マナもお兄ちゃんが、いないとダメだよ
そんなマナに、雪乃は
舞夏っあんた、何を馬鹿なこと言っているのよっ
姉をギッと睨むマナ
いい加減にしてよっ雪乃さんっあんた、全然判っていないじゃんかっ
妹の怒号に雪乃はたじろぐ
雪乃さん、自分に甘くて、楽観的過ぎるよあたしが、どんな怖い目に遭ったのか、全然判っていないじゃない
怖い目って舞夏
マナの代わりにミナホ姉さんが、答える
マナちゃんは雪乃さんみたいに、神経が図太くて、頭の中がお花畑じゃなかったのよ
マナに向けられない憎しみを雪乃は、ミナホ姉さんに向ける
ねえ雪乃さんあなたは、どんな時だってどうせ何とかなるって思っていたんでしょ
あたしが殺すって言ったって、そんなの本気なわけがない妊娠・出産させるって話だってどこかで、勝手に堕胎させればいいそんな風に、思っているのよね
ミナホ姉さんが、オレの顔を見る
あなたは彼が、あなたに好意を抱いているって、思っていたでしょそして、あたしが彼の意志をいつも尊重することに気付いていたから危険な状況になりそうだったら、彼に泣きつけばどうにかなる嘘泣きでも、何でも彼は自分のことが好きなんだから、助けてくれるはずだってそう考えていたのよね
そんなわけないじゃないこんなやつ
最初にあなたをレイプした時のこの子のあなたに対する必死さが、ずっとイメージとして残っていたんでしょだから、あなたはいつも、この子に対して自分が優位だと感じていた
ち違うわよ
ミナホ姉さんの言うとおりだ
雪乃をレイプした朝教職員用の駐車場で、オレは雪乃が欲しくてミナホ姉さんに土下座した
雪乃はそれを見ていた
だから、オレが自分に好意があることをよく知っていた
違わないわだから、あなた一昨日のホテルだって、ずっと彼にくっついていたじゃない彼とのセックスだって、どんどん楽しむようになってきてたでしょ彼が、絶対に自分に危害を加えないことを判って彼に頼っていたのよ
そんなわけないじゃないっ
雪乃は喚く
本当に判ってないのなら、あなた、ホンモノの馬鹿よだって、あなた今朝、台所に盗み食いに入ったじゃない
盗み食い
炊飯器を抱いて、しゃもじを咥えているみっともない姿を思い出す
そそれが、何よ
昨夜マルゴは、あなたに絶対に部屋から出るなって、言ったのよおかしな振る舞いをしたら、殺すって言ったはずだわ
なのにあなたは、盗み食いに行ったしかも、その様子を彼に見られて、ごめんなさいも言わなかったあなた人の家のご飯を、勝手に食べていたのよ
その上、恵美とマナさんに食事を作って貰っておきながらありがとうも言わなかったわね
そんなの言う必要ないじゃないっ
だってあたしは、お腹が空いていたんだものそれに、あたしは自分で料理が作れないんだから
あなた生まれてきてからずっと、ご飯を作ってくれる人にありがとうって言ったことがないんでしょ
だってうちの食事は、いつもお手伝いさんが作っていてあの人たちは、仕事でやっているんじゃないっちゃんと、お金を払っているのよ
あなたが、自分でお金を出しているわけではないでしょ
でも使用人に、お礼を言う必要なんて無いじゃないっ
そういうあなたの本性を見たから彼は、あなたのことが嫌いになったのよ
ハッとして、オレを見る雪乃
ああ雪乃みたいな女オレは嫌いだ
ちょっと待ちなさいよ
雪乃の顔が青ざめる
雪乃さん彼に甘えて、彼のことを舐め過ぎたわね
待ってよそうじゃなくってあたしを助けなさいよっ
あたし舞夏を連れに、ここに来たのよっあんたに言えばきっと、一緒に帰してくれると思ったからっほら、とっとと、弓槻先生を説得しなさいよっあんた、あたしに借りがあるんでしょっ
借り
あんたあたしの処女を無理矢理奪ったじゃないっ何度も、何度も、あたしをレイプしたあたし、あんたと散々、セックスしてあげたでしょっ
セックスしてあげた
いいわよあんたが、土下座してお願いするんなら、これからもセックスしてあげるわよっ
あ赤ちゃんは無理よっあたし、あんたの赤ちゃんなんて、絶対に嫌だからっ神戸に行ったら、すぐに病院に行ってもし出来ていたら、堕ろすわよ当たり前でしょ
雪乃お前には、監視が付くって話、ミナホ姉さんがしたろ
出産までは見張り続けているそれを無視したら、殺すって
そんなの嘘に決まっているじゃないっ神戸よっ東京じゃないんだからっどうにだって、誤魔化せるわよっていうか、そのつもりだからねあたし
それと、あんたとの結婚も無理だから
悪いけれど神戸に行ったら、あたしはちゃんとした恋をするわ恋をして結婚するからスポーツマンで、それなりの名家の人とねそう決めているのあんたとは身体だけの付き合いよいいでしょあ、そうだあたしのお腹の文字の消し方を聞いて置いて自分で、病院へ行ってもいいんだけれどやっぱり、恥ずかしいから足で、メールか何かで教えなさいよ
オレと雪乃の人生は交わらない
オレたちは永遠に、捻れたままの関係なんだ
オレたちがずっと、身が凍えるほどの冷たい現実の中に居るというのに
雪乃は一人だけ、彼女の脳内の暖かい、お花畑の中に居る
オレお前とは、もうセックスしないよ
え嘘でしょ
しない死んでもしない
あたしがいいって言っているのよ
もう黙れよ雪乃
白坂創介に甘やかされ放題で成長したこの娘は
どうしようもない
本当に自分だけは、特別に幸運な星の下に産まれてきたって信じているのね
みなさん、申し訳ありません
マナが、みんなに謝った
床に手を付いて土下座して
舞夏あんた、何をやっているのよ
雪乃にはオレたちの本気は、判らない
ミナホ姉さん雪乃は、こいつは本当の地獄を見ないと判らないんだろうか
ええ、あたしはそう思うわ
もしかして
そうよ、だから市川さんのところに帰すのこの屋敷あなたの近くに居る限り、雪乃さんの頭の中はお花畑のまんまでしょうから
その通りだと思う
雪乃これまでに、たくさんの人が酷い目に遭ってきたんだよっお前のお父さんのせいで
だからそんなの、あたしには関係の無いことじゃないっ
ああダメだ
では、雪乃さんあなたに、判りやすく話してあげるわ
あたしね気が狂っているのよ白坂創介とその家族は全員、地獄に堕としてやりたいの
何でよあたしは関係無いって言ってるでしょ
しょうがないでしょあたしは、気が狂っているんだから
ああ、ミナホは狂っているよあたしたちは、みんなそのことに気付いている
気付いている上でミナホの狂気に手伝おうって決めたんだ