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どうぞ、お入り下さいませっ

中から、みすずの声がする

お邪魔します

オレと美智は揃って、楽屋の中へ

楽屋の中は、6畳ほどの広さがあった

鏡台が二つありそれぞれの前に、みすずと瑠璃子さんが座っていた

二人とも、すでに衣装の和服に着替えている

いらっしゃいませ

瑠璃子さんが、オレに挨拶してくれた

あ本番前に、済みません

お気になさらないで下さいまだ開場前ですしわたくしも、みすずさんも出番はずっと後です

みすず舞台稽古は

今、舞台監督さんが呼びに来て下さるのを待っているところですちょっと、全体的に時間が押しているみたいですね

間に合うのか

開場時間まで、もうそんなに残っていないけれど

最悪、明かりの調整だけで舞台で、あたしの踊りを頭から通して確認する時間は、いただけないかもしれません

そんな状態で大丈夫なのか

はい出番の遅い出演者に、しわ寄せが来るのはいつものことですから

みすずは、こういう事態に慣れているようだった

一番最後に踊られる家元先生は、いつもぶっつけ本番でいらっしゃいますし

そりゃ全員の稽古を見て、細かくチェックしているんだから

すでに相当くたびれているだろうし、自分の踊りの確認までしていられないんだろう

だけど家元先生は、踊りのプロなわけだし

どんな状況でも観客の前で問題無く踊ってみせるだけの技量はあるんだろう

それでいかがでした

みすずは、美智と工藤遙花の勝負の結果を尋ねた

うん、どうだったの、お兄ちゃん

マナも興味津々で、オレの顔を見る

みすずの横で、メグもオレに注目していた

美智が勝ったよ圧勝だ

オレの答えにマナが

やっぱりねぇ絶対、そうだって思ってたよっ

マナが、はしゃぐ

いやマナが想像している様なレベルじゃなかったぞ

もう、とんでもないレベルでの完全勝利だったんだから

それで遙花さんは、どうなさいました

瑠璃子さんが、オレに尋ねる

遙花さんはちょっと、腕を痛めたので早退しましたあの、お母さんが来てくれて

さすがに、美智が工藤遙花の腕の骨を折ったことは、言わない方がいいだろう

瑠璃子さんたちには、刺激が強すぎる

ああ、お母様も香月セキュリティ・サービスに在職なさっておられるのでしたね

美子さんが、穏やかにそう言った

はい、大事を取って病院へ向かいました4人のお友達が、付き添っていますから

正確には、その4人も美智によって病院送りになっているんだけれど詳細は述べない

それでこの後の瑠璃子さんの護衛なんだけど

オレの言葉を、瑠璃子さんと美子さんが真面目な顔で聞いていた

谷沢チーフの部下の人で、藤宮さんて人が来てくれるらしいよ

まあ、藤宮さんが

驚く瑠璃子さん

わたくしの護衛には、もったいない方ですわ

あ、何か他に今、護衛のできる女の人がいないみたいで

とにかく聞いた話をオレは話す

それなら仕方ありませんけれど何だか、申し訳ないわねえ、美子

はい、瑠璃子様

お嬢様二人が、顔を見合わせる

あの、みすず様

美智が主に言う

どうしました美智

美智がまっすぐにみすずを見上げる

しかし、緊張しているのか声が出ない

美智はオレとみすずだけを主人にして、生涯生きていく覚悟を決めたんだよ

代わりにオレが、みすずに告げる

そうあたしと旦那様だけに忠節を誓うのね

はいわたくしは、生涯をお二人に捧げます

緊張にかすれた声で美智は言った

それで香月セキュリティ・サービスからは、離れることになったんだ

香月セキュリティ・サービスに籍を置いている限り

社内での命令系統に束縛される

みすずにだけ忠誠を誓っているから、上司の命令は聞けないなんていう我が儘は許されないだろう

そうねその方がいいわね

みすずも、納得してくれた

当面は対外的には、黒森様のところに所属しているということに致します

瑠璃子さんと美子さんの前だから美智は黒い森という組織名を避けた

みすずは、嬉しそうに微笑む

よく決心してくれましたあなたのことは、あたしと旦那様がずっと可愛がってあげますからね

家族や香月セキュリティ・サービスから切り離された、自由な美智を手に入れたことにみすずは、心から満足しているようだった

そのことなのですがみすず様

美智がみすずを見上げる

実はわたくしは、先程、ご主人様のお言いつけを守らないという失態を犯してしまいました

そんなことあったっけ

ご主人様ってヨシくんのこと

メグが、美智の変化に驚く

はい、わたくしにとってのご主人様でございますから

美智どういう失態をしたのか、詳しく説明しなさい

みすずは、ご主人様という言葉に関する話を断ち切る

メグが、美智に対して変な嫉妬心を起こさないか、気にしているのだろう

みすずの問いに、美智は

はいご主人様はわたくしに、姉を殺すつもりで闘えと叱咤激励して下さいましたがわたくしは、つい殺せと命じられたものと勘違いしてしまいました

そんなことも、あったような

幸い敵の喉笛を断ち切る前に、母が勝負に介入して参りましてその場で、ご主人様がわたくしの誤解を正して下さいました

いや、別に大きな問題は起こらなかったんだよ遙花さんだって、ケガはしたけれどちゃんと生きているし

慌てて、オレがそう言うと美智は

いいえご主人様の命を、曲解するなど万死に当たる過ちでございました

美智お前、何でそんなことを言い出すんだ

オレには、美智の真意が判らない

判りました美智

みすずがニヤッと笑う

つまり、あなたは旦那様に罰していただきたいのね

オレが美智を罰する

はいできましたら

美智が、オレに頭を下げた

旦那様美智にどんな罰を与えましょうか

みすずが、オレに囁いた

美智はどんな罰が、相応しいと思う

オレが返答しないので、みすずは美智自身に希望を尋ねる

お尻を

わたくしのお尻を激しく打擲して下さいませ

打擲

どういう意味の言葉だ

お尻を強く叩いて欲しいって言っているんですわ

みすずが、興奮した顔でオレに言った

昨日よりはましですがまだ体調不良のままです

されど、働かないとジッと手を見る

次話は、美智の公開お尻叩きです

226.お尻を出した子一等賞

美智のお尻を叩く

オ、オレが

美智は、旦那様にそうしていただくのを望んでいるのね

みすずが、ニッコリと微笑んだ

はい、みすず様の前で処罰されたいのです

美智が、顔を赤くしてそう言った