克子姉が、唇をとんがらせて言う
怒らせたってどういうこと
ほら、あたしが今日の作戦で、岩倉さんを使ったよね
岩倉会長を娼婦として、仕事をさせた
あれで、ミナホも今すぐに、娼館を廃業することはできないってことは、判ってくれたけれどミナホは、本心では、もう娼館の主はやりたくないんだよね
娼館を継続せざるを得ないのは黒い森の現実だけれど
ミナホ姉さんの個人的な望みとしてはもう、売春ビジネスには関わりたくないと、思っているんだろう
だから今後のことは、なるべくミナホ抜きで、あたしたちだけでやらないといけない
マルゴ様ったら今夜の段取りは、自分たちでするから、お嬢様はお屋敷の仕事から外れていてくれって、おっしゃったんですよ
それでミナホ姉さんは、今夜は学校に居るのか
ああミス・コーデリアたちの監視なら、恭子さんだけで良い
なのに、ミナホ姉さんは学校に残っている
香月さんは、今夜は黒い森のお客としていらっしゃるわけじゃないけれど香月セキュリティ・サービスの人たちは、そうは思ってないだろ
香月セキュリティ・サービスの人たちはオレたちとジッちゃんの関係を知らない
ジッちゃんが、この屋敷を訪問するということは
当然黒い森に娼婦を買いに行くんだと思っている
本当なら香月家当主であるジッちゃんのお出迎えは
黒い森の現在の代表者である黒森御名穂がしなければならない
なのにミナホ姉さんは、すぐそこの学校からは戻って来ない
今後のシミュレーションには、最適だと思うんだあたしたちが、ミナホ抜きでやっていけるかどうかの
マルゴさんはどんどん、先のことを考えているんだ
黒い森が、いますぐに売春ビジネスを止められないからといって
ミナホ姉さんに娼館の主人の仕事を続けさせるのは酷だ
だからマルゴさんと克子姉は、ミナホ姉さん抜きで娼館の運営ができないかと
お屋敷の周りは香月セキュリティ・サービスが、勝手に固めてくれるから心配は無いお屋敷内に入ってくるのは、香月さんのリムジンだけだからね
森下さん、来て下さるって
大丈夫連絡したから、もうすぐいらっしゃるよリムジンの運転手と秘書の接待は、森下さんがして下さるって閣下の直衛多分、大徳さんと張本さん、もしかしたら谷沢さんもいらっしゃるかもしれないけれど警護人の皆さんの相手は、あたしがするよ
渚にも、手伝って貰った方がいいんじゃない
渚さんは関わらせない方がいいよ現役じゃないんだから
克子姉もマルゴさんもまだ、現役の娼館の人間なんだ
足を洗った渚に助けて貰うのはいけないことだと考えている
応接室も貴賓室も、昼間のうちにお掃除してあるから大丈夫よ特等室もね
特等室
このお屋敷の中で、一番上等のお部屋よ瑠璃子さんが処女を失うのに、相応しいお部屋は、あそこしかないわ
その克子姉の言葉でオレは、理解した
瑠璃子は今は、香月家を追放されて、オレの奴隷となっているけれど
それは、フェイクだ
現在でもなお、瑠璃子は日本有数の名家、香月家の後継者なんだ
みすずでも、美子さんでもなく瑠璃子が、香月家の次の当主になると
克子姉は思っている
ちょっと、上へ行こう今のうちに、部屋の中を見て置いて
そうですね、前もって下見しておきます
あ何か、急にプレッシャーを重く感じる
オレが思っていたよりも瑠璃子の処女を、オレが奪うということは大きな意味があるんだ
ジッちゃんの三男の娘のみすずは一応、両親と暮らしている
瑠璃子と美子さんは両親から離され、ジッちゃんの手の中で大切に育てられた
やっぱり瑠璃子こそが、ジッちゃんに直に帝王学を教え込まれた後継者の本命なんだ
君、瑠璃子さんのこと好きかい
オレの顔を見てマルゴさんが言った
そりゃ好きですよ
セックスしたいって、思ってる
思ってます誰にも、渡したくないです
ニコッとマルゴさんは、微笑む
なら、それだけでいい君は、君のしたいようにするんだ政治的なことは、一切気にしなくて良いから
大人の世界の話はねあたしたちがするからその時には、ミナホにも出て来てもらう心配しないで
そうよそれぞれの役目を果たしましょう
あなたは瑠璃子さんに、素敵な初体験を経験させてあげてそして、あなたも楽しむのよそれだけに集中して
ああ、君たちのセックスは香月さんだけが観るあたしたちも、中継映像は観ないよ完全に、クローズドにするから
本当にみすずとは、違うんだ
観ないではなく本当に、観てはいけないんだろう
香月家の後継者の処女喪失は
現当主であるジッちゃん以外は
そういう現実を誤魔化すために
マルゴさんは、今日、瑠璃子本人にわざと二人きりにしてあげると言ったんだ
瑠璃子に自分が特別な存在であることを悟らせないために
とにかくあたしたちだけ、先に上に行こうここは、渚さんに任せておけばいい
マルゴさんが、渚に手を振る
渚は、笑顔で頷いた
事前に、話は通っているらしい
あれ、お兄ちゃんどこへ行くの
部屋から出ようとするオレたちにマナが、目ざとく気付く
オレが返答に困ると
ちょっと衣装合わせよ面白い服を見つけたから
克子姉が、笑顔でフォローしてくれる
うんちょっと、彼を借りるよ
と、瑠璃子がこっちにやって来る
明るい笑顔で
わたくしまだ拙い奴隷ですけれど一生懸命、致しますから
マナさんたちのお話を伺っているとお兄様は、とてもお優しい方でいらっしゃいますから、瑠璃子に対して手加減して下さるおつもりかもしれないって思いまして
手加減
瑠璃子は小さく、息を吐き
あのこんなことを申し上げるのは、失礼かもしれませんが
わたくしが香月の娘だということで、手加減をなさることだけはお止め下さい
瑠璃子、お前
わたくしは香月家を追放された身の上ですもう、この先はお兄様の奴隷として生きていくしか許されない女です
いや瑠璃子
わたくしは三千円というお金で、お兄様に買われました売られてしまった以上は、お兄様の所有物です我が儘は申しませんむしろこうなったからは、お兄様のお役に立ちたいのです
瑠璃子の眼は真剣だった
わたくしは何もできない女ですお兄様に喜んでいただくような能力を、何も持っていません香月の家に生まれたことに胡座をかき家事もお料理も、何も学んで参りませんでした愚かな娘です
そんなことこれから覚えればいいんだよ
はい、覚えます学びますお兄様のためにでも、それでは今のわたくしは、余りにも惨めです
そして瑠璃子は、オレの手を取る