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瑠璃子は、世間知らずだが愚かではない

自分がもう、取り返しの付かないところに来てしまったことを受け入れる

オレは現実を受け入れて、素直に謝ることのできる瑠璃子に感心する

これが雪乃なら

あいつは、絶対に現実を受け入れない

何もかも、誰かのせいにして徹底的に、現実を拒否する

そして、少しでも自分に都合の良い妄想に逃げ込む

決してくじけない雪乃の生命力は、正直、凄いと思う

オレは、これ以上あいつに関わりたくはない

あいつはいつも、自分だけしか見ていない

瑠璃子、頭が高いわよ

それが、場を弁えない奴隷が人に謝る態度

大変、申し訳ございませんでした

床に手を付く

瑠璃子の正座は、とても綺麗だ

そのまま額を畳に擦り付けて、土下座をする

あなた自分の何が悪かったか、判っているの

みすずは、さらに追い打ちを掛ける

わたくしは香月の家より売り払われた身でありながら本家のお嬢様である、みすず様にご意見をしてしまいました大変、申し訳ございません

みすずは、瑠璃子の論理的過ぎる思考を利用して、彼女の特権階級意識を破壊しようとしている

これは悪い手ではないけれど

でも、このままだと逆に、瑠璃子に奴隷根性が付いてしまう

頭を上げなさい、瑠璃子

あなたは旦那様の何ですか

瑠璃子は、オレを見て口籠もる

旦那様お祖父様からいただいた譲渡証はお持ちですか

大切なものだから、肌身離さず持って来た

香月重孝の自筆のサインが入っているのだ

こんなモノなくすわけにはいかない

ここにあるよ

オレは、みすずに手渡す

見なさいお祖父様のサインも入っていますここにこれがあるようにお祖父様も、旦那様のサインの入った受け取りをお持ちですここに何と書いてあるか読めますね

瑠璃子が指した箇所には奴隷譲渡証の文字が

もう一度、聞きますあなたは、旦那様の何です

瑠璃子は観念する

奴隷です奴隷として、譲渡されました

その答えに、みすずはニッコリと微笑み

そうよあなたは奴隷もう、奴隷なの

瑠璃子の眼にまた、涙が溜まる

そして、あたしは旦那様のペットです美智は、玩具知っているわよね

瑠璃子は、ホテルの地下の緊急避難室でみすずたちが、オレに全裸土下座した様子を見ている

それは、お遊びでのことでしょうわたくしの様に、香月様のご命令でそうなられたわけでは

瑠璃子は、香月家が第一だから

みすずのペット宣言もオレとのごっこ遊びだと思っていたらしい

香月家の姫君が本気で、下賤な男のペットになるはずが無いと

だから自分の奴隷譲渡も、ジッちゃんは本気で無いと信じていた

また、瑠璃子を譲渡されたオレが本当に、香月家の娘を奴隷として扱うはずがないと、高をくくっていた

あら、あたしは本気よあたしは、旦那様の愛玩動物です一生、可愛がっていただくつもりだしお仕えするつもりです

わたくしもご主人様の玩具でございますずっと、玩んでいただけるように、努力致しますご主人様の所有物として、この身と心をお捧げ致しております

美智も答えた

判る瑠璃子あなたは、奴隷あたしは、ペット美智は、玩具つまり、あたしたち、ほとんど似たような存在なの

今のあたしははっきり言うわ旦那様が全てですもし、あたしの存在が旦那様にとって不利益をもたらすのなら死んでもいいと思っています

冗談でもそんなことは言うな

はい申し訳ございません

もし、そんなことになったらオレが先に死ぬ美智も、聞いてくれ

お前たちオレより長生きしろよ一日でも長く

2人の眼が、大きく見開かれる

オレはお前たちを幸せにしたいんだオレのためなんかに、絶対死ぬないいな

その代わり一生、側において下さいませ

旦那様もあたしたちのためだと思われて、ご自分が犠牲になるようなことは、絶対になさらないで下さい

ご主人様よりも長く生きよという、ご命令確かに、承りました美智は、何があろうともご主人様より、1分だけ長生きすることをお誓い致します

1分だけ

ご主人様のいらっしゃらない世界に、未練はございません

あたしもです旦那様の後を追います

お前ら何を言っているんだよ

ですからお命を大事になさって下さい

あたしたち全員旦那様のことを、いつも心配しているんですからね

みすずが、オレの背中を抱く

美智が、下からオレを抱き締める

ご主人様がいらっしゃらなくなったらみんな、また迷子になります

2人とも

さて瑠璃子あなたは、いつまで迷子でいるつもり

わたくし迷子ですか

ええお祖父様に、香月の家から放り出されて行き先を見失った、あなたはまるで迷子の様です

瑠璃子は、自分自身を振り返る

でもそろそろ気が付きなさいあなたの首には、もう大きな首輪が付いていますしそこには頑丈なリードの鎖も付いています鎖の先を握っていらっしゃるのは旦那様あなたは、とっくに旦那様に捕らえられています旦那様の愛情に包まれていることに気が付きなさい

オレの愛情

みすず様どういうことでございますか

瑠璃子は尋ねる

あなたは、少し想像力が足らないわ考えてご覧なさいお祖父様が、あなたを売り渡したのが旦那様ではなくそうね、例えば、香月の分家それも、仁さんだったら、どうなっているかを

みすずの問い掛けに、瑠璃子はブルッと身震いする

恐ろしいことになると思いますあの様な、下品で分別の無い男性の奴隷となるなんて

香月仁まともな人間になれ

でもそんなことは起こりませんお祖父様いえ、香月様が、あんな下劣な方にわたくしを譲渡なさるはずがございませんもの

では、なぜお祖父様は、旦那様を瑠璃子の譲渡の相手にお選びになったのかしら

黒森様が信頼できるお方だと、ご判断なさったからだと思います

そうね瑠璃子にも旦那様が、あたしや美智たちを、とっても大切に愛して下さっていることは判るわね

はいそして、みすず様たちも、黒森様を愛していらっしゃることも判っております

そして旦那様は瑠璃子のことも愛して下さっているのよ

瑠璃子にとっては、納得しかねることもあるかと思いますが旦那様は、ずっと、どうしたらあなたを幸せにできるかそればかりを考えて下さっています

あなたのお尻を叩いたことだってあなたが、分からず屋だからお仕置きしなくてはならなかったからです

いやええっと

うんと瑠璃子は、きちんと誰かから叱って貰って来てないって思ったんだ

きちんと叱って貰う

ああ、瑠璃子は香月家のお姫様だから何か、悪いことをしても遠回しに言葉で非難されるだけでちゃんと、直接叱られてきていないんだなって、感じたいや、もちろん瑠璃子は、とっても頭が良くて、分別のある子だから普段は、そんな叱られるようなお行儀の悪いことはしないんだろうけれど