ここは、わたくしがいるのだから、警護は必要無いと言ったんです
麗華は香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしても有名だから
監視係が、言うことを聞いてくれたのか
わたくしが誰ともチームを組まないことは、有名ですしステッキをちらつかせたら、納得して帰ってくれました
というか撲殺ステッキを振るう男装の変人としても、有名なんだよな
英国紳士の男装姿だと、威圧感が凄いし
昨日の黄色いジャージ姿の麗華は、一日元気が無かったけれど
やっぱり英国スーツに袖を通すと、気合いが入るんだろう
迫力が違う
公安の方は、あたしと麗華お姉さんの二人で行ってその人たち、あたしのお店の眼の前に車を停めているのよ営業妨害だから、もっと遠くに車をどかせって言ってやったわついでにうちは客商売なんだからこんなゴツイ顔のオッチャンたちじゃなくって、明日からは可愛い顔の婦警さんを連れて来てってね
それで、お店の子たちはますます麗華お姉さんに懐くしお客様にも、大好評なのあの格好いいお姉さんは、ずっとお店にいるんですかって、高校生ぐらいの女の子たちが聞きに来たわ
なら、しばらく麗華は、渚のお店に行ってくれ
護衛だよ誰かしら、渚たちにも付いていないといけない状況がしばらく続くんだから
そういう言い訳でオレは、麗華にも普通の生活を体験させたい
しかし、わたくしは谷沢チーフにも、そろそろお話しなければなりませんし
香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとして
今後、自分をどうするのかどうなるべきなのか
麗華は迷っている
あ香月セキュリティ・サービスの方は、大丈夫だと思うよっ
渚さんさ麗華お姉さんの一言で、香月セキュリティ・サービスの監視係が撤収したのって、今日の何時頃っ
えっとお昼過ぎだったから2時半ぐらいだったと思うわ
あ、やっぱりねっ
ぬふふーんと、寧は麗華を見る
今日さ、香月セキュリティ・サービスの中で人事異動があったんだよそれで多分、新しいトップの人に、監視係が藤宮さんがこう言ってますが、どうしますかってお伺いを立てたんだよでっそこは、彼女に任せて撤収しろって命令が来たんだと思うなっ
新しいトップですか
麗華はまだ知らないんだよな
関さんだよ関さんが、新しいトップになったんだ
オレは伝える
え関さんが、新しい警備部長になれたのですか
麗華は、驚く
違う違うって警備部長じゃなくって、香月セキュリティ・サービスの現場部門の全てを任されたんだよ谷沢さんが、オレが今やっている仕事を、全部引き継いで貰うって言ってたからっ
では谷沢チーフは
谷沢さんは、もっと偉くなるんだって社長とか、そういう役職に付くみたいよだから、関さんが現場を統括するトップになるんだってさっ
麗華は、暗い顔をする
どうしたの、麗華お姉さん関さんが、先に出世しちゃったのがショックなのっ
いえわたくしは、ただの警護人ですし関さんが、幹部候補として入社された方だということは知っていましたからそのことには、驚いておりません
渚が麗華を見る
自分は、あたしのお店でお花と格闘していたりして、いいのかなとか思っているんですか
いえ、あのそういうことでは
いや思っているんだな麗華は
関さんと自分を比較して
自分はこのままでいいのかって悩み出している
麗華お姉さんあたしは、以前、娼婦でした
渚が静かに語る
自分で選んだ道ではありませんあたしも、かつてこの学校に通っていて高校一年生でした突然悪い人たちに、誘拐されて、無理矢理に娼婦にさせられました
ハッとして、渚を見る麗華
その頃とは黒い森は運営者が違うんです今のあたしたちは、そういう黒い森をどうにかして壊そうと頑張ってきたメンバーですそのことは、判って下さいね
ニコッと、渚は笑う
娼婦として働かされていた時は希望なんて、何もありませんでした抜け出せない可能性の方が大きかったし実際、肉体や精神を病んで、死んでしまう娼婦もいましたみんな誘拐されてきた子ばっかりだったんです
ジッと、麗華は渚の話を聞いている
あたし何とかして、夢を持とうと思いましたどんなことでもいいから夢を持っていなければ心が折れてしまいそうだったからだから、あたしお花屋さんの勉強を始めたんです何で、お花屋さんだったか自分でも、よく判りませんでも、あたしは将来、絶対に自分のお花屋さんを持つんだって決めたんです夢を
そしたら辛いことも、耐えられました本もいっぱい読んだし御名穂さんにお願いして、フラワー・アレンジメントの通信教育も受けさせて貰いましたあと、実際にお店をするための経理とか、法律のこととか毎日、必死で勉強しましたお仕事をさせられている時以外は夢のことばかり、考えていました
渚の眼に涙が、溜まる
オレは、渚の身体を抱く
渚もオレの肩をギュッと強く、抱き寄せる
それであたしは、運が良くて本当に運が良くて娼婦から足を洗って、お花屋さんを始められたんです
運が良いって
渚は、白坂創介に誰が父親だか判らない子を孕まされて
お屋敷から追放されたんだ
人気のある娼婦であることを妬まれて
あたしは本当に運が良い夢を見ることもできないまま死んでいった子が何人もいたんですから
メグが背中から、オレに抱きつく
メグのお母さんは夢を奪われて死んだ娼婦の一人だ
だから、あたしは絶対に、あのお店を守るんですあたしの夢のお店で幸せになるんですあたしだって幸せになるために、生まれてきたんですから
ポロポロと、大粒の涙が零れる
オレは、渚を抱き締める
うん大丈夫今は、あなたがいるもん真緒もいる幸せよあたし
大変な思いをしてきたのですねわたくしよりも年下なのに
そういう麗華に、寧は
年齢は関係無いんだよ麗華お姉さん
寂しそうに、ニッと微笑む
こういう渚さんのお店を警護するのはつまらない仕事だと思う
いえわたくしが、間違っておりました
スッと、渚に頭を下げる
ありがとう麗華お姉さん
ヨッちゃん、あたしも寂しくなっちゃったチューしてっ
オレは、寧にキスをする
あたしたちはね、寂しくなったらヨッちゃんに、慰めてもらうのヨッちゃん、温かいんだもの
さらにキスを交わす
ほらっ、恵美もしてもらいなっ
寧、お姉さん
お母さんのこと思い出して寂しくなっちゃったんでしょ
寧は、メグに微笑み掛ける
あたしもそうだからアメリカで、ヴァイオラに監禁されていた頃のこと、思い出しちゃったよ
寧の眼にも、涙が溜まっていた