会計を終えた大学生が、店から出たのを確認して寧と瑠璃子はトイレに
二人が帰ってくるのを待って
じゃあ、あたしたちも出ようか
マルゴさんを先頭にオレたちも、会計に向かう
あ、オレが払います
今日は、瑠璃子の誘拐のために来て貰っている
オレが支払うべきだ
そう、じゃあ頼むよ
オレがお金を払うところを、寧は瑠璃子に見せる
いい、これからはこうやってヨッちゃんが瑠璃子のために、お金を払うんだよ
真剣な眼で、瑠璃子は見ている
瑠璃子は、そんなヨッちゃんに何を返せるのか考えないとね
マルゴさんが、スッとオレの後ろに立つ
オレの耳に囁く
君は、寧と瑠璃子さんを抱き締めていてあげてすぐに済ますから
オレは、オレの役割を果たす
ファミレスの玄関から、外に出ると
7人の大学生が、待っていた
5人ぐらいが待ち構えていて、2人ぐらいが伏兵とかしないんだ
おいおいおい、馬鹿にしやがってよう、この野郎
さっきの大学生の1人が、オレに言う
何が、オレたちの背中に書いてあるものを調べてみろだこらぁ
相変わらず、喚くのは同じ2人だな
リーダー格の石清水センパイは、後ろの方で腕を組んで、ケケッと笑っている
シュヴァルツ・ヴァルトって、可愛らしいお花屋さんじゃねえかっ
こいつら、オレの背中の|黒い森《BLACK FOREST》じゃなくって
寧と瑠璃子のツナギに書いてある、シュヴァルツ・ヴァルトの方を調べたのかよっ
お前らの車にも、おんなじ店の名が書いてあるしなっ
渚の店シュヴァルツ・ヴァルトは、確かに可愛らしいお花屋さんだ
こけにしやがってよおっ
どう、オトシマエを付けるつもり
大学生はそこまでしか、喋れなかった
マルゴさんの拳が、男の急所を打ち抜く
ニヤッと微笑んだままマルゴさんは、大学生たちを次々と一撃で倒していく
なっ
のっ
凄まじい速度で、一発で昏倒させられていく大学生たち
ゲッ
ゴッ
問答無用で打ち倒されていく
さて、残ったのは君だけだ
1人残ったのは石清水センパイと呼ばれていた男だ
男は、眼の前で何が起きたかすら理解していない
ただ、ぽかーんとしている
覚えておいてね《犯罪結社・黒い森(ブラック・フォレスト)
ツツッと男の前に、踏み込む
あたしたちは、アンタッチャブルなんだよ
シュッ、と急所に突きが入る
7人の大学生が地面に転がる
ほら、逃げるよっ
マルゴさんの声に、オレたちは走って車に向かった
箱根で貰って来たウィルスで、結構、風邪っぴきが長引いています
母は、今度は宇都宮へお参りに行けと言いますが断りました
そんな体調じゃないです
何か、合わないところにお参りに行くと、逆に体調を崩すらしいですし
これでもし宇都宮が合わないところだったら死んでしまいます
スカイラークは、スミスのSF小説の方で
昔、筒井康隆先生の乱丁文学大事典に、スカイラーク→美空ひばりのこととありましたが
このスカイラークがファミレスではなく、スミスの小説の方だと気付いたのは最近です
404.中毒症状
しかし、これって渚の店に迷惑が掛かったりしないかな
猛スピードで、ファミレスの駐車場を発進したバン
5分ほど、思いっきり街を疾走した後でマルゴさんは、スピードを緩めてクルージング状態に入る
誰も追い掛けてこないことを確認したのだろう
大丈夫だよ携帯電話で渚さんのお店を検索しただけでしょう
でもさああいうやつらは、すぐに警察とか呼びそうだと思うんですよ
そもそも大の大人が7人も集まって、オレたちを待ち伏せしていたということは無視して
自分たちが、マルゴさんに昏倒させられたことだけを通報したり
だから平気だってば渚さんのところに、警察が調べに行ってもあたしたちは、渚さんのお店の店員じゃないし、この車だって渚さんのお店の車として登録されていない渚さんと暴力事件を結びつける証拠は、一つも無いんだから
渚さんのお店の店員さんたちは、みんなアリバイがあるだろうしあそこに、金髪で青い眼のアメリカ人はいないしね
うん、渚が知らないと言い張れば問題無いか
それより|黒い森《BLACK FOREST》の方を検索すれば、あたしたちの悪評が判るだろうしよほどの馬鹿じゃない限り、警察に届けたりしないよあたしたちが、ヤクザやチンピラも狩り倒しているからね
でもよほどの馬鹿だったら
かなり頭の程度の低そうな大学生たちだったし
警察は動かないよ黒い森の名前が出た以上は
バックミラーの中の、マルゴさんの口元が微笑む
そうだね人が死ぬとか以上の事件にならない限り、あたしたちの行動は全部不問だよ
ジッちゃんの香月家の後ろ盾と
恭子さんの国際犯罪者としての恐るべき実績
それが、警察の捜査を打ち切らせる
君が心配なら、連絡しておこうかミナホと渚さんへ
渚に連絡するのは判るけれど何で、ミナホ姉さん
ミナホからうちの門の外で見張っている公安警察の人に、ファミレスでうちの人間が事件を起こしましたって、話して貰えばいいんだよそして、公安の人が地元の警察に連絡して被疑者不明で、この件は終了だよあの大学生には、お前たちを殴ったヤツは、見つからなかったってことでさ
それでいいんじゃないマルゴお姉ちゃん、あの子ら全員気絶させただけでしょ
そうだよみんな昏倒してるけど命には別状ないし、すぐに気が付くから
じゃあ、問題ないじゃん
オレたちの話を震えながら、瑠璃子は聞いている
バンの後部座席でオレに、しがみついて
瑠璃子、もう平気だからな
そうだよ、瑠璃子うかつに外を出歩くと、ああいう変な男たちが寄って来るってこと、判ったでしょっ
寧が、瑠璃子に微笑む
若い男なんて気持ち悪くて、怖い奴らばっかしなんだからっみんな、瑠璃子に襲いかかろうと、狙っているんだよっ
瑠璃子を怖がらせる
瑠璃子のことを本気で守ってくれるのはヨッちゃんだけなんだからねっ
はい瑠璃子はもう、お兄様のお側を離れません
瑠璃子はオレの腕に、頬を擦り付ける
ヨッちゃん以外の男は、信用しない付いていかない話もしないいいね
はい全て、お兄様だけです
うんよしよしっ
寧が笑った瞬間オレは、あれっと思った
もしかして、マルゴさんは
瑠璃子に、若い男に対するトラウマを植え付けるためにわざわざ、あのレストランを選んだんじゃないだろうか
例えば、外から見て駐車場に、柄の悪い学生が乗っていそうな車が並んでいたとか