舞夏を、娼婦にだけはしないでくれ
当たり前です自分の妹に、そんな惨いことをさせはしません
では、一時間後に
ま、待ちたまえ
ミナホ姉さんは、無視して電話を切った
お兄ちゃんっ
マナが、泣きながらオレの胸に飛び込んで来る
うんマナよく頑張ったぞ
もう、絶対に離れないからねっ幸せになろっみんなでねえ、お兄ちゃんっ
なんなのよ、これっ
舞夏、あんた馬鹿なんじゃないのっこいつら、みんな頭がおかしいのよっこんなやつらと一緒に居て幸せになんかなれるわけがないでしょっ
マナはキッとした眼で、姉に振り向く
うるさいよ、あんた
あんた1人で、とっとと帰りなよあんたなんか、あたしたちは要らないんだからっ
憎しみの眼で雪乃を射貫く
何なのよ、それっ帰れるのよっここでの嫌なことは、全部忘れて神戸で、新しく人生をやり直すのよっ
はんっそんなの無理だよねっ神戸に行ったって、白坂創介の娘だっていう悪名は、一生ついて回るわっ
それはお祖父ちゃんの力で
会社を辞める市川さんに、そんな力が残っているわれないでしょ
白坂の本家の人に頼むわ
あんた、バッカ過ぎ白坂本家は、あたしたちの殺害要請まで出してたのよっ今更、白坂創介の家族に関わりたいなんて、キトクな人がいるわけないじゃんっ
じゃあ、国に訴えるわよっ警察にだって
あのさあ雪乃さん、一昨日のホテルで何を見ていたわけ香月さん以上の権力者なんて、日本にはいないんだよっ
それだって法律は法律よ正義ってものがあるでしょパパのことは、パパの事よあたしは、あたしに起こったことを訴えるわ
雪乃がオレを指差す
あたしは、あの男にレイプされたんだから何度も、何度もっこの怒りと、口惜しさは絶対に公表してやるんだからっ
公表して、誰が信じるの
あたしが被害者のあたしが、証言するのよっみんな、信じるに決まっているじゃないっ
雪乃は力限りの声で、叫んだ
ベッドの上で、アニエスが怯えている
イーディが、さっと行ってアニエスを抱いてくれる
一方、真緒ちゃんはぽかーんとした顔で、雪乃を見ている
そうかしらあたしは、信じないと思うけれど
ミナホ姉さんは、冷たく言った
そうだねっあたしも、信じない方に100ドル賭けるよ
何でよっみんなが、あたしを信じないわけないでしょ
メグが重い口を開く
雪乃あなた、覚えていないの
あなた学校の人たちには、校長室の隣の部屋で遠藤君にレイプされたことになっているのよ
それだってその男じゃないっケンジじゃないわっ
雪乃は、吠える
でも学校中の人たちは、遠藤君だと思っているあなたのレイプ事件も、もうインターネットで広まっているのよ
うちの学校の生徒だってネットぐらい、接続しているもの今、話題の白坂創介の娘のレイプ事件なんて、書き込まないわけがないじゃない
だから雪乃が、ヨシくんにレイプされたって言ったって、みんな雪乃の頭が変になったとしか思わないわよ
誰にレイプされたのかみんな、知っているんだから
それにね彼と恵美が婚約したってことも、うちの学校では知らない人がいないのよその上、2人ともクラスメイトやクラブの人たちの前で、ベタベタとまくったでしょラブラブで学校公認の婚約者の居る男子生徒が、レイプなんかするわけないじゃない
ミナホ姉さんは、クスクスと笑う
あなたあたしがクラスで話した時、聞いていなかったの婚約している相手とは、セックスして良いって、教師のあたしが宣言したのよセックスに不自由していない男子が、何だってあなたみたいな子を犯すのよ
こうしてみるとミナホ姉さんの策略は凄い
凄いというか酷い
だから、ここから出て行った後のあなたが、何を言ってもあたしたちは、別に気にしないわ何でもやりなさい弁護士にでも、裁判所にでも、訴えれば
ミナホ姉さんは、さらに畳み掛ける
あなたの行く先が、神戸じゃなくって精神病院になるだけだと思うけれどね
市川さんだって、わずかばかりの世間体は残っているわ頭のおかしいことを大声で喚き続ける孫娘はどうしたって、病院に閉じ込めるしかなくなるわよね
うふふふと、ミナホ姉さんは笑う
ホントに馬鹿で想像力が、これっぽっちもないんだね、雪乃さん
だから、あたしはこっちに残るんだよそっちに帰ったって、地獄しか待っていないもんっ
こっちならあたしは、幸せになる絶対に、幸せになるから歯を食いしばってどんなことだって耐えるよここには、マナの家族がいるんだもん
ど、どうしてよ
雪乃が呟くように言う
何で、こんなことになるのよ
ギッと怒りの眼で
妹を抱き締める、オレを睨む雪乃
あたし、一晩ずっと考えたわ
低い声で、オレに言う
眼に涙を浮かべて
確かに、あたしのパパは悪いことをしたのかもしれない
ボロボロと涙を零しながらそれでも、雪乃をオレを睨み続ける
でもそんなのあたしには、関係無いじゃないっ
あたしは、何も悪いことはしていないわっなのに、なのに
なのに、どうしてあたしが、こんな酷い目に合わないといけないのよっ
今話と次話を使って、黒い森が狂気の犯罪集団なんだってことを、しっかりと書きます
感想欄で、何人かの方が書かれたとおり
黒い森の方が社会的・倫理的・論理的に異常な存在で
雪乃の方が、正常です
それは、当然です
これはエロ小説ですしこういう作品によくあるこの作品は、公序良俗に反することを題材としていますが、作者はそれを推奨する意志はありませんという一文が、やはり適用されます
そもそも、ハーレムそのものが、現在の日本の倫理から逸脱しているわけですし無理矢理、理屈を付けてハーレムを成立させるというこの作品のテーマそのものに、最初から無理があります
そういう諸々のことを、判っている上で書き続けています
この作品のメイン・ヒロインが雪乃なのは彼女だけ、正常な倫理観の世界に居るからです
私は絶対に黒い森の人たちが、正しい人たちだとは思っておりませんので
とにかく、次話に続きます
できれば、感想は次話をお読みになってから、お願い致します
まだ、雪乃の雄叫びの途中ですので
380.荒ぶる、雪乃 (その2)
あたしもね何度も、そう思ったわあたしは、何も悪いことはしていないのにどうしてって
あたしもよどうして、こんな目に遭わないといけないんだって幾晩も泣いたわ
克子姉も呟く
あたしもだよどうして、どうして神様、こんなの酷すぎるよって、夜が来る度に泣いていたよっ
寧も
あたしもよ涙なんて、枯れるぐらい泣いたわ