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アニエスは、自分用に盛りつけられている料理しか見たことが無い

他のみんなが同じ鍋の同じシチューを食べているということが判れば

アニエスだって、一緒に食事してくれるかもしれない

今はまだ

警戒心たっぷりの眼で、オレたちを見ている

いつでも、ベッドの後ろへ逃げられるように身体を固くして

はい、シチューのお皿、廻して

克子姉がお皿に取ってくれたシチューを一人一人に手渡していく

アニエスにとって、現在の食事係は克子姉だ

匂いから、これが食べ物だってことは判っているだろう

克子姉が食べ物を配っているということは、アニエスのイメージを刺激するはずだ

このアニエスの部屋の外でも、克子姉はみんなに食事を届ける係だという認識

外の世界のイメージが、少しでも湧き上がってくれれば

おっし、みんなお皿を持ったね

恭子さんが言う

ミス・イーディとアニエスがまだです

おおっと忘れていたよ

恭子さんが、担いでいたミス・イーディを下ろす

わざと、アニエスに近い方へ

はいイーディさん

克子姉が、ニコッと微笑んでイーディに、シチューの皿を手渡す

ビクビクしながら、受け取るイーディ

ふふふんっコーデリア

恭子さんとミス・コーデリアが何気なく、イーディに近付いて牽制する

ンカガッ

イーディは、二人の接近を嫌ってアニエスのベッドの方へ

アニエスは、ギョッとするがイーディの素早さに反応できない

そのまま、ベッドの縁から動けないでいる

イーディもアニエスに接近しすぎることを嫌う

結局アニエスのベッドから、ちょっと離れた位置に、どっしりと座る

そして気付くのだスプーンを持っていないことに

はい、今、持っていくわ

克子姉が、イーディに見える様にスプーンを取り出す

克子姉は、アニエスのためのシチューを大鍋から掬う

そして、スプーンを付けてアニエスの方へ持っていく

アニエスは、緊張してジッとこっちを見ている

克子姉は直接、アニエスにシチュー皿を手渡すことはせずに

アニエスの足下に、皿とスプーンを置いた

そのついでにイーディにスプーンを手渡す

イーデイは、さっそくシチューを食べようとするが

STAY

恭子さんが、恐ろしい形相でイーディに叫ぶ

イーディは、ビクッとして凍り付く

え、ステイって

オレの質問に、寧が応えた

犬の躾けに使う命令だよ日本語だと待てかな

ミス・イーディ小猿扱いの次は犬か

あ恭子さんの一喝に、すぐ近くのアニエスも固まっている

自分が怒られたんじゃないってことは、判っているみたいだけれど

みんなあたしは、神様ってのが本当に居るのかどうかは判らないただ、何でも神様に感謝するのは嫌だって思っている神様に感謝を捧げる前に感謝しなければいけない人間が、この世にはたくさんいるからね

恭子さんが、オレたちに言った

彼女の言葉をミス・コーデリアがドイツ語で、イーニー&ミーニーに通訳している

何よりもまず食事を作ってくれた人に感謝だよありがとう克子、ありがとうコーデリア、イーニーとミーニーも恵美ちゃんもありがとう

恭子さんだってありがとうございますっ

オレたちは、みんなそれぞれに感謝の言葉を捧げた

それではいただきますっ

恭子さんが号令する

オレたちは、シチューにスプーンを入れ口へ

うん美味しい

イーディが、食事を始めたオレたちの様子を眺めている

恭子さんが、OKを出す

イーディは、もの凄い勢いでシチューを掻っ込んだ

そんな姿を、アニエスは呆然と見ている

アニエス食べてご覧なさい、美味しいわよ

克子姉が自分もシチューを食べながら、アニエスに言った

そうか、この子は日本語は判るんだな

外見が完全に外人だからついつい、イーディと同じで言葉が通じない気がしていたけれど

うん、美味しいわよっアニエス

寧も、ニッコリと笑ってアニエスに言う

アニエスは、ジッと足下の皿を見つめている

父が倒れる前から行きたがっていましたので、上野のツタンカーメン展に連れて行きました

人混みが凄すぎて、父も私もくたびれました

多分、ツタンカーメンの呪いなんでしょうね

展示は主催のフジテレビの匂いがキツくて

訳の判らないオープニング映像とか見せられる割りには

何じゃこりゃということも

つーか

ツタンカーメン時代のエジプトの宗教問題を解説するのに

アメンホテップ4世とイクナートンと同じ人間だっていうのを説明しないとは

まあ、ミュージアムショップでツタンカーメン麺とか打っているような世界ですから

フジが絡むと、そういうノリになっちゃうんでしょうね

367.アニエスとの夕食 (その2)

あれさどうにかなんないかね

恭子さんが、天窓に近い壁の上方にある白坂創介裸像を見上げて言った

あいつの勃起チンコ見上げて、ご飯てのはちょっとね

あたしが登って、ブチ折ってこようか

ミス・コーデリアが、平然と言う

あんな高いところまで、どうやって登るのか判らないけれど

その上、あれ、一応金属製だと思うし

そんなに簡単に折れるもんじゃないと思うけれど

でも、ミス・コーデリアの体術なら、何でもやってのけそうな気もする

えー、埃とか破片が飛び散るのは困るってのっ

恭子さんは、眼の前の料理を見てそう言う

確かに、料理の上にバラバラになった破片とかが落ちてくるのは困るよな

それじゃあ、取りあえずパンツだけ履かせてくるわ

ミス・コーデリアは、余っていたランチョン・マットを一枚取り上げる

これ、借りるわね

克子姉にそう言って2人の部下にドイツ語で声を掛ける

イーニーとミーニーが、スッと立ち上がった

誰か髪留めのゴム輪とか持ってない

ミス・コーデリアの言葉にメグが

あ、あたし持ってます

ポケットから、ゴム輪を取り出す

サンキューさってと

ミス・コーデリアは、軽く屈伸して膝を回す

羽のように軽く舞うわ埃一つ散らさないからね

イーニーとミーニーが、ミス・コーデリアの指示した場所にスタンバイする

レデイセット

うわっと軽やかに助走するミス・コーデリア

イーニーとミーニーに向かって加速する

2人の直前で、軽くジャンプしたミス・コーデリアを

イーニーとミーニーは、2人掛かりで虚空に放り上げるっ

ここまでの動きにまったく音が無い

足音を立てずに走り、跳び、2人の部下も無音のまま、主人を跳ね上げるッ

ぶわぁぁっ

ミス・コーデリアもイーニーたちも、見た目を遥かに越えた恐るべき身体能力を有している