みんなが見ている前で、堂々と瑠璃子を合法的に連れ出したんだから
いいんだよ、これでっあたしたち、別に香月のお祖父ちゃんと対立しているわけじゃないんだからっ
それは、そうだけれど
でも、関さんいいんですか
だって、このままオレたちが瑠璃子を連れて行ったら香月セキュリティ・サービスでの関さんの立場がなくなっちゃうんじゃ
誘拐に手を貸したことが、バレたら大変なことになると思う
いいのよ、わたくしもこのまま、君たちに誘拐されちゃうんだから
面倒見てね人質なんだから
関さんは、オレにウフッと微笑む
昨夜、関さんがマルゴさんと話し合った誘拐計画は
香月セキュリティ・サービスはともかく瑠璃子様がいなくなることに、香月家の皆様が不審に思わない様な方法を取るべきだと思ったのよそうじゃないと、またご一族の中で色々と揉められるでしょ
香月家の分家たちは、色々とメンドくさいからな
瑠璃子様が誘拐されたことにあの方々は気付かないできれば、永久にそういう方法を考えたら、こういう手になったのよ
関さんは、言う
もっとも移動に使ったバスを利用するというのは、わたくしの立てた作戦だけれどあのハレンチな女の子は何
ごめーんっあれは、あたしたちの秘密兵器ピンク色の核弾頭岩倉幸代ちゃんでーすっ
びっくりしたでもさ瑠璃子が、急に気分を悪くなさるという展開には、あれが最適かなって思って
いや、むしろよく、瑠璃子以外脱落しなかったというか
オレには、そっちの方がびっくりだ
香月操の家みたいに、モラルに厳しい人もいるだろうに
それはみんな、この後のお食事会には絶対に出ないといけないって思ってらっしゃるからよ万難を排してね
閣下がいらっしゃる席よしかも重秋様が亡くなって、美子様がお孫様として認知されて、閣下の引退についても発表された直後だもの香月家の皆様としては、何が何でも閣下とお話ししたいと思っているわ
香月家の分家たちは、今後の将来が不安なんだ
こんな状況でお食事会を欠席して早退できるのは、瑠璃子様とみすず様だけだと思うわ
何があろうと瑠璃子とみすずが、ジッちゃんの孫であることは変わらない
香月家内での地位は、不動だ
今後は、美子さんを含めて誰を自分たちの神輿として担ぐかで、分家の連中たちは争うだろうけれど
瑠璃子には、もう関係の無い話だ
関様わたくしのことは、瑠璃子と呼び捨てにして下さい
わたくし香月の家を出されてしまいました今のわたくしは、お兄様の所有物ですもはや、香月家とは関係の無い女ですから
うん、まぁ
でも、まあそれも、閣下と瑠璃子様との間でのお取り決めなのでしょうわたくしども、下々の者の関知することではございませんこれからも、瑠璃子様とお呼び致しますわ
関さんは、優しく微笑む
いえ今のわたくしは、卑しい身分に堕ちてしまいました恭しく扱っていただくのは、分不相応でございます
瑠璃子そろそろ判れ
お前香月家の人間だと、他の人よりも身分が高いとか、偉いとかそういうこと、思っているわけ
瑠璃子の中の身分幻想は、破壊しないといけない
香月家のお嬢さんであろうがオレの奴隷だろうが瑠璃子は、瑠璃子なんだよ何も変わらないんだよ
でも、今のわたくしは何の取り柄も無い、無力な小娘です
火葬場での控え室の会話から瑠璃子は、自分の現実を知った
香月家の後ろ盾がなければ、何の生活力も無い、世間知らずの女の子であることを
それ前もおんなじだったろ
今の瑠璃子だけでなく香月家のお嬢様だった瑠璃子だって、何の力も無い女の子だったってこと
はい、おっしゃる通りだと思います
ほら、変わらないじゃないか瑠璃子は、瑠璃子のまんまだ
そうでございますねわたくしが、勝手に香月家の力を、自分の力と思い込んでいただけなのですね
力だけじゃない家の伝統とか、名誉まで自分に重ね合わせていたろ
瑠璃子は、うつむく
判ったか
わたくし、ずっと卑しい女だったのでございますね
どうして、今度は思いっきり卑下する方へ行くんだよっジェットコースターか、お前っ
そりゃ、確かに生まれた家が高貴だから、瑠璃子も高貴だってのは間違っているんだよっでもさ、だからって高貴じゃなけりゃあ、卑しいのかよ瑠璃子の頭の中に、普通は無いのか
でもわたくし、本当に心の卑しい女ですし自分1人では何もできない、無価値な女でございます
瑠璃子に価値が無いわけないだろっ
お前がニコニコしていてきれたら、オレは嬉しい楽しい気分になれる瑠璃子はすげぇ美人なんだから、側に居てくれるだけでも幸せだよ
わ、わたくしが
うまく言葉で表現できないけれど、とにかく瑠璃子は無価値じゃない瑠璃子には、価値がある少なくても、オレは瑠璃子に価値を感じているだから、自分を卑下するな瑠璃子は、可愛いんだよ
わたくし今まで、ほとんどの方の前では存在していなかったように思います
一族の皆様も、学校のお友達も、日舞のお稽古場の皆様もわたくしを見ているようで、いつも見ていらっしゃいませんでした眼をわたくしに向けてはいても、心の眼は背けていらっしゃるみたいで
一昨日の日舞の発表会の時に、特にそれを感じましたわたくしは、皆様の前で踊りを披露しているのに皆様は、わたくしを見ては下さらない
数日前の劇場の瑠璃子の日舞を、オレは思い出す
見事な踊りだった
しかし、観客たちはこの香月家の娘に対して
拍手しなかった
瑠璃子には、褒めることすら香月家本家に対する冒涜に感じられたから
あの時、お兄様は瑠璃子にお花を下さいました
うん、オレは
オレ瑠璃子だけが、花束を貰えないのは可哀想だと思ったから
瑠璃子は、ハッとする
お兄様は最初から、わたくしを香月家の娘としては、見ていらっしゃらなかったのですね
だから言ってるじゃないか瑠璃子は、瑠璃子だオレにとっては、ずっと可愛い女の子だって
瑠璃子は、頬を赤く染める
寧が、オレたちを見て言う
ヨッちゃん、瑠璃子手を繋いで欲しいみたいだよ
瑠璃子の可愛い手がオレの方に伸びている
うん、手を繋ごう瑠璃子
オレは、瑠璃子と手を繋ぐ
そしてっこっちの手は、あたしが繋ぐぅぅっ
もう片方の手を、寧が握る
ホント、あなたたち仲が良いわね
うらやましい関さんも、繋ぐ
寧は、関さんに手を差し出す
そうね、そうしようかしら
関さんは、寧と手を繋ぐ
4人で手を繋ぎ合って並んで歩く
関さん、ホントはヨッちゃんと手を繋ぎたい
今はいいわあなたが居ない時を狙うことするから