うん今のところはね
渚は、言った
今日はもう、お店は閉めてきちゃったお店の子も全員帰らせたわ
うんっそれで真緒とママも吉田くんのとこに来たのっ
こうなったら全員一緒に居る方が、安全でしょ
安全だよねぇっ
渚と真緒ちゃんが、微笑む
あたしと一緒じゃなければ悪い人だって、お店の子を浚ったりはしないでしょうし
確かにシザーリオ・ヴァイオラの兵力には限りがある
オレたちの動きを制するために渚や真緒ちゃんを人質にすることはあるだろうが
オレたちが全員、この場に集合している今
さらに、渚のお店の子たちまで付け狙っている余裕は無いだろう
そんなことで戦力を分散するくらいなら、全力で一気にオレたちを攻めた方が良い
ミナホさんからはねあなたの映像は、ずっと送って貰っていたのよ
渚は言った
だから全部知っているわよ学校内でのエッチとか
まさか雪乃の全校放送レイプとか
うふふっ知ってるよーんっ
真緒ちゃんが、笑う
あたしも後でレイプしてねっ
渚が、可愛くオレに言う
ビデオも撮ろうっうん、それがいいわっ
それがいいですっ
このハイテンション親娘は
でも、渚たちが合流してくれて安心だ
ホッとする
ところでこの女芸人さんは何
渚が、雪乃を見て言った
きゃはは、面白ーいっ
真緒ちゃんも笑う
芸人じゃありませんっ黃縞黒子ですっ
雪乃がムッとして叫ぶが
黒子ちゃん黒子ちゃん黒子ちゃん面白ーいっ
すっかり、真緒ちゃんの玩具になっている
今日も、遅刻ギリです
230.渚にまつわるエトセトラ
恵美ちゃんとマナちゃんは、1日ぶりね真緒、ご挨拶なさい
母の言葉に、3歳の真緒ちゃんがお辞儀する
こんにちわっ真緒ですっ
な、何だこの可愛い生き物は
こんにちわ、真緒ちゃん
メグが、挨拶する
それから、マナに
あたしとは前にも会っているけれど、マナとは初めてよね
メグがマナちゃんに微笑み掛ける
うんこんにちわ、真緒ちゃんあたし、マナですっ
マナが腰を屈めて、真緒ちゃんと視線を合わせて挨拶した
お姉さん、マナさんあたしは、真緒だよっ
そうねちょっとだけ違ってるわよね
渚が娘に、にっこり微笑む
真緒とマナマナマオ
真緒が、クククっと微笑んだ
それから、あなたは初めてよね
渚が美智を見る
わたくしはお名前とお姿は、存じ上げております
事前の徹底調査を怠らない工藤父のことだ
ファイルの中に、渚の資料もあったんだろう
工藤美智でございますこの度ご主人様の下僕の末席に加えていただきました
スッと頭を下げる、美智
あら、そうなの
渚が、オレを見る
うん美智はみすずの警護役なんだけれどオレとみすずの二人を、主にすることにしたんだって
何かイマイチ、説明しづらいな
まあいいわ妹はたくさん居る方が楽しいしあなたが受け入れた子なら問題は無いでしょうしね姉妹会に歓迎するわ
そっだった渚も姉妹会の結成メンバーだ
こんにちわっ、真緒です
真緒ちゃんが、ニコニコと美智にご挨拶する
美智ですよろしくお願い致します
武士娘は、幼女にも礼儀正しく頭を下げる
ご主人様この幼な子も、ご主人様の
おい美智
真緒ちゃんは、まだ3歳だぞ
いずれは、そのつもりよ10年位したら、彼に愛して貰うつもり
ちょっと渚
だから、美智ちゃんも真緒の情操教育を、手伝ってちょうだいねっ
いやいや美智に情操教育なんて、されたら
武闘派になっちゃうよ、真緒ちゃんが
ところで、御名穂さん
渚が、話し掛ける
こんな隅っこに居てはダメですよ
穏やかに笑う渚
今、この会場内には昔からのお客様が、たくさん居らしていますわ皆さんに、ちゃんとご挨拶しませんと
あの渚
確かに、黒い森の顧客が来ていることは知っているけれど
みんな、奥さんや家族と一緒の場所で娼館の人間に会うのは嫌だろうし
だから、こんなロビーの隅っこにオレたちは固まっているわけで
こういう時こそ人様との縁は大切にしないといけないと思うんです
渚はほんわかとした口調で、そう言った
あたしと真緒が先にご挨拶しますから御名穂さんと克子は、呼んだらすぐに来て下さいね
渚
驚くミナホ姉さんを残して、渚は真緒ちゃんに
行くわよっ真緒っ
はーい、ママっ
今、入り口から入って来た背広のお爺さんあの人から、行くわよっ
うんっロック・オンだねっ
そして美人ママと天使の娘が、突撃するっ
まぁぁ、ヤマシロさん、お久しぶりですぅぅ
にっこり、やんわり声を掛ける、渚
き、君は
奥さんらしい女性と秘書を連れた老人が、驚いた表情を見せる
片貝ですわ、ご無沙汰しておりますこの子は、あたしの娘の真緒、ご挨拶なさい
こんにちわっ片貝真緒ですっ3歳ですっにひひひっ
真緒ちゃんが、微笑む
あなた、どちらの方
奥さんが、不審な顔で渚を見る
渚は平然と、にこにこ笑って
あたくし、以前、黒森興業の秘書室におりまして会社員時代には、ヤマシロ会長にとってもお世話になりましたこの子が生まれて退職致しましてからは、すっかり子育てが忙しくなりまして会長とお会いするのも、3年4年ぶりですわねっ懐かしいですわっ
渚は、ハイテンションで押し切るッ
う、うんまあ、そういうことなんだよ
老人も、とりあえず話を合わせてくれた
とってもお元気そうで何よりですわ今日は、お孫様の康江さんがご出演なさるんですよね
娼婦時代からもう、何年も経っているというのに
渚は、顧客たちの情報を完全に記憶しているようだった
そうだが君は、どうしてここへ
老人は、まだ戸惑っている
今日のセレブの子供たちの日舞発表会に、引退した娼婦が現れるのは変に感じるのだろう
あたしは香月みすずさんのご招待で参りましたわ
渚は、スッと勝負のカードを切る
香月さんの
はいあたし、みすずさんとは、お花の師匠が同じなんです
渚は、わざと大きな声で言った
すでに、渚と真緒ちゃんの突撃は周囲の人たちに注目されている
特にそわそわしている何人かの男たちは、みんなかつて黒い森に来館したことのある人たちなんだろう
あたし、退職した後に独立しまして今は、お花屋さんを経営しているんです会社の設立の時には、香月さんに大変助けていただきましたわ
自分と香月閣下の関係を強くアピールする
それで奥さんの旦那さんへの疑惑が消える
渚を香月閣下の愛人の一人だと認識したのだろう
そう思い込めば自分の夫とは関係していないと信じ込む