Выбрать главу

そうだよっあたしたちは、身も心もお兄ちゃんに捧げているんだからっ

さあ、行きましょう、ヨシくん

うん麗華、この部屋のことは頼む万が一だけど、もしも雪乃がこの部屋に来たら、捕まえておいてくれ

死なない程度に叩いちゃっていいからねっ

マナが、とんでもない付け足しをする

さて、マナを先頭にオレ、メグ、マルゴさんで1階へ上がる

マルゴさんが持って来てくれた、懐中電灯を頼りに

あ、こっちだよ

マナは、確信を持って言う

どうして判るんだ

どうしてってあたしはともかく、舞夏さんは雪乃さんと同じ家で暮らしていたから

マナは白坂舞夏であった過去を、現在の自分とは区別している

だから、判るのよあの人の生態は

生態

とにかく、こっち

マナは、スタスタと廊下を歩く

おいおい、待てよ

オレたちは、マナの後を追う

マナは、ある部屋の前で立ち止まった

うん、誰か中に居る

マルゴさんが、ドアに耳を付けて、中の気配を探っている

カウント3で、ドアを開けるから恵美ちゃんは、部屋の明かりを点けて、君たち二人は雪乃さんを包囲して、あたしは彼女が裏から逃げ出さないように外から廻り込むから

マルゴさんの指示に、オレたちは頷く

じゃあ行くよ

マルゴさんが、ドアノブを握る

3210

ドアが、バッと開かれる

オレとマナが部屋に飛び込むっ

メグが、部屋の電気を点ける

マルゴさんは部屋の外を廻り込む

ビカッ

暗かった部屋が一瞬にして、目映い光に満たされる

オレの叫びに部屋の中に居た、雪乃が驚いて振り返る

口にしゃもじを、咥えたまま

あん

お前何やっているの

白坂雪乃は真夜中の台所で

床にどっかりと座り込んで

片手で炊飯ジャーを抱き締め

しゃもじで直接

白い飯を食っていた

ちなみに、パンツ丸見えだ

口のまわりに米粒を付けている

な、何よっびっくりするじゃないっ

雪乃は米粒を吹き飛ばしながら、そう叫んだ

いやだから何やってんだよお前

そのみっとも無い姿は何なんだ

うっさいわねぇお腹空いてるんだから、仕方無いでしょっ

雪乃は炊飯器を抱き締めたまま、キレる

あんなチビッこいお菓子3本で、お腹いっぱいになるわけないでしょっ馬鹿なんじゃないのっあんたたちっ

ええーっと

こういう人なんですよこの人昔から

呆れ果てた顔でマナが言った

ストレスが溜まると、夜中の2時過ぎにお台所へ行って夜食を食べるんです

それでよく太らないよねえ雪乃

メグも呆れている

ちょっとぷっくりしてきたら、死ぬ気でダイエットしますからこの人見た目が第一って女ですから

ちょっと舞夏余所の家の人に、変なこと言わないでよっ

雪乃が喋ると米粒が飛ぶ

えっとこの部屋に居る人で、余所の人は雪乃さんだけですけれど

マナの姉を見る眼は果てしなく冷たい

それにしたって何で、ご飯だけ食べてるのよ冷蔵庫の中に、いろいろ入っているでしょ

あこの人、全く料理できないですからっ

舞夏、あんたちょっと黙んなさいって

幾ら料理ができないからって

炊飯ジャーから、しゃもじで直接飯を食うか雪乃

ふっふふふふふ

何か可笑しくなってきた

あははははあははははははは

オレは笑う

お兄ちゃん、どうしたの

いやだってあははははは、そりゃ可笑しいじゃないかあはははは

オレは爆笑する

雪乃を見て

雪乃は左手で炊飯器を抱え、右手にしゃもじ、顔は米粒だらけで、パンツ丸出しで台所の床にどっしり座っている

うはははははははっ

こんなの

笑うしかない

ちょっと何、笑っているのよっ失礼でしょ、あんた

雪乃が、ギッとオレを睨んでそう叫ぶが

その姿が、さらに可笑しい

あははははは、あはははははははっ

笑いが、止まらない

こんなに笑ったのは、いつ以来だろう

笑いすぎて、息が苦しくなってきた

涙が出て来る

ははははははははははは

オレ、高校に入学して雪乃のこと、ずっと可憐な美少女だって思ってたんだぜ

何よあたしが、可憐な美少女じゃないって言うのっ

それが可憐な美少女の格好か

ぐぅあっはははははははははっ

笑いが

笑いが止まらない

雪乃お米だけじゃ足りないでしょ何か作ってあげるわ

メグが、行った

すたすたと冷蔵庫の前へ行って中の食材を確認する

ベーコン・エッグとかでもいい

うっそ、本当に作ってくれるのっ

雪乃がまた、米粒を飛ばす

ええ、作ってあげるわよ

じゃあ、頼むわあ、玉子の黄身は潰さないでよ

大丈夫よあたし、お料理は得意だから

メグは、フライパンを取り出しコンロに火を点ける

あ、メグお姉ちゃんあたしも、手伝う

マナも料理に加わる

うわっ、美味しそっ

雪乃のためだけのベーコン・エッグが出来上がる

マナが、付け合わせのサラダを作った

あたしだけあんたたちは、食べないの

箸を持った雪乃がメグたちに尋ねる

あたしは夜に間食は絶対にしないから

あたしも

二人の言葉は冷たい

あらそっあたしは、食べたい時に食べる人なのよ食べ過ぎたら、ダイエットすればいいんだし

雪乃はありがとうもいただきますも言わずに

メグとマナの料理に、箸を付ける

あらっあんた、本当に料理できるのねっあたし、こんなの自分で作ったら、黄身はグチャグチャで、白身は真っ黒に焦がしちゃうと思うわよっ

雪乃はメグのベーコン・エッグに満足している

あたしお弁当の時は自分で作っているし、夜ご飯だって

メグが育った山峰家はご両親とも働いている

メグは、子供の頃から自分で料理を作る機会が多かったんだろう

ふーん、あんたらしいわよねっあたしは嫌よそういう生活家事なんて、お金を払って誰かにやってもらった方が全然楽だものっ

一方白坂家は、ずっとお手伝いさんを雇っていた

お母さん、料理研究家なのに

家のことは、何もやっていなかったらしい

あーあ、パパがこんなことにならなかったらあんたを、うちの家政婦に雇ってあげたのにね

意地の悪い眼で雪乃は、メグを見る

雪乃は子供の頃から、ずっと立場の弱いメグをいじめてきた

あら、そうでも、残念だけれどあなたのお父さんは、社会的に抹殺されたのよ判っているでしょ雪乃

しかし、メグはもう、昔のままのメグじゃない

しっかりと、雪乃に言い返す

あたし一生、あんたたちを許さないわ

雪乃はオレたちに、憎しみの言葉を吐く

いいんじゃないそれで