匂いが、ぷーんと漂う

じゅるり

ぐーっ

唾を飲み込む音と、お腹の鳴る音が同時にした

どっちも、イーディからだった

ミス・イーディさっき、クッキー食ってたじゃないか

こっちは、あたしたちの作ったタコスよ

二つ目のワゴンの上の、大きな丸い金属の覆いをミス・コーデリアが外した

うん、大皿に何やらいっぱい乗っている

これは、あたしと恵美ちゃんで作ったサラダねタコス用のトルティーヤが余っているから、挟んで食べても美味しいわよ

三つ目のワゴンの覆いを開けて、恭子さんが言った

ワゴンの下の方から、克子姉がシチュー皿やスプーンを取り出す

克子いいかい、アニエスにはっきりと見せるんだ

みんな同じ鍋から掬ったシチューを配る様子をきっちりと全員が、同じものを食べるってことを、この子に理解させるんだ